
【令和8年9月9日】
東日本大震災と同じ年に起きた「紀伊半島大水害」。紀伊半島一帯を襲った広域の大水害と、その復旧を担ったTEC-FORCEの活動をお伝えします。ぜひご覧ください☆
お疲れ様です。
自衛隊卒のセラピストの岡田 凰里(おかだ おうり)です。
ブログを読んで下さって、ありがとうございます。
9月に入りました。
気温はだいぶ下がり、夜は秋の虫が鳴き始めましたね。
朝晩は肌寒い気温になっていますので、寝冷えしないようには注意していきましょう(^^)
さて、9月は防災月間です。
それに合わせて、9-10月のブログテーマは
『平成23年紀伊半島大水害』
です。
平成23年に起きた災害と言えば、誰もが思い浮かべるのは
「東日本大震災」
だと思います。
これはわたし自身が、現役自衛官として災害派遣に携わった影響もあると思います。
ただ、同じ年の9月に近畿地方で、稀に見る広域で甚大な大水害が起きたことはご存じでしょうか。
その災害が『紀伊半島大水害』です。
紀伊半島一帯というとてつもなく広い範囲に被害をもたらした大水害ですが、水害に関しては毎年のように起きている印象です。
特に今年は、全国各地で大雨による水害が発生しています。
15年前に起きた大水害を通して、水害の被害と対処について、3回に分けてお伝えしていこうと思います。
今回のブログでは、大水害の概要と復旧を担った国土交通省の『TEC-FORCE』についてお伝えします。
ブログは以下の内容です。
1 紀伊半島大水害とは
2 甚大な広域被害の概要
3 TEC-FORCEの懸命な活動
4 必要不可欠な長期の地道な作業
5 まとめと次回のテーマ
それでは始めていきますね(^^♪
1 紀伊半島大水害とは
紀伊半島大水害は、平成23年8月25日にマリアナ諸島の西の海上で発生した、台風12号の大雨による災害です。
台風が大型でかつ動きが遅かったため、長時間にわたって台風周辺の非常に湿った空気が流れ込みました。
そしてこの台風の動きで特徴的だったのは、紀伊半島付近を縦断するように移動したことです。

珍しい経路だというのは、おわかりいただけると思います。
大抵の台風は、発生地点から沖縄の方に向けて移動し、その後は日本列島の太平洋側を舐めるようにして北上しますよね。
そして一般的には、台風の進行方向に対して右側の方が風が強くなります。
台風の渦は反時計回りなので、その動きと進行する動きが強め合うからです。

そしてこの台風では運悪く、湿った空気が勢いよく紀伊山脈にあたり、大雨を降らせる結果となったようです。

とくに降水量が多かった紀伊半島を中心とする8月30日18時から9月5日24時までの解析雨量の総降水量は、南東部を中心に広い範囲で1000ミリを超え、一部の地域では2000ミリを超える記録的な大雨になりました。
ちなみに先月の8月13日~14日にかけて、千葉県で記録的な大雨が降りましたが、24時間の雨量が364ミリです。
364ミリですら、あれだけの被害が出ているわけです。
紀伊半島大水害での降水量がケタ違いな上、それだけの雨が紀伊山脈に降れば、大きな被害が出るのは、想像に難くありません。
この大雨により土砂災害、浸水害、河川のはん濫などが発生し、奈良県、和歌山県、三重県での死者は72人、行方不明者は16人(被害状況は平成24年7月7日)
とくに降水量が多くなった奈良県、和歌山県では土砂崩れにより大規模な河道閉塞(天然ダム)が発生しました。
それではどのような被害が出たのか、具体的に見ていこうと思います。
2 甚大な広域被害の概要
この災害での和歌山、三重、奈良県での主な被害は、
●土砂災害:106件
〔内訳〕
・土石流等:59件
・地すべり:16件
・がけ崩れ:31件
●国道・県道の通行止め:236カ所
●孤立集落:18地区
●死者:72名 不明者:16名
数字を見ただけでも、被害の大きさがわかります。
そして被害をプロットした地図を見ると、どれだけ広域な被害だったかがわかります。

紀伊半島全域に、被害があったことが確認できます。
紀伊半島は日本最大の半島ですので、その全域にわたって被害があったと考えると、とんでもなく広範囲に被害があったことがおわかりいただけると思います。
関東の方であれば、房総半島全域で被害があったことをイメージしていただければとわかりやすいかもしれません。
それより広範囲で被害があったということです。
15年前の災害で、さらに広域にわたる災害で、まとまった映像資料が少ないのですが、ひとつの参考にこちらをご覧いただければと思います。
【和歌山県新宮市内の被害状況】
ちなみにわたしは今年に新宮を訪ねた際に、熊野川の河口に向けて写真を撮影したんです。

この広大な熊野川があの水かさになるとは、誰もが想像できなかったと思います。
ちなみに熊野川の水位は、約20m上昇したそうです。
そして上流域では、土砂による天然ダムが5つも発生しました。
天然ダムは決壊すると、その下流では甚大な被害が発生します。


紀伊半島大水害で雨が降り続いたのは、約5日間。
その豪雨によって、土砂災害が発生していないかヘリコプター7機を用いて調査が行われました。
その調査のお陰で、このような天然ダムが見つかりました。
皆さんはこのような調査を、誰が行うかご存じですか?
警察?消防?自衛隊?
いいえ違います。
それは国土交通省の専門チームになります。
そして国土交通省には災害対応のスペシャリスト集団
『TEC-FORCE(テックフォース)』
がいます。
3 TEC-FORCEの懸命な活動
TEC-FORCEとは『Technical Emergency Control FORCE』の略称で、国土交通省の緊急災害対策派遣隊のことです。
災害の際に迅速に地方公共団体等へ支援が行えるよう平成20年に創設されています。
全国の地方整備局等の職員がその任務にあたり、被災自治体が行う被災状況の把握、被害の拡大の防止、被災地の早期復旧等に対する技術的な支援を行っています。
TEC-FORCEの活動内容について、わかりやすく解説している動画がありましたので、是非ご覧いただければと思います。
【TEC-FORCEの活動内容】
〔※令和8年9月10日にこの動画を追加しました〕
そして今回のブログでお伝えしている大水害でも、もちろんTEC-FORCEの皆さまの活動がありました。



大規模自然災害の発生が懸念されている中、令和8年4月には隊員数を約1万8千人に増強(創設当初約2500人)されています。
警察・消防・自衛隊そして海保の隊員は、災害において被災者を直接支援する機会があります。
ただ、TEC-FORCEの職員の皆さまは、そういったことはあまり無いようです。
ですので、なかなかその活動に目を向けられることは無いのかもしれません。
また、平成20年に創設された歴史の浅いチームであるため、あまり周知がされていない部分もあると思います。
しかしその創設から18年間に、約180の災害に派遣をされています。
日本ではそれだけ多くの災害が発生し、その度に土木建築の支援が必要なほどの被害が出ているということです。
そして、道路の復旧や河川・土砂災害による被害の復旧がなければ、被災者は安心して生活することはできません。
被災者が災害を乗り越えていくためには、必要不可欠な支援です。
ただ、その支援は長期間に渡る、地道な作業です。
4 必要不可欠な長期の地道な作業
災害が起きた際の警察・消防・自衛隊・海保などの発災当初の任務は、主に人命救助です。
もちろんそれ以外の任務もありますが、被災者に接する任務が多いような気がします。
人命救助という人の命がかかった任務だったり、避難所での直接的な住民の支援なので、メディアなどの注目を浴びやすくなります。
注目が集まれば、それだけ被災者からも感謝もされやすいような気がします。
わたし自身、現役時代は被災者から感謝された経験があります。
しかし、TEC-FORCEやそれ以外の国交省の職員の皆様、土木建築に関わるお仕事をされている皆様の活動の場合はどうでしょう。
任務の相手は自然です。
圧倒的な破壊力でダメージを受けた被災現場に対して、次に同じような災害が起きないように、対策していくことがその任務です。
過酷な環境を克服しながら、復旧のための計測をしたり、


日常生活を取り戻すために、交通インフラを整えます。

人の足ではいけない現場の調査では、ヘリを活用したりもします

ちなみに令和8年4月現在、国交省は災害対策用に9機のヘリを保有しています。
そして、対策を施すにしても倒木や流木の処理をしなければなりません。

この倒木の多くは泥まみれで、すべて処分する方針だったそうですが、無料譲渡を公募したところ、民間事業者から要請があり、枝、根を除いた総量3万本全てを譲渡したそうです。
これは現場までの道路があり、運搬に問題が無かったことで実現したそうです。
また、海洋に流出したゴミの回収も、船舶の航行には不可欠な支援です。

そして土砂災害を防ぐためには、大規模な対策が必要になります。


このような作業が、紀伊半島の各地で行われました。
ちなみに、被災者に対して直接的な支援もされているようです。

建築土木に関わるお仕事をされている皆様の、長期間にわたる地道な作業の一端をご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
このような作業のお陰で、現地の皆様はもちろん、そこ訪ねる皆様の安心安全が確保されています。
復旧活動に携わった皆様に、心から感謝いたします。
ありがとうございます。
5 まとめと次回のテーマ
今回のブログでは紀伊半島大水害の概要と、その復旧を担ったTEC-FORCEについてお伝えしました。
そして、長期間に渡る地道な作業をしてくださった、土木建築の仕事に携わる皆様の活動の一端もご紹介しました。
被災現地で生活をしない限り、なかなか目にすることのない土木建築に携わる皆様の活動。
そんな活動があってこその復興です。
もしご旅行などで、被災後の現地を通りがかった際には、地道な活動をされている関係者の皆さまにも目を向けていただければと思います。
そして直接のお声がけは難しいと思いますので、心の中で感謝の気持ちを捧げていただければと思います。
次回のブログでは、紀伊半島大水害で被害の大きかった、那智勝浦町の被災状況と15年後の今ついてお伝えします。
是非ご覧ください。
【参考資料】
1 「2011年紀伊半島大水害」国土交通省近畿地方整備局 災害対応の記録(PDF) 国土交通省 近畿地方整備局 企画部企画課 紀伊半島大水害記録誌事務局発行 平成26年1月
2 災害時気象速報「平成23年台風第12号による 8月30日から9月5日にかけての大雨と暴風」(PDF) 気象庁 平成23年11月
3 平成23年紀伊半島大水害の被害と復旧の記録(PDF) 和歌山県 県土整備局
4 内閣府資料「2011年(平成23年)台風12号による災害」(PDF)
5 緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE) 国土交通省 水管理・国土保全局(PDF)https://www.mlit.go.jp/river/bousai/pch-tec/about/pdf/overview.pdf
6 気象庁Website
7 国土交通省Website
8 YouTube「cityshingu 」
9 YouTube「国土交通省東北地方整備局」
陸上自衛隊に約15年勤務。レンジャー隊員。公認心理師。産業カウンセラー。
在職時は、年200件以上の面談に対応するカウンセラーの任務を行うと共に、隊員に対して「災害派遣の心構え」を教育をしていました。
そんな自衛隊での教育や、自身の災害派遣の経験をアレンジして、現在は「災害の心の準備」をお伝えする研修講師。
『どんな災害も乗り越える』
そのマインドセットを”自衛隊式”でレクチャーしています。
このブログでは、防災のこと、身心の健康、そしてちょっとだけ自衛隊の話を綴っています。
自衛隊での経験やセラピストとして学んだことが、皆様のお役に立てば幸いです。
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公認心理師(国家資格)、産業カウンセラー、リラクゼーションセラピスト(1級)、元陸上自衛官、レンジャー隊員、上級体育指導官、予備自衛官(衛生官)
〔※「Windship」及び「Windship treatment」は登録商標です。〕
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