【令和4年11月16日】
被災後に自宅が無事であれば、数日間は自宅待機が予想されます。そんな時のシミュレーションを、備蓄レベル別にご紹介します。「待機は我慢」。どかまで我慢するかの、ご参考になれば幸いです。是非ご覧ください。
お疲れ様です。自衛隊卒セラピストの岡田凰里(おかだおうり)です。ブログを読んで頂いてありがとうございます。
朝晩の冷え込みが、日に日に厳しくなってきました。
11月も中旬。
立冬も過ぎ、冬の気配が感じられます。
新型コロナウイルスの感染者数が、再度増加しています。
感染対策の基本である、マスク、うがい、手洗いをしっかりと継続していきましょう。
さて、今月のブログは『災害備蓄のリアル』について、お伝えしています。
前回のブログでは、
「何を基準に災害備蓄を準備すればいいか」
をお伝えしました。
”人間が我慢できないこと”
を基準にすると、優先順位が見えてくるんでしたね。
その上で、どんなに準備が億劫でも、必ず購入すべきマストアイテムをご紹介しました。
「簡易トイレ」
「保存水」
「ソーラーチャージャー」
でしたね。
もちろん、自治体の防災の手引き通りの備蓄が、理想的です。
ただ、理想と現実は違います。
ですので、まずはマストアイテムを購入することをおススメします。
ご興味がある方は、前回のブログも是非ご覧ください。
今回のブログでは、実際に被災したときの、自宅待機生活のシミュレーションをしたいと思います。
いざ準備をしても、どんな風に生活するかイメージできないと、不安はぬぐえませんよね。
そんな不安を解消するために、備蓄レベル別に、どんな待機生活になるかをご紹介します。
備蓄レベル別に、星5段階(★★★★★)で評価していきますので、ご参考になれば幸いです。
今回のブログは以下の内容になっています。
1 自宅待機の前提条件
2 備蓄レベル別シミュレーション
(1) 自治体の手引きの準備
(2) マストアイテムのみ
(3) 防災シェルター
(4) 準備ゼロ
3 わたし自身はどんな準備か
4 備蓄に加えるプラスアルファ
5 まとめと次回のテーマ
それでは始めていきますね。
1 自宅待機の前提条件
まずは、自宅待機の前提条件をお伝えしようと思います。
それは「自宅が無事であること」
当たり前のことではありますが、とても大切なことです。
もし、自宅にいて大地震が起きた際は、まずは揺れが収まるまで、自宅の安全場所で、とどまることになります。
外に出ようと思っても、揺れが激しすぎてなかなか難しいと思います。
自分の家が倒壊するのでは…と心配な方は、いつ建てられたかをご確認ください。
1つの基準は、1981年6月の建築基準法改正以降に建てられているかどうか。
これ以降に建築確認済証を交付されている建物であれば、基本的には大地震が起きても、崩壊しないように設計されています。
揺れが収まったら、火事が起きていないか確認しましょう。
自宅に火の手があれば、すぐに消火してください。
いきなり自宅で大きな火の手があがることは、ほとんどありません。
消火は、初期消火が非常に大切です。
初期であれば、空気を遮断するだけでも消火できる場合もあります。
必ず確認するようにしてください。
自宅の火事がなければ、ご近所で火事が起きていないか確認しましょう。
マンションにお住まいの方は、下の階で火事が起きていないか確認してください。
もし火事が起きていれば、可能な限り消火活動に協力してください。
情けは人の為ならず。
その火事を抑えることは、自宅への延焼を防ぐことになります。
そして、ご自身の目の届く範囲、救助の声が聞こえる範囲で構いませんので、要救助者がいれば、救助活動を行いましょう。
隣近所に声を掛け合って、人海戦術で救助を行います。
重い物の下敷きになったりした場合には、人手が必要ですからね。
電話が使えるようであれば、119番もお忘れなく。
至る所で被害が出ますので、すぐに公的救助が来ることは難しいかもしれませんが、伝えないことには来てもらえません。
救助が終われば、その方を避難所に送り届けましょう。
重い物の下敷きになっていた場合には、挫滅症候群(クラッシュシンドローム)の危険があります。
挫滅症候群は、少し時間が経ってから症状が現れ、命の危険がある外傷です。
医療従事者の方に、救助の状況を伝えておきましょう。
ブログの最後に挫滅症候群のコピーボタンをつけておきます。
詳しく知りたい方は、検索してみて下さい。
「自宅が無事」
「近所で火事が起きていない」
「目と耳が届く範囲で、要救助者を確認できない」
このような前提条件で、自宅待機生活が始まることになります。
自宅の安全が確認できても、なんとなく不安だからみんなのいる避難所に…なんて気持ちも湧いてくるかもしれません。
そのお気持ちは、本当によくわかります。
ただ、避難所の備蓄は限られています。
そして待機する環境は、慣れている自宅の方が断然快適です。
ですので、自宅にいることが危険だと感じる場合以外は、自宅待機をしてください。
さて、この前提条件を踏まえた上で、早速シミュレーションをしていきたいと思います。
2 備蓄レベル別シミュレーション
それではシミュレーションを始めていきますが、まず初めに知っておいてほしいことがあります。
自宅待機生活というのは…
「我 慢」
なんです(^^;
生活インフラが復旧するまでは、我慢するしかないんです(^.^;
とても残念ですが、これが現実です。
その我慢を、事前の準備によって減らす。
こういう考え方です。
ですので、これからシミュレーションを★5つで評価していきますが、
不快度が高い⇒★5
不快度が低い⇒★1
という形で表現していきます。
そして、
「我慢度」
「不安度」
「収納負担」
「不衛生度」
の4つの項目を、評価していこうと思います。
あくまでこの星の評価は、わたしの主観ですのでご承知を。
それでは始めていきます。
・我慢度 ★★
・不安度 ★★
・収納負担 ★★★★
・不衛生度 ★★★
自治体の手引きの通りに準備しておけば、待機生活も、まずは一安心だと思います。
最低3日分、できれば7日分の備蓄が推奨されています。
7日経てば、被害がなかった地域からの支援も期待できますので、7日分の備蓄があれば、心配することはないと思います。
我慢度、不安度ともに★2つとしました。
ただ、収納負担はその分大きくなるので★4つになると思います。
そして、不衛生度は★3つ。
朝昼晩の3食をちゃんととると、その分ゴミが出ます。
災害時は、ゴミ収集が止まりますので、自宅で保管することになります。
さらに食事を取れば、その分排泄も起こります。
排泄のゴミも保管することになるので、衛生面には少し難があるかもしれません。
生活空間と隔離して、保管しておきましょう。
家の外においてしまうと、野良猫やカラスなどの動物がゴミを荒らしてしまいます。
外には置かないようにしましょう。
恐らくはお風呂場がゴミの保管場所になると思います。
・我慢度 ★★★★
・不安度 ★★★★
・収納負担 ★★
・不衛生度 ★★
前回のブログでご紹介した、マストアイテムのみで自宅生活をした際、我慢度はかなり高くなります。
不安度も、もちろん高くなります。
「水だけで数日間は命をつなぐことができる」
これを体験している場合には、不安はそこまでないかもしれません。
ただ、そんな経験をしたことがある方は、滅多にいないでしょう。
我慢度、不安度は共に★4つとなるでしょう。
現実的には、冷蔵庫に食べ物が残っていたり、保存が利くものがあるはずなので、完全に水だけにはならないと思いますが…(^^;
ただ、基本的には電気ガス水道の生活インフラは止まりますので、冷蔵庫の食べ物は、あまり期待しない方がいいと思います。
マストアイテムだけにするメリットは、収納負担は低くなることです。
自治体の手引きの、半分くらいの量になると思います。
収納負担は、★2つになるでしょう。
そして食事を我慢すると、生活ゴミも排泄も少なくなります。
その分不衛生度は、★2つにしました。
・我慢度 ★
・不安度 ★
・収納負担 ★★★★★★★★★★
・不衛生度 ★
経済的、そしてスペース的に余裕のある方は、防災シェルターを準備してもいいかもしれません。
シェルター内にすべてを完備しておけば、何も心配することはないでしょう。
ただ、シェルターは収納負担は非常に大きくなります。
ま、でもシェルターを買おうなんて言う方は、そもそも余裕がある方なので、そんなことは気にしないかもしれませんね(^^;
ちなみにシェルターは、ウン百万から購入できます(^n^;
・我慢度 ★★★★★
・不安度 ★★★★★
・収納負担 ★
・不衛生度 ★★★★★★★★★★
絶対にダメとはお伝えしたんですが、準備ゼロもシミュレーションしようと思います。
その時自宅にあるものだけで、待機することになります。
我慢度、不安度はマックスになります。
不安に駆られて、スーパーなどに食料品を購入に行くかもしれませんが、慌てて行動すると、群衆雪崩などの二次被害に遭うかもしれません。
もしかすると混乱を防ぐために、お店は閉店しているかもしれません。
こうなると、不安はどんどん増していきます。
収納負担はもちろんありませんが、簡易トイレの準備がなかった場合、水の流れないトイレにそのまま用を足すことになるでしょう。
ビニール袋と新聞紙で代用できますが、臭いを抑えることは非常に難しく、不衛生度は最悪なことになります。
さらに携帯電話の充電が少なくなるにつれ、不安は限界に達するかもしれません。
その不安に耐え切れずに、避難所や一時待機施設に行く決心をしたとします。
ただ、行ったら行ったで、自宅が全壊された方や、帰りたくても帰れない方の様子を目の当たりにすることになります。
これを目の当たりにしたときに、準備をしていなかったことを後悔し、例えようのない罪悪感が募ります。
その後悔と罪悪感は、一生消えることはありません。
災害備蓄は、必ずしておいてください。
3 わたし自身はどんな準備か
備蓄レベル別のシミュレーションはいかがでしたでしょうか?
あくまでわたしの経験に基づく主観ではありましたが、そこまでズレはないと思います。
自宅待機生活のイメージは、できましたでしょうか。
さて、ここでわたし自身はどうしているかをお伝えしようと思います。
わたし自身は、
「マストアイテム+自治体の手引き」
という準備にしています。
専用の備蓄は約3日分。
その他にも、普段の買い置きなどがあるので、3日以上の備蓄があると言えます。
実際に待機することになった際は、食事は可能な範囲で我慢するつもりです。
少量をゆっくりと咀嚼しながら食べれば、食べる量は相当減らすことができます。
これで生活ゴミも排泄も、減らすことができます。
ただ、前回のブログでお伝えした通り、排泄を我慢するのは健康のリスクがあります。
排泄はためらわないようにしましょう。
わたしは訓練で、
「水だけで数日間生き延びる」
これに近いことを、実際に経験しています。
少量の水と食料で任務を続けるレンジャー訓練を修了していますので、仮に3日間水だけで過ごせと言われても、不安はありません。
それでも、マストアイテムだけで過ごそうとは思いません。
やっぱり非常時にギリギリの状態でいるのって、ものすごく辛いことなんですよね(^.^;
そして備蓄に余裕があるからこそ、ある程度は我慢できるものだと思うんです。
そして余裕がないと、不安はどんどん増してくるんですよね。
ですので、まずはマストアイテムを準備して頂いて、可能な限り、自治体の手引き通りの準備しましょう。
そして実際の自宅待機生活では、食事や水は可能な範囲で我慢すると、精神的に余裕を持って過ごすことができると思います。
4 備蓄に加えるプラスアルファ
被災時の自宅待機生活のイメージは、できてきましたか?
具体例を挙げながらお伝えしていますので、これまでよりはイメージが膨らんだと思います。
さて、ここで備蓄に加えておいた方が良い、プラスアルファの一品をご紹介します。
それはビタミン剤です。
これは練馬区の防災の手引きには、記載されていませんでした。
東京都のものには「栄養補助食品」との記載がありますが、これは恐らくカロリーメイト等のことを指していると思われます。
そういった食品ではなく、ビタミン剤を準備しておくことをおススメします。
自宅待機生活は、普段通りの食生活が送れないので、栄養が偏ります。
そんな時にビタミン剤があると、栄養が偏らず、身体も楽になります。
わたしは災害派遣されたときに、ビタミン剤を支給されて助かりました。
第1波で派遣されると、どうしても初めは保存食が続いてしまうんですよね。
ビタミン剤は好きではないので飲まなかったら、口の中に口内炎が多数…(^n^;
ビタミン剤のお陰で、その苦痛から解放されました(^o^;
お恥ずかしながら、そんな苦い経験があります(^^;
ですので、ビタミン剤はあった方がいいと思います。
今は色々な種類がありますので、どれを選んでもいいと思います。
ただ、サプリメントのように特定の栄養に特化したものではなく、「マルチビタミン」と表示されているものがいいです。
さすがにすべては試せないので、一押しをご紹介することはできませんが、わたし自身はチョコラBBを準備しています。
チョコラBBはマルチビタミン剤ではないんですが…(^^;
昔から使っているので、安心感が(^_^)
そしてビタミン剤を飲む際は、もちろん用法用量を守って使ってくださいね。
5 まとめと次回のテーマ
今回のブログでは、災害備蓄のレベル別に、自宅待機生活のシミュレーションをしました。
このような現実的なシミュレーションご紹介しているブログは、ほとんど無いようなので、お役に立てていれば幸いです。
そして今週も、三重県を震源とする異常震域の地震がありました。
災害備蓄をして、現実的な自宅待機生活のイメージがあれば、地震への不安は軽減できますよ。
是非この機会に、ご自宅の備蓄を確認してみて下さいね。
次回のブログでは、実際のわたしの備蓄をご紹介したいと思います。
ご参考になれば幸いです。
是非ご覧ください。
【挫滅症候群をコピー】
【今週の体重】
先週59.8㎏⇒今週59.3㎏
【体重をアップする理由】
【頑張らないダイエット③】 お手軽にも程がある!"超時短"筋トレ法
【参考資料】
1 「防災の手引き-災害に備えて-」 練馬区危機管理室危機管理課編集・発行 令和4年2月
2 「東京防災」 東京都総務局総合防災部防災管理課編集・発行 平成29年3月
※令和6年3月17日:ブログの冒頭に「概要」を追加し、内容を校正しました。
陸上自衛隊に15年勤務。レンジャー隊員。公認心理師。産業カウンセラー。
在職時は、年200件以上の面談に対応するカウンセラーの任務を行うと共に、隊員に対して「災害派遣の心構え」を教育をしていました。
そんな自衛隊での教育や、自身の災害派遣の経験をアレンジして、現在は一般向けに「災害の心構え」をお伝えするセミナー講師。
『どんな災害も乗り越える』
その心構えを”自衛隊式”でレクチャーしています。
このブログでは、防災のこと、身心の健康、そしてちょっとだけ自衛隊の話を綴っています。
自衛隊での経験やセラピストとして学んだことが、皆様のお役に立てば幸いです。
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