
【令和7年11月12日】
今年は戦後80年です。先の大戦から人間の一生涯分の年月が経った今、先人の著作の力を借りながら戦争と平和についてお伝えします。日本人の皆様が今の日常を振り返るきっかけになれば幸いです。是非ご覧ください。
お疲れ様です。
自衛隊卒のセラピストの岡田凰里(おかだおうり)です。
ブログを読んで下さってありがとうございます。
11月に入りました。
私事で恐縮ですが、11月で経営するリラクゼーションスペース『スッキリオアシス』がお陰様で6周年を迎えました。
このブログをご覧いただいている方、お越しいただいているお客様、そしてわたしを支えて下さっているすべての皆様に心から感謝いたします。
ありがとうございます。
これからも健やかで心地よい生活を、誠心誠意サポートできればと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします<(_ _)>
さて、11-12月のブログのテーマは
『戦争と平和』
です。
今年は戦後80年。
人間の一生涯分の年月が経ったという、区切りの年でもあると思います。
そんな区切りをきっかけに、戦争と平和をテーマにしてみました。
簡単には語れないテーマではありますが、今年一年の締めくくりとしてチャレンジしてみようと思います。
もちろんわたしは専門家ではありませんので、学術的なことは語れません。
ただ、元陸上自衛官でありレンジャー訓練を修了している「公認心理師」です。
そんな経験をもとに先人の著作の力を借りながら、社会心理的な側面に焦点を当てて、戦争と平和についてお伝えしていこうと思います。
まずはこのテーマを扱うにあたって、以下の3つを宣言しておこうと思います。
・主義主張の善悪については判断しない
・戦略・戦術については語らない
・特定の国を差別する表現はしない
あくまで、戦争と平和について社会心理的な観点からお伝えするものです。
そしてブログでは、
「クラウセヴィッツ」
ドイツの政治学者
クリスチャンの評論家
「山本七平」
東工大名誉教授で日本語学者
「芳賀綏(はがやすし)」
以上の先人の著作の力を借りながらお伝えしていきます。
今回のブログでは、カール・フォン・クラウセヴィッツのお力をお借りしたいと思います。
ブログは以下の内容です。
それでは始めていきますね!
1 クラウセヴィッツについて
皆さん「クラウセヴィッツ」はご存じでしょうか?
クラウセヴィッツは、業界では有名な方です。
え?
どの業界かって?
(^^;
軍事や政治に関する業界です(^-^;
彼の記した『戦争論』は、業界では有名です(^ⅿ^;
東洋の「孫子の兵法」
という感じで対比すると、わかりやすいかもしれません。
つまりは戦争における戦略や戦術について書かれた本ということです。
そんなクラウセヴィッツ。
1780年にプロイセン(ドイツの前身)で生まれた貴族です。
継父が軍人だったころから、その影響を強く受けたようです。
貴族とはいえ家が貧しかったようで、父親が請願して12才に歩兵連隊の旗手として異例の若さで入隊しています。
そしてその生涯を閉じる1831年まで、軍人として活動しています。
その軍人としての人生の中でもクラウセヴィッツがまだ若い当時、所属していたプロイセン軍はフランスのナポレオン軍との戦闘に敗北しています。
そして、フランス軍の捕虜になるという経験もしています。
『戦争に負ける』
これがどんなに屈辱的なものなのか、20代で経験します。
その後、フランス占領下でもプロイセンは様々な改革を行い、クラウセヴィッツは陸軍大学校の教官を務め、プロイセンの皇太子に軍事学の指導にあたっています。
皇太子の軍事学指導にあたっていたわけですから、国からの信頼も厚かったはずですが、実はクラウセヴィッツはロシアで従軍の経験があります。
当時のプロイセンでは親フランス派と親ロシア派がいたようですが、国としてはフランスに傾いたようです。
クラウセヴィッツは親ロシア派だったようで、プロイセンを離れてロシアで陸軍中佐として迎え入れられています。
これに関して、クラウセヴィッツは色々な想いがあったようです。
ただ、この行動を一言で表現すると、
『勝つ方についた』
と、わたしは感じます。
『戦争は勝たないといけない』
こんな戦争の現実を直視したからこそ、その時の状況を冷静に分析して勝つ方についたんだと感じます。
実際にナポレオン率いるフランス軍は、ロシアに敗れています。
その後クラウセヴィッツはロシアとプロイセンの連絡将校を経て、プロイセン軍に復帰し、陸軍大学校の校長になっています。
12才という年齢で歩兵連隊の旗手として軍に入り、敗北して捕虜を経験し、国を離れて他国の軍隊に従軍して、復帰後は母国の陸軍大学校の校長になる。
そんな異色な経験を持つ、クラウセヴィッツの戦争論について見ていきたいと思います。
2 『戦争論』という著書
ただ、それを著書として刊行したのは、奥様のマリー・フォン・クラウセヴィッツです。
クラウセヴィッツ本人は、刊行する前にこの世を去っています。
そしてマリー夫人も、刊行後数年でこの世を去っています。
お二人の遺作とも呼べるかもしれません。
そんな風に夫婦二人三脚で刊行した「戦争論」という著書。
その中に書かれている中で、もっとも有名な言葉は、
「戦争とは、異なる手段をもって継続される政治に他ならない」
(戦争論第1篇1章24)
だと思います。
わたし自身戦争論について、この言葉を一番始めに知りました。
もう少しわかりやすく言うと、
『戦争は政治の手段の内の1つ』
という意味に解されることが多いようです。
現代の日本人からすると、少し違和感があるかもしれません。
恐らく、
「戦争は政治の最終手段である」
と言われれば、ある程度は納得しやすくなるかもしれません。
ただ、戦争論が書かれた1800年代前半の欧州は群雄割拠の時代。
最終手段、と言っている余裕はなかったんだと感じます。
日本で言えば戦国時代みたいなものですね。
ただ、クラウセヴィッツは戦争は政治の手段の1つと唱えつつも、獲物を得ることしか考えない軍司令官や軍人たちを、呵責なく糾弾しています。
あくまで戦争は政治的な手段の1つなので、戦勝国に政治的理性が欠けると、戦勝の意義そのものが無くなると考えていたようです。
戦争論にはその他にも、
「戦争は、異なる手段を交えた、政治的交渉の継続である」
(第8篇6章B)
「戦争は独自の論理で動くものではなく、政治的関係から切り離しえない」
(第8篇6章B)
「戦争とは、ペンの代わりに剣をもって行う政治である」
(第8篇6章B)
というように、戦争とはあくまで政治的手段の一つであるという主張を繰り返すような言葉があります。
そして、
「戦争になると、政治は押しのけられるとの考えは完全な誤りだ」
(第1篇1章23)
「政治が戦争を生み出す以上、戦争は政治の手段であり、決して逆ではありえない」
(第8篇6章B)
というように、軍の暴走を戒めるような言葉もあります。
戦争論でこのような言葉が繰り返し使われるのには、
「クラウセヴィッツが歩兵連隊出身である」
ということが、強く影響しているようにわたしは思います。
3 命のやり取りの最前線”歩兵”
戦場では、人と人との命のやり取りが行われます。
その最前線が歩兵です。
この1800年代当時は、まだ騎兵もいました。
そして銃はまだ単発式でしたが、移動式の大砲が使用され、それまでに比べると一度の戦闘での死傷者数が増えてきた時期です。
クラウセヴィッツが従軍したのは12才で、旗手だったことから当初はある程度配慮されたとは思いますが、命のやり取りの現場を直接目にしていたことでしょう。
人間は同属である人間の命を奪うことを、本能的に避けようとします。
これは戦争であっても同じです。
戦闘ではその本能的な反応に逆らって、命のやり取りをしなければなりません。
つまり命のやり取りは、本能や理性の箍(たが)を外さないとできないんです。
戦闘が終わっても、その箍が外れっぱなしになってしまうこともあります。
そうならないために、西洋で言えば騎士道精神だったり、日本で言えば武士道精神というものがあります。
現代的に言えば、軍規と言えるでしょう。
恐らくクラウセヴィッツは、その箍が外れっぱなしになるとどうなるかを経験したんだと思います。
だからこそ、政治が軍の手綱をしっかり握っておくためにも
「戦争とは、異なる手段をもって継続される政治に他ならない」
という言葉を残しているんだと思います。
ただ、本能や理性の箍を外したことのある人間は、その気迫がそれをしたことがない人間とは大きく違います。
政治家が、その気迫に押し込まれてしまうこともあったことでしょう。
それを防ぐためにも、
「戦争になると、政治は押しのけられるとの考えは完全な誤りだ」
(第1篇1章23)
「政治が戦争を生み出す以上、戦争は政治の手段であり、決して逆ではありえない」
(第8篇6章B)
という言葉を残し、軍が武勲を挙げるための戦争に走らないように、戒めの言葉を残したんだと思います。
戦争は暴力の行使ではなく、武力を使った政治の行使であることを後世に伝えるために…。
ここまで戦争論に書かれている、戦争と政治の関係性について焦点を当ててきました。
ただ、クラウセヴィッツの戦争論では、その膨大な著述は「戦術・戦略」に当てられています。
なぜなら戦争は勝たないといけないからです。
4 力こそ正義?
戦争論には
「戦争は相手に自らの意志を強制するものだ」
(第1篇1章2)
という言葉があります。
政治的な目的があって戦争を始めた場合、勝てばその目的を相手に強制することができるわけです。
人の命を懸けて行うわけですから、勝たないと人の命も労力も無駄になります。
そして、負ければ相手に服従しなければなりません。
この当時の1800年代初頭のヨーロッパは、群雄割拠の戦国時代でした。
その前の1500年代~1700年代も、ずっと戦争をしています。
生き残るためには戦いを勝ち抜かなければならないし、負ければみじめな生活をしなければならなかったはずです。
「力こそ正義」なんて言葉があるように、暴力を行使して相手を屈服させるようなこともあったかもしれません。
もちろん日本の戦国時代にも、同様のことがあったはずです。
残酷だと感じますが、これが現実です。
そしてクラウセヴィッツは母国に勝ち残って欲しかったからこそ、この戦争論を残したんだと思います。
先の大戦からちょうど80年の今年。
戦争論が刊行されてからは、200年近く経ちました。
現在の欧州は戦時下です。
その結果には予断を許しません。
そして、日本も軍事的緊張が高まっていると言われています。
わたしたち日本人は戦争の現実を見つめ直し、この先の行く末を注視しなければならない時に来ているのかもしれません。
5 まとめと次回のテーマ
今回のブログでは、カール・フォン・クラウセヴィッツの『戦争論』を通して、「戦争の目的」をお伝えしました。
「戦争とは、異なる手段をもって継続される政治に他ならない」
の言葉が表すように、戦争は政治的な目的を達成するための手段の1つであるということでした。
また、あくまで私見でありますが、クラウセヴィッツがなぜこのような結論に達したのかもお伝えしました。
それは、理性や本能の箍が外れたままの状態になることを防ぐためでした。
そして、戦争は勝たなければいけないこともお伝えしました。
負けてしまうと、相手に要求を飲まされ苦い思いをしなければならないからでしたね。
もちろん一国の陸軍大学校の校長になるくらいの方が書いているので、戦争の現実を捉えている著作になっているんだと思います。
だからこそ、現代までその内容が語り継がれている訳です。
ただ、この主張が絶対的なものかと言われたら、そうとはいいきれないと感じます。
そこで次回のブログでは、クラウセヴィッツとは少し違った視点で戦争を見つめた政治学者
をご紹介します。
その著作を通して、戦争と平和についてお伝えできればと思います。
次回のブログ更新は11月26日(水)の予定です。
是非ご覧ください(^^)☆
【参考資料】
ウキペディア『カール・フォン・クラウセヴィッツ』
【参考文献】
1 戦争論(上)(中)(下) クラウセヴィッツ著 篠田英雄訳 ㈱岩波書店 2005年
2 天才戦略家クラウセヴィッツの生涯 『戦争論』をさらに深く理解するために 郷田豊著 日本工業新聞社 1982年6月
3 クラウゼヴィッツ語録 『戦争論』のエッセンス 加藤秀治郎編訳 ㈱一藝社 2017年12月
4 戦争の世界史 マイケル・S・ナイバーグ著 稲野強訳 ㈱ミネルヴァ書房 2022年11月
5 戦争の世界史大図鑑 R・Gグラント編著 河出書房新社 2008年7月
6 武器の歴史大図鑑 リチャード・ホームズ編著 ㈱創元社 2012年4月
7 自然災害で変わる歴史が変わる! 伊藤 賀一監修 ㈱国書刊行会 2023年5月
8 あの国の本当の思惑を見抜く地政学 社會部部長著 ㈱サンマーク出版 2025年4月(第5刷発行)
9 戦争における「***」の心理学 デーヴ・グロスマン著 安原和見訳 ちくま学芸文庫 2004年
10 「戦争」の心理学 人間における戦闘のメカニズム デーヴ・グロスマン/ローレン・クリステンセン共著 安原和見訳 二見書房 2008年
陸上自衛隊に約15年勤務。レンジャー隊員。公認心理師。産業カウンセラー。
在職時は、年200件以上の面談に対応するカウンセラーの任務を行うと共に、隊員に対して「災害派遣の心構え」を教育をしていました。
そんな自衛隊での教育や、自身の災害派遣の経験をアレンジして、現在は「災害の心の準備」をお伝えするセミナー講師。
『どんな災害も乗り越える』
その心の準備を”自衛隊式”でレクチャーしています。
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公認心理師(国家資格)、産業カウンセラー、リラクゼーションセラピスト(1級)、元陸上自衛官、レンジャー隊員、上級体育指導官、予備自衛官(衛生官)
〔※「Windship」及び「Windship treatment」は登録商標です。〕
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