自衛隊卒のセラピスト

セラピスト&自衛官の経験と共に、笑顔になる話題をお届けします。

【長寿化と老害】『それでもあなたは長生きしたいですか?』を読んで

令和6年12月4日

『長寿』はめでたいことです。ただそれにより高齢化社会が進み、新たな問題が起きているのも事実です。その問題について、富家孝先生の著書を読んだ感想をお伝えします。是非ご覧ください。

 

お疲れ様です。

 

自衛隊卒のセラピストの岡田 凰里(おかだ おうり)です。

 

ブログを読んで下さって、ありがとうございます。

 

 

12月に入りました。

 

季節的には冬ですが、まだ何となく秋という感じですね。

 

日中暖かいとそんな気分になってしまいます。

 

月末には冬らしくなるでしょうか。

 

 

さて、今月のブログのテーマは

『長寿化と老害

 

です。

 

長寿とは本来喜ばしいことです。

 

ただ長寿化に伴い、様々な課題が出てきているのも事実です。

 

そんな中で、老害という言葉が以前にもまして使われるようになった気がします。

 

わたしは普段、決して「老害」という言葉は使いません。

 

なぜなら人を傷つけてしまう言葉だからです。

 

ただもちろん、その言葉の意味する状況がないわけではありません。

 

そして長寿化が進めば進むほど、この「老害」という言葉が、社会全体に重くのしかかってくるような気がしてなりません。

 

また、わたしは一般の方とは真逆の観点から、人の命に向き合わなければなりませんでした。

 

それは元陸上自衛官、レンジャー隊員として、防衛をより現実に近い位置で担わなければならなかったからです。

 

ですので、一般の方とでは命に対する見方が違うと思います。

 

そんな変わった感覚を持っている人間であるからこそ、この問題について皆さんにお伝えできることがあると感じました。

 

 

前半2回は長寿に伴う高齢化社会の課題について。

 

後半2回は老害という言葉と、人生100年時代を生きるすべについて。

 

一般の方とは少し違った観点から、人間の命を見てきた人間がお伝えします。

 

少子高齢化社会を生きる、一助になれば幸いです。

 

 

今回は、富家孝(ふけたかし)先生の著書、

『それでもあなたは長生きしたいですか?~終末期医療の真実を語ろう~』

 

の読書感想文形式でお伝えしていきます。

 

ブログは以下の内容です。

1 長寿による高齢化社会の現状

2 長生きは本当に幸せか?

3 人間のほぼすべては「餓死」

4 尊厳死安楽死

5 まとめと次回のテーマ

それでは始めていきますね。

 

 

1 長寿による高齢化社会の現状

さて、まずブログを始める前に、「高齢者」の定義についてご説明します。


実は「高齢者」の用語について、一律の定義はないそうです。

 

感覚的には、65歳以上を「高齢者」と捉えることが多いような気がします。

 

ただ、近年の高齢者の心身の老化現象に関する種々のデータの経年的変化を検討した結果、、、。

 

特に65~74歳では心身の健康が保たれており、活発な社会活動が可能な人が大多数を占めているそうです。

 

こんな状況があるので、75歳以上を高齢者の新たな定義とすることが提案されているそうです。

 

医療制度では、65~74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者として、後期高齢者医療制度があります。

 

日本の総人口は、令和6年10月1日現在、1億2435万人。

 

65歳以上人口は、3623万人で、総人口に占める割合(高齢化率)は29.1%となっています。

 

65歳以上人口を男女別に見ると、男性は1571万人、女性は2051万人。

 

性比(女性人口100人に対する男性人口)は76.6であり、男性対女性の比は約3対4となっています。

 

前期高齢者「65~74歳人口」は1615万人(男性773万人、女性842万人)で総人口に占める割合は13.0%となっています。

 

後期高齢者「75歳以上人口」は2008万人(男性799万人、女性1209万人)で、総人口に占める割合は16.1%であり、65~74歳人口を上回っています。

 

 

皆さん、実感としてあると思うんですが、75歳以上の方でもまだまだ元気な方は、たくさんいらっしゃいますよね。

 

 

そして65歳以上人口と15~64歳人口の比率を見ると、昭和25年には65歳以上の者1人に対して現役世代(15~64歳の者)12.1人でした。

 

それに対し、令和5年には65歳以上の者1人に対して現役世代2.0人になっています。

 

70年ほどで、高齢者を支える現役世代の割合が、6分の1になっています。

 

さらに今後、高齢化率は上昇、現役世代の割合は低下し、令和52年には65歳以上の者1人に対して現役世代1.3人という比率になると見込まれているそうです。

 

平均寿命については、令和4年現在、男性81.05年、女性87.09年となっています。令和52年には、男性85.89年、女性91.94年となり、女性は90年を超えると見込まれています。

 

 

これが、少子高齢化社会の現状です。

 

 

なお、上記については令和6年度版高齢社会白書を引用・抜粋したものになります。

 

数字を見ると、高齢者の割合は今後どんどん増えることがわかります。

 

ちなみにわたしは、令和52年には後期高齢者

 

先述の数字が示すように、現役世代1.3人に支えてもらう立場になります。

 

そう考えると、なんだか申し訳ない気分になります。

 

できれば死ぬまで働いていたいと思っていますが、こればっかりはその年齢になってみないとわかりません。

 

こんな前提を踏まえて、長寿化の課題を見ていきたいと思います

 

 

2 長生きは本当に幸せか?

「健康で長生きしたい」

 

誰もがそう願っているでしょう。

 

中には、「太く短く」なんて考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、周りが長生きする中で、自分だけ短命というのも寂しく感じてしまうかもしれません。

 

また、いくら気を付けていても、病気をしてしまったり、怪我をしてしまったりして、身体が不自由になることもあります。

 

そして、意図せず病床で長く過ごすことになることもあるでしょう。


そんな中で、

「寝たきり老人にとって、長生きほど残酷なことはない」

 

「自分の力で生きられなくなった人間にとって、延命治療による長生きは無意味」

 

そんな結論に達した、お医者様の著書をご紹介しようと思います。

 

『それでもあなたは長生きしたいですか?~終末期医療の真実を語ろう~』

 

の著者、富家孝(フケタカシ)先生です。

 

富家先生は代々続く医者の家系に生まれ、ご本人も医師であり、医療ジャーナリスト。

 

医師の紹介などを手掛ける「ラ・クイリマ」代表取締役です。

 

その経歴はちょっと変わっています。

 

病院チェーンの経営、医療コンサルタント新日本プロレスのリングドクターを勤め、大学の助教授や講師も務めていらっしゃいます。

 

また、医療過誤を追求するジャーナリストとして活動し、ご自身の長男の医療過誤の裁判を争ったこともあるそうです。

 

そして先生ご自身は、現在後期高齢者

 

糖尿病を発症している上に、3度も狭心症による心臓手術を受けているそうです。

 

また、前立腺がんも患っており、コロナ禍の中では突発性難聴で10日間の入院生活を送ったそうです。

 

そんな豊富な経験を元に、この本を綴っています。

 

 

初めの章では「長生きは幸せか?」をテーマにしていますが、そのなかで興味深いデータがあります。

 

人生100年時代と言われていますが、あるアンケート調査によると日本人の7~8割が「100歳まで生きたくない」と答えているそうです。

 

婚活総合サービス 株式会社IBJの「長寿化に伴う人生観と結婚観に関する調査」(20~49歳の独身男女1526名 2019年)では、

 

「100歳まで生きたいか」

 

の質問に、

 

「そう思わない」

 

と、78.2%が答えているそうです。

 

これは独身の男女に行った調査なので、少し偏りがあるかもしれませんね。

 

その他にはポータルサイトビッグローブの調査(10~50歳代1500名)では、

 

「何歳まで生きたいか」

 

の質問に対する希望年齢の平均は、77.1歳だったそうです。

 

こちらのデータでは、若い方ほど長生きしたいと答えている傾向が強く出ています。

 

10代では90歳以上生きたいという方が、合わせて34.4%になります。

 

ま、若い体のまま長生きできるんであれば、もちろんそうしたいところですよね(^^;

 

ところが50代の方では、90歳以上まで生きたいという方は18.8%となっています。

 

歳を重ねていくと、加齢に伴う身体の変化を、現実的に受け止めなければならなくなるんだと思います。

 

この調査は、60歳から5歳刻みで回答する形式になっていますが、どの世代でも、80~84歳まで生きたいという方が一番多くなっています。

 

恐らくは、ぼんやりではありますが平均年齢まで生きられればいい、という感じなんだと思います。

 

これは多分、実際にその年齢になってみたらまた違った感じになると思います。

 

ただ、そんなアンケートなんてできません(^^;

 

高齢者の方に「何歳まで生きたいですか?」なんて聞けませんから(^o^;

 

 

わたし自身はというと…。

 

(^^;

 

健康であれば、何歳でもという感じです(^n^;

 

贅沢ですかね(^^;

 

まぁ、金銭的な問題もあるので、働けなくなるまでという感じかもしれません。

 

そして富家先生と同じような考えなんですが、寝たきりになって、延命治療を受けてまで生きたいとは思っていません。

 

ただ、どうなるかはその時になってみないとわからないですからね。

 

無理に長生きをしたいとは、思っていないということです。

 

それでは人間は、いったいどんな風にしてその命を終えていくんでしょうか。

 

 

3 人間のほぼすべては「餓死」

著書内の富家先生のお言葉を借りると、

 

『人間の死は、ほぼすべて「餓死」』

 

だそうです。

 

血管疾患による突然死や事故による失血死等を除くと、餓死ということになるようです。

 

文脈からわたしなりに解釈すると、

 

「病気になる」

 ⇩

「内臓機能が低下する」

 ⇩

「食事量が低下する」

 

もしくは、

 

「怪我をする」

 ⇩

「活動量が低下する」

 ⇩

「食事量が低下する」

 

こういう道をたどって「餓死」するということだと解釈できます。

 


そして先生は、「食欲と健康は一致している」と仰っています。

 

 

わたしの知り合いの年配の方から、「人間最後に残るのは、食欲よ!」と言われたことがあるので、そういうことなんだと思います(^^;

 

ガンになろうが、糖尿病になろうが、認知症になろうが、人間は餓死で死んでいく。

 

そして老衰でも、内臓機能が低下し食事が自然に取れなくなる、という見方になるんだと思います。

 

これが人間の死に方だそうです。


このような中でも、食事を経口摂取できなくなっても、延命することが可能になっています。

 

いわゆる延命治療です。

 

自ら望んで寝たきりになって延命治療を受けている方は、どのくらいいらっしゃるんでしょうか。

 

誰にも分らない問題です。

 

気がついてみたらそうなっていた、という方もいらっしゃると思います。

 

今回は長寿化をテーマにしていますので、若い方の延命治療は除いて考えていきます。

 

歳を重ね、自分が意図しないうちに寝たきりになり、延命治療を受けることになってしまう。

 

そんなことが終末期医療の現場では、実際に起きているようです。

 

そんな現実を目の当たりにしたからこそ、富家先生は著書で

 

「寝たきり老人にとって、長生きほど残酷なことはない」

 

「自分の力で生きられなくなった人間にとって、延命治療による長生きは無意味」

 

と、おっしゃっているんだと思います。

 

それではこの問題にどのように対処すればいいのか。

 

その方法の中に、尊厳死安楽死があります。

 

 

まず、尊厳死安楽死の定義について説明します。

 

定義については、公益財団法人日本尊厳死協会のコラムから引用しています。

 

尊厳死とは

「自分が不治かつ末期の病態になったとき、自分の意思により、自分にとっての無意味な延命措置を中止し、人間としての尊厳を保ちながら死を迎えること」

 

安楽死とは

「苦痛から患者を解放するために意図的・積極的に死を招く医療的措置を講ずること」

両者の違いは、積極的に死期を早めるかどうかに違いがあります。

 

富家先生の著書には

「日本では尊厳死は認められている」

 

と記載があります。

 

これは、実質的に尊厳死が認められているという意味で書いていらっしゃるようで、法律に「尊厳死」と明文化されているわけではないようです。

 

厚生労働省から終末期医療に関するガイドラインが出ていますが、そこに尊厳死という言葉はありません。

 

ただ、医療行為の一環として、いわゆる尊厳死と言われる行為が可能となっているようです。

 

富家先生は、尊厳死について肯定的な立場を取っています。

 

そして明言はされていませんが、安楽死についても肯定的な立場をとってらっしゃるように思えます。

 

それはあまりにも悲惨な、終末期医療の現場を見てきた経験があるからだそうです。

 

わたしは、終末期医療の現場を見たことはありません。

 

ただ著書を拝見すると、それは壮絶なものです。

 

さらに、経済性の高い延命治療もあるそうで、医療の本質とずれたことが行われている現実もあるそうです。

 

先日、国民民主党の玉木代表が尊厳死について言及した際、メディアからの総バッシングに遭いました。

 

社会保険料を軽減する目的に尊厳死を法律に明文化する」旨の発言が、バッシングの主要因の様です。

 

ところが、バッシングの記事をいくつか拝見したんですが、感情論がとても多く、反論の趣旨がいまいち読めませんでした。

 

倫理的な問題、命の尊さを訴えるもの等々ありましたが、行間を読み解くと安楽死尊厳死を混同してしまっているような気がします。

 

海外では安楽死が合法化されている国があります。

 

その国では、尊厳死安楽死に含まれてしまっているそうです。

 

どうやら、

 

「延命治療できるのにやらないのは、意図的に死を短くすることと同じ」

 

海外の方は、このように考えているような感じがします。

 

 

 

どうなんでしょうか。

 

 

 

何となくですが、日本人と外国の方との生死感に違いがあるように感じてなりません。

 

そういった感覚の違いを考慮に入れないと、この問題は語れないと思います。

 

 

 

そして、現実は甘くありません。

 

 

 

今回のブログの第1項でご説明した通り、令和52年には現役世代1.3人で高齢者1人を支える時代になります。

 

 

 

実際に、尊厳死を望む方もいらっしゃるそうです。

 

 

 

人間は生まれてから、すでに死に向かって歩みを進めています。

 

 

 

その歩みをどう進めるか。

 

 

 

もちろんお互いに助け合いは必要ですが、その歩みの責任は自分しかとれません。

 

 

 

生きることは「死への道を互いに見守ること」

 

 

 

そんな風に、言い換えることもできるかもしれません。

 

 

 

必ず終わりのある道を、どのように進むのか。

 

 

 

一度考えておいても、いいのかもしれません。

 

 

5 まとめと次回のテーマ

今回のブログでは、富家孝先生の著書『それでもあなたは長生きしたいですか?~終末期医療の真実を語ろう~』をご紹介しました。

 

そして、その著作を読書感想文形式でお伝えしました。

 

取り上げることができたテーマは、ほんの一部です。

 

がん、糖尿病、認知症については、その実情が詳しく描かれています。

 

もし興味がわいた方は、是非ご一読ください。

 


次回のブログでは、安楽死が合法の国で起こっていること』の読書感想をお伝えします。

 

今回のブログで取り上げた、尊厳死安楽死

 

それが合法の国では、予想もできない現実がありました。

 

是非ご覧ください。

 


参考文献

『それでもあなたは長生きしたいですか?~終末期医療の真実を語ろう~』 富家孝著 KKベストブック 2024年1月

 

参考資料

1 令和6年版高齢社会白書

2 婚活総合サービス 株式会社IBJウェブサイト

3 BIGLOBEウェブサイト

4 ヤフーニュース
「恐ろしい」「党員が再点火」国民民主・玉木代表「尊厳死」発言 公認候補が“ピンボケ”援護射撃で火に油

5 厚生労働省ウェブサイト

人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン

6 公益財団法人 日本尊厳死協会ウェブサイト

 

 

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陸上自衛隊に15年勤務。レンジャー隊員。公認心理師産業カウンセラー

 

在職時は、年200件以上の面談に対応するカウンセラーの任務を行うと共に、隊員に対して「災害派遣の心構え」を教育をしていました。

 

そんな自衛隊での教育や、自身の災害派遣の経験をアレンジして、現在は一般向けに「災害の心構え」をお伝えするセミナー講師。

 

 

『どんな災害も乗り越える』

 

 

その心構えを”自衛隊式”でレクチャーしています。

 

 

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〔※「Windship」及び「Windship treatment」は登録商標です〕

 

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