自衛隊卒のセラピスト

セラピスト&自衛官の経験と共に、笑顔になる話題をお届けします。

【コロナ禍を心理学で振り返る】コロナうつとダブルバインド理論

令和4年12月7日

3年も続く「コロナ禍」。長く制限された生活で、”うつ状態”になる方もいたようです。この”うつ”の最も大きな要因を、ダブルバインド理論を用いて考察します。是非ご覧ください。

お疲れ様です。自衛隊卒セラピストの岡田凰里(おかだおうり)です。ブログを読んで頂いてありがとうございます。

 

 

12月入りました。

 

本格的に冬になりましたね。

 

朝は布団から出るのが、だいぶしんどくなりましたね(^^;

 

新型コロナウイルスについては、第8波が到来しています。

 

感染対策の基本基礎、マスク、うがい、手洗いを継続して、この波も乗り越えていきましょう。

 

 

さて、今月のブログのテーマは

『コロナ禍を心理学で振り返る』

 

です。

 

まもなく3年を迎えるコロナ禍。

 

コロナへの対応にも慣れ、当初に比べれば不安感はだいぶ和らいできました。

 

そして新たな経口薬の承認もされ、感染症分類は第2類から第5類への引き下げも本格検討され始めました。

 

 

来年には、普通の病気になっていそうです。

 

 

そこで今月のブログでは、1年の締めくくりにこのコロナ禍を振り返ろうと思います。

 

わたしは心理の国家資格を持つ「公認心理師

 

そこで心理学的な観点から、コロナ禍を振り返っていきます。

 

今回はダブルバインド(二重拘束)理論から、”コロナうつ”について考察します。


今回のブログは以下の内容になっています。

1 長引くコロナ禍

2 ダブルバインド理論とは

3 心理学から見たコロナうつ

4 童話「太陽と北風」

5 まとめと来月のテーマ

それでは始めていきますね。

 

 

1 長引くコロナ禍

2020年が始まってさほど経たないうちに、新型コロナウイルス感染症の話題が上ってきました。

 

日本では、横浜港に寄港したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の乗客に、感染者が確認されました。

 

過去に例のない、未曽有の事態の対応は専門家でも難しく、様々な報道がなされました。

 

そのような中でも、厚生労働省の職員災害派遣医療チーム(DMAT)、自衛隊医官等の皆様が、当時できる最善の対応を行ってくださいました。

 

本当にありがとうございます。

 

心から感謝いたします。

 

 

その後、国内の感染者数は波を経ることに増加し、現在は第8波となっています。

 

 

波を幾度越えても、毎度おなじみの対策の繰り返しになっています。

 

「ワクチン」

 

「マスク」

 

「3密回避」

 

こういった対策を経ても、感染者数が波を追うごとに増加していきました。

 

そして波を追うごとに、様々な情報が流れてきます。

 

国内の情報ももちろん、海外の情報も入ってきます。

 

これだけ情報が多いと、

どうしていいか迷う

 

なんてことも増えていきます。

 

そしてこの判断に迷う情報が、ダブルバインド(二重拘束)に陥る、大きな要因になるんです。

 

 

2 ダブルバインド理論とは

ダブルバインド(二重拘束)理論とは、グレゴリー・ベイトソンによって発表された説です。

 

この理論は主に、家族関係の中で用いられている理論です。

 

逃れられない矛盾したメッセージを突き付けられることが、統合失調症的な精神疾患や、行動上の障害の発生要因になるという理論になります。

 

家族関係の中で、日常的に逃れられない矛盾したメッセージを用いたコミュニケーションが繰り返されると、ある特定の家族成員にそのような症状や障害が出現すると考えられています。

 

 

ちょっと専門的な用語が続いてしまったので、具体的な例で説明しますね。

 

 

まずは「逃れられない矛盾したメッセージ」から説明します。

 

 

例えば、親が子供に何か注意しようとしたときに、

「怒らないから、こっちに来なさい!」

 

と、怒鳴りながら言った場合、これが逃れられない矛盾したメッセージになります。

 

子供からしたら、

 

(もう、怒ってるじゃん…)

 

という感じになりますよね。

 

そして、親のところへ行ったら行ったで、怒らないといったにもかかわらず、結局怒られてしまうパターンってありますよね(^^;

 

(怒らないって言ったのに、結局怒ってるじゃん…)

 

矛盾したコミュニケーションですよね(^n^;

 

こういったコミュニケーションが、

逃れられない矛盾したメッセージを突き付けられる

 

ということになります。

 

これをダブルバインドメッセージと表現しますね。

 

このようにダブルバインドメッセージを使ったコミュニケーションが、日常的に繰り返されてしまうと統合失調症的な精神疾患の要因になると考えられています。

 

 

次に「統合失調症的な精神疾患」の具体的な症状についてです。

 

 

統合失調症には、その前駆症状として次の様な症状があります。

 

主観的には

 

抑うつ

「思考・記憶・集中力の低下」

「不眠」

「易疲労感」

「倦怠感」

 

客観的には

 

「意欲・興味の低下」

「こもりがちになる」

 

このような症状があります。

 

これらの症状を見て、あれ?と思った方もいらっしゃると思います。

 

そうです。

 

実はこれらは、"うつ”と同じような症状ですね。

 

つまりダブルバインド理論では、ダブルバインドメッセージが繰り返されると、「"うつ"と同じような症状が出やすくなる」と考えられているんです。

 

ダブルバインド理論は、主に家族関係において当てはめるものですが、今回はコロナ禍という社会状況に当てはめてみようと思います。

 

 

皆さん、少し振り返ってみてください。

 

 

3年続いているコロナ禍で、矛盾したメッセージが繰り返し発信されていませんか?

 

ワクチン、マスク、3密回避…

 

このような対策に対して、何度も矛盾したメッセージを受けとっているはずです。

 

 

3 心理学から見たコロナうつ

 

「コロナうつ」

 

この言葉は、新型コロナウイルス感染症が流行し始めた頃から、本当によく耳にします。

 

もちろん今でも同じです。

 

ただニュースなどの記事を拝見していると、

「外出自粛とあいまって、人と人とのコミュニケーションが減り、孤独な時間が増えたせいである。」

 

このように分析していることが、多いようです。

 

またコロナの後遺症のせいで、うつ症状が出ている方もいらっしゃるようです。

 

もちろん、このような要因もあると思います。

 

 

そしてその要因に加えて、

ダブルバインドメッセージが繰り返されることで、うつ症状が発生しやすい状況であるため』

 

と、わたしは考えています。

 

 

ダブルバインドとは、「逃れられない矛盾した」という意味でした。


ちょっとこのコロナ禍で、発信されているメッセージを少し振り返ってみましょう。


例えばワクチンについては…

「政府はワクチンを強く推奨します。ただ強制ではありません。個人的な状況を加味して自己判断で打ってください。」

 

というようなメッセージを発信しています。

 

しかしそれとは別に、ワクチンの副作用や後遺症など、ワクチンに関する様々な負の情報も発信されました。

 

そして、ワクチンの副作用で亡くなったという事例も、実際にあります。

 

こうなってくると、

 

(ワクチンを打てと強く薦めているにも関わらず、強制ではない?)

 

(え?副作用や後遺症もあるの?でも打たないといけないの?)

 

(打って何かあったらどうしよう…)

 

こんな風に感じるはずです。

 

社会にあふれているメッセージ(情報)が、矛盾をはらんでいるからこそ、このような葛藤が起きる訳です。

 

 

またマスクに関しては、当初は意味が「ある」「ない」の話題が上りました。

 

現在ではマスクをしているのは日本だけ、マスク着用について世界に合わせることが検討されている、なんて情報もあります。

 

それにも関わらず、今年の冬はコロナとインフルエンザの流行が危惧されるという情報があります。

 

(マスクって意味があるんだよね…?)

 

(マスク着用の検討って、マスクを外せってこと…?)

 

(いやいや今は冬なんだし、インフルもあるからしないとまずいでしょ…)

 

 

そして3密回避に関しては、現在では感染者数が増加しているにもかからわず、イベントなどの人数制限も解除されている状態です。

 

3密に関する警戒心をほどくような施策が行われているにも関わらず、密を回避しましょうというメッセージは続いています。

 

(本当に今も、3密を気にしないといけないの…?)

 

(なんだか最近、3密回避がなし崩しになっているような気が…)

 

このように、逃れられない矛盾したメッセージが、この3年間繰り返し発信され続けることによって、常に葛藤が付きまとっています。

 

 

これでは、情報に振り回されてしまうのも当然です。

 

 

この現状を踏まえると、ダブルバインド理論が成立する条件が、十分あるように感じています。

 

 

私見ではありますが、心理学的な観点から見ると、コロナ禍はダブルバインドメッセージに溢れており、平時よりうつ症状が出やすい社会的状況にあると考えられます。

 

 

これが、"コロナうつ"の大きな要因になっていると、わたしは考えます。

 

 

つまり、コロナうつを予防・改善するためには、このダブルバインドメッセージをどうにかする必要がある、と考えられます。

 

それではこのような状況を、打破する方法はあるのでしょうか。

 

 

4 童話「太陽と北風」

わたしはこのようなダブルバインドメッセージが溢れている現状は、やむを得ないことだと思っています。

 

どうやっても、このような状態にならざるを得なくて、なっているんだと思います。

 

わたし自身、解決の方法があるかと問われれば、答えは否です。

 

解決方法があれば、とっくにやっているはずですからね(^^;

 

ただ、誰もがコロナに罹りたくない中で、1つだけお伝えできることがあります。

 

それは、

最も基本的な感染予防を続ける

 

ということです。

 

 

その方法は、うがい、手洗い、マスクになります。

 

 

どれもウイルスの体内侵入を極力少なくするための、基本のキです。

 

ちょっと面倒なんですが、一番確実な方法だと感じます。

 

新型コロナウイルス感染症に関する情報は、本当にたくさんあります。

 

それがゆえに、それぞれの情報がダブルバインドメッセージになってしまい、葛藤を生みます。

 

それに揺さぶられてしまうと、"うつ"に近い症状が出てしまう場合もあると思います。

 

 

実は、そんなメッセージに揺さぶられない方法は、最も基本的な対策を淡々と続けることなんです

 

 

だいぶ前のブログになりますが、コロナと放射能は似ているとお伝えしました。
(※放射性物質放射線等を総じて放射能と表現します)

 

わたしは東日本大震災の際に、福島で災害派遣に従事しています。

 

実はその時の放射能内部被曝外部被曝を減らす方法が、コロナの予防方法と似ているんです。

 

水で洗い流して放射能を除染したり、体内に入ってこないためにマスクをしたり。

 

放射能は数値で測れますので、一目瞭然。

 

やっぱりその基本的な対策をすると、数値が全然違うんですよね。

 

 

基本のキをおススメするのには、こんな実体験があります。

 

 

このような中で11月初旬には、政府から「世界と歩調を合わせたマスク着用ルールの検討」が表明されています。

 

 

さて、皆さん。

 

 

仮に今、マスク着用ルールが変更されて、マスクなしでOKとなったとして、完全にマスクなしの生活を送りますか?

 

 

わたしは、しばらくマスク着用を続けます。

 

・感染者数の増加

・インフルエンザとコロナの同時罹患のリスク

・体調を崩しやすい冬の季節

 

この状況を加味すると、マスクなしで生活しようとは思いません。

 

 

日本人は同調圧力でマスクをつけてる

 

 

そんな意見もありますし、もちろんその影響もあると思います。

 

 

ただそれよりも、単純に「病気に罹りたくない」という気持ちが強いから、マスクをつけているんだと思います。

 

そして「万が一もあるし、他の人に迷惑をかけたくない」という気持ちがあるからではないでしょうか。

 

 

日本人ならではの考え方ですよね。

 

 

そんな時に、ふと「太陽と北風」という童話を思い出しました。

 

 

人間の洋服を脱がそうと、太陽と北風が勝負する話です。

 

 

無理やり脱がそうとしてもダメで、脱ぐ状況になれば自然と脱ぐという話でした。

 

 

なんだか今の、脱マスクの状況と似ている感じがします。

 

 

感染への不安が無くなれば、誰もがマスクを外すでしょう。

 

 

その不安が無くなるには、

 

・ウィルスの弱毒化

・経口薬の流通

・政府の決定

 

このような自然と人間の両面の作用によって、もたらされると思います。

 

今の状況と照らし合わせると、普段の生活を取戻すまで、あと一歩のところまで来ている感じがします。

 

 

ちょっと大変かもしれませんが、もう一息。

 

 

「基本のキ」を、もうしばらく続けて、この波も乗り越えていきましょう。

 

 

5 まとめと次回のテーマ

今回のブログでは、コロナうつをダブルバインド理論で考察しました。

 

本来、ダブルバインド理論は家族関係を考察するための理論ですが、その理論を演繹して、コロナ禍を分析しました。

 

コロナ禍では、ダブルバインドメッセージが溢れていて、社会状況として"うつ症状が起こりやすい状態である"と考えられます。

 

そんなメッセージに揺さぶられないためには、最も基本的な感染対策を、淡々と続けることが重要であることをお伝えしました。

 

 

手洗い、うがい、マスクですね。

 

 

福島での放射能状況下での災害派遣の経験から、不安に揺さぶられないためには、基本のキの対策が一番大事だと、心底感じています。

 

ご参考になれば幸いです。

 

そしてこの「基本のキ」は、わたしがブログを始めてから、ブログの冒頭でずっとお伝えしてきたことです。

 

実は災害派遣での実体験があったので、ずっとお伝えしていたんです。

 

 

ちょっとしつこかったかもしれませんね(^^;

 

 

コロナもインフルエンザも、予防が第一です。

 

淡々と感染予防の「基本のキ」を続けて、この波も乗り越えていきましょう。

 

 

次回のブログは

医療従事者差別と傍観者効果

 

をお伝えします。

 

是非ご覧ください。

 

 

参考文献

1 心理臨床大辞典〔改訂版〕 氏原寛等共著 培風館 2013年9月

 

参考資料
2 ウィキペディアHP 「ダブルバインド

3 国立感染症研究所HP ダイヤモンドプリンセス号新型コロナウイルス感染症における事例発生初期の疫学

4 厚生労働省HP ダイヤモンド・プリンセス号現地対策本部報告書

 

『コロナと放射能』のブログ

 

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※令和6年3月16日:ブログの冒頭に「概要」を追加し、内容を校正しました。

 

 

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陸上自衛隊に15年勤務。レンジャー隊員。公認心理師産業カウンセラー

 

在職時は、年200件以上の面談に対応するカウンセラーの任務を行うと共に、隊員に対して災害派遣の心構え」を教育をしていました。

 

そんな自衛隊での教育や、自身の災害派遣の経験をアレンジして、現在は一般向けに「災害の心構え」をお伝えするセミナー講師。

 

 

『どんな災害も乗り越える』

 

その心構えを”自衛隊式”でレクチャーしています。

 

 

このブログでは、防災のこと、身心の健康、そしてちょっとだけ自衛隊の話を綴っています。

 

 

自衛隊での経験やセラピストとして学んだことが、皆様のお役に立てば幸いです。

 

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引き続き感染対策をして、安心安全の社会を作っていきましょう。

 

 

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経歴・資格など

公認心理師(国家資格)、産業カウンセラー、リラクゼーションセラピスト(2級)、元陸上自衛官、レンジャー隊員、上級体育指導官、予備自衛官(衛生官)

〔※「Windship」及び「Windship treatment」は登録商標です。〕

 

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