【令和4年7月13日】
何度動画を見ても不思議に感じる「浸透系パンチ」。実はWindship®の原理で、説明することができるんです!脱力の身体操作の謎を解き明かします。是非ご覧ください。
お疲れ様です。自衛隊卒セラピストの岡田凰里(おかだおうり)です。ブログを読んで頂いてありがとうございます。
まず初めに、凄惨な事件で亡くなられた、安倍晋三元首相のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。
事件の一報を聞いて、言葉が出ませんでした。
今後、このような事件が二度と起こることがないよう願うと共に、安心安全な社会を築いていけるよう、微力ながら貢献できればと思います。
新型コロナウイルスについては、また感染者数が増加しています。
マスクコントロールをして、感染症と熱中症に気をつけていきましょう。
さて、今月のブログは『身体操作のしくみ』がテーマです。
前回のブログでは、武術系ユーチューバーの動画を読み解いて、脱力が打撃にもたらす効果についてお伝えしました。
脱力をすると、体液の移動が発生して、打撃の威力が増すんでしたね。
ところで、なぜ武術の身体操作を説明しているかというと、スッキリオアシスで提案している、
『Style for Comunication
(風格のコミュニケーション)』
というクラスをご紹介するためです。
風格というのは、身体操作です。
身体操作を通して、風格という非言語的なコミュニケーション力を育むクラスです。
ただ、いきなり風格の身体操作をお話ししても、伝わりにくいと思うんです。
そこで、武術系ユーチューバーの皆様の動画をご紹介しながら、身体操作のしくみについてお伝えしています。
「坂口拓さんのウェイブ」
「雨宮宏樹先生の影武流合氣体術」
「北川貴英先生のシステマ」
「石井東吾先生のジークンドー」
こんな動画を参考に説明していますが、きっと皆さんがあっけにとられてしまうのが、"浸透系パンチ"だと思います。
そこで今回のブログでは、浸透系パンチの謎を解き明かしていこうと思います。
このパンチについても、わたしの提唱している「Windshipの原理」に基づいてお伝えします。
Windshipの原理は、人体の構成要素を「神経」「骨」「Windship(膜)」と捉える考え方でした。
今回のブログは、この原理を基に説明していきます。
このまま今回のブログをご覧いただいても構いませんが、もしわかりにくいと感じた時には、前回のブログもご覧ください。
今週のブログは以下の内容です。
1 浸透系パンチとは
2 ダメージとは”神経の圧迫”
3 浸透の正体は『疎密波』
4 疎密波は『脱力』がもたらす
5 まとめと次回のテーマ
それでは始めていきますね。
1 浸透系パンチとは
浸透系パンチとは体の内側に響いて、内臓にダメージを与えるような打撃のことです。
明確に定義づけされているわけではありませんが、こういう認識で大丈夫だと思います。
武術系ユーチューバーの動画で、それぞれの方が、浸透系パンチを披露しています。
ウェイブパンチ、鎧通し、ストライク…等々
東吾先生も浸透系パンチを披露していますが、どうやらジークンドーの理合いではなさそうです。
動画を拝見していると
「ホントですよ!」
とか
「ファンタジーじゃないよ!」
なんて、冗談交じりに解説していますが、なぜ内側に響いていくか、詳しい説明はありません。
ただ、そのしくみの説明がないと、やっぱり「本当なのかな…?」なんて思っちゃいますよね。
今回は、そのしくみを『Windshipの原理』で説明していきます。
前回のブログでご紹介した「脱力がもたらすもの」を前提にしてお伝えします。
脱力をすると、体内空間が確保され、体液の移動が発生するんでしたね。
実はこの体液の移動が、ポイントなんです。
さて、まずはじめに”ダメージのしくみ”について説明しようと思います。
え?なんでダメージの話?
早く浸透系パンチの説明をしてよ!
と感じる方もいらっしゃると思います。
おっしゃる通りです。
ただ、浸透系パンチを説明する上で、ダメージのしくみは、とても重要なんです。
少しお付き合いいただければと思います。
パンチを食らって、「きく〜っ」なんて動画がありますよね。
この効いている根本は、一体なんなのか。
実はその根本は、神経の圧迫なんです。
2 ダメージとは”神経の圧迫”
武術に限らず、格闘技やボクシングを拝見していると、
「あのパンチは効きましたね!」
なんてシーンが、よくありますよね。
この「効く」というのは、ダメージが大きいということです。
そしてこのダメージの正体は、”神経の圧迫”です。
Windshipの原理では、人間の本体を神経と捉えています。
そしてこの本体である神経は、圧迫を極端に嫌います。
つまり打撃というのは、人間の本体である神経が、極端に嫌うことをしている状態です。
だからこそ、不快に感じ、ダメージとして体に残ることになります。
そして一般的な考え方では、相手にダメージを与える際、
「可能な限り大きな力で」
「どれだけ打撃を相手の身体に食い込ませるか」
がポイントになっています。
この考え方は、ディフェンスのトレーニングにも現れています。
ボクシングではメディシンボール(重いボール)を使って、ボディーのダメージに慣れるように、腹筋を鍛えたりします。
空手でも、世界チャンピョンの福地さんのチャンネルで、「どれだけ耐えられるか」なんて動画をよく拝見しますが、これも腹筋を鍛えて、ダメージを軽減しようとした結果です。
つまり筋肉を鍛えて、打撃が身体に侵襲してくるのを防ぐという考え方です。
イラストで説明すると、こんな感じです。
筋肉が緩んでいると、侵襲が大きくなりダメージが大きくなります。
ところが筋肉でガードすると、侵襲が小さくなり、ダメージも小さくなります。
一般的にはこのような考え方で、ダメージを捉えていると思います。
もちろん、このような考え方で打撃を与えると、相手にダメージはあります。
ただこの考え方だと、浸透系パンチの威力について、説明することはできません。
そこで、ちょっと違った観点から、浸透系パンチについて説明していきます。
ポイントは『波』です。
3 浸透の正体は『疎密波』
皆さん、疎密波をご存知でしょうか。
波には横波と縦波の、2種類があります。
横波は視覚的に観測しやすい波で、
こういう波です。
それに対して、縦波は密度の変化を表す波で、
このような波です。
このように密度が「疎」な部分と「密」な部分が伝わっていく様子から、縦波は『疎密波』と言われます。
縦波と横波の違いがわかる動画がありましたので、ご覧ください。
違いはおわかりいただけたと思います。
実はこの『疎密波』を利用したのが、浸透系パンチなんです。
!?
はい?
そう感じると思うんです。
そのお気持ち、本当によくわかります。
なぜなら、波と言ったら誰もが、「横波」をイメージするからです。
横波は、日常生活の至るところで、見たり感じたりすることができます。
水が揺れている様子だったり、縄跳びなんかも横波の形ですよね。
そうなると、波と言われれば、必然的に横波をイメージするのも仕方ありません。
そうなんです。
疎密波は動画にあるような、特別な道具を使わないと、視覚的に観測することはほぼできないんです。
なぜなら、疎密波は密度の変化を伝える波だからです。
日常生活で感じる疎密波は、音波や衝撃波など、目に見えない波になります。
そして疎密波は目に見えない波だからこそ、それを利用している浸透系パンチは、不思議なものだと感じるんです。
目に見えないと、どうしてもピンときませんからね。
浸透系パンチでは、疎密波をパンチに乗せて身体に打ち込みます。
すると体内に、疎の部分と密の部分ができます。
密の部分というのは、すなわち圧迫です。
この圧迫が、身体の内側で神経を圧迫することになります。
イラストで説明すると、このような感じになります。
つまり、
パンチを通して、疎密波が身体の内側に入る
⇩
身体の内部に密な部分ができ、圧迫が生まれる
⇩
神経が圧迫され、ダメージになる
これが浸透系パンチの、ダメージの正体です。
ご理解いただけましたでしょうか。
いや、仮にそうだとしても、なぜパンチに疎密波が発生するの?
そのご意見、ごもっともです。
それでは、次にどのようなしくみで疎密波が発生するか、説明していきますね。
実はこれには、『脱力』がとても重要なんです。
4 疎密波は『脱力』がもたらす
前回のブログで、
「脱力は、体液の移動をもたらす」
とお伝えしました。
実はこの体液の移動が、疎密波を生み出すんです。
これは文章で説明するのはちょっと難しいので、イラストで説明しますね。
脱力してパンチを打つと、このように体液の移動が発生します。
すると…
このようにしてできた「体液の密度の差」が、疎密波を生みます。
縦波と横波の説明動画の「縦波(疎密波)」の発生させるときの、手の動きに注目してください。
パンチを繰り出すときの動きに、そっくりですよね!
脱力してパンチを打つことで、体液が移動して、拳から疎密波を発生させることができるんです。
このしくみは、水ヨーヨーをしたときにも、体感することができます。
水ヨーヨーって、中に水が入っているので、不思議な動きをしますよね。
あれは疎密波が発生しているから、あんな風に動くんです。
風船が先に動いて、後から中の水が追い付いてくる。
つまり風船という空間の中で、密度が変化しているわけです。
これは疎密波が発生する条件でしたね。
水ヨーヨーは、体内の体液移動をイメージするのに、ちょうどいいかもしれません。
以上がWindshipの原理から読み解いた、浸透系パンチの正体です。
5 まとめと次回のテーマ
今回のブログでは、人体の新しい観点をご紹介し、武術の身体操作を説明しました。
謎に包まれていた浸透系パンチですが、Windshipの原理に基づいて考えると、読み解いていくことができます。
脱力が、目に見えない波である「疎密波」を生み出すんでしたね。
武術系ユーチューバーの動画を拝見していると、
「身体を柔らかく使う」
「脱力する」
ということを繰り返しおっしゃっていますが、実は今回のブログで説明したような理由があったんです。
脱力してパンチを繰り出す
⇩
身体の中の体液の密度が変化して、疎密波が発生する
⇩
相手の身体の内側に疎密波が浸透して、神経を圧迫してダメージとなる。
こんな流れでした。
そして疎密波は、特別な道具がない限り、目で見て観測することがほぼできません。
だからこそ、浸透系パンチが不思議なものに感じていたわけです。
今回のブログでご紹介したしくみを理解していれば、浸透系パンチがよりマスターしやすいかと思います。
今回説明した内容も、Windshipの原理をもとにしています。
この原理は、あくまでわたし個人が提唱しているものです。
ごのブログをご覧になっても、「よくわからない」「違うんじゃないか」と感じる方いらっしゃると思います。
そんな方は、是非武術系ユーチューバーの先生方の門をたたいてみて下さい。
わたしのように言葉ではなく、身体の体験を通して教えていただけると思います。
こんな説明をしていますが、実は私、武術はからっきし駄目で…(^_^;)
先生方は楽しい動画もたくさん出していますので、是非ご覧になってください。
そして、きっとまだ皆さんが、不思議に感じていることがあると思います。
拓さんがウェイブパンチで、浸透する方向を調節したり…
雨宮先生が、手をほとんど触れないで相手を倒したり…
北川先生が、何とも言えない滑らかな動きで、相手を制したり…
東吾先生が、ワンインチパンチで、すごい破壊力を見せたり…
実はこれらの、
「えぇ…?」
という常人離れした技も、Windshipの原理を基に考えれば、読み解いていくことができます。
次回はその、「目に見えない技の作用」について、ご説明しようと思います。
お楽しみに。
【参考資料】(※すべてYouTubeにリンクします)
1 狂武蔵拓チャンネル
どのチャンネルも、とってもエキサイティングなので、是非チャンネル登録してくださいね♪
私は登録して、いつも楽しみに見ています。
※令和6年2月26日:ブログの冒頭に「概要」を追加し、内容を校正しました。
陸上自衛隊に15年勤務。リラクゼーションセラピスト。公認心理師。レンジャー隊員。
在職時は、年200件以上を対応するカウンセラーの任務の傍ら、気内臓療法(チネイザン)のインストラクターを務め、様々なボディケアを約10年間学んできました。
現在は自衛隊を卒業して、身体も心も癒すセラピスト。
『いくら寝ても疲れが取れない』
こんな悩みをお持ちの方に、心地よい眠りと疲労回復をサポートする施術でお応えしています。
このブログでは、身体の健康、心の健康、防災、そしてちょっとだけ自衛隊の話を綴っています。
セラピストとして学んだことや自衛隊での経験が、皆様のお役に立てば幸いです。
ブログの更新は毎週水曜日。
月に一度、ブログテーマのアナウンスをしています。
アナウンスをご希望の方は、ご連絡ください。
【連絡先はこちら】
LINE公式アカウント:https://lin.ee/ky0Ngjp
Mail:sukkirioasis@gmail.com
【読者になりたい方はこちら】
最後までご覧いただきありがとうございました。感謝です。
引き続き感染対策をして、安心安全の社会を作っていきましょう。
【前回のブログ】
【ホームページ】
https://www.sukkirioasis.com/
【公式Twitter】
『身体の健康・心の健康・防災』のニュースをツイートしています。
https://twitter.com/sukkirioasis
⇨フォローして、是非情報を受け取ってくださいね。
【経歴・資格など】
リラクゼーションセラピスト、公認心理師(国家資格)、産業カウンセラー、元陸上自衛官、レンジャー隊員、上級体育指導官、予備自衛官(心理)