
【令和8年8月5日】
現代走法では前後に”振る”腕の動き。江戸走りでは違った感覚で腕を動かします。日本古来の身体操作と、腕の構造をに注目しながらその方法をお伝えします。ぜひ覧ください☆
お疲れ様です。
自衛隊卒のセラピストの岡田 凰里(おかだ おうり)です。
ブログを読んで下さって、ありがとうございます。
まずブログの初めに、令和8年7月28日に発生した熊本地震により被害を受けられた皆さまに、謹んでお見舞い申し上げます。
発災から1週間が過ぎました。
余震など、まだ予断を許さない状況です。
どうか身の安全を第一にお過ごしいただければと思います。
さて、7-8月のブログテーマは
『江戸走りを解剖する!』
です。
前回のブログでは「足の運びと着地の考察」についてお伝えしました。
現代走法でも江戸走りでも、つま先から着地していること
スピードによって、踵(かかと)の接地時間がかわること
そして足を運ぶ際の、現代走法と江戸走りの共通の注意点
江戸走りを現代に再現した、大場克則先生の動画をと共に、現代アスリートの動画を拝見しながらお伝えしました。
ぜひ前回のブログもご覧ください。
今回のブログでは、『腕の構造と動き』について考察します。
現代走法では、腕は「前後に振る」と習います。
確かにアスリートが走っているところを拝見すると、肩を軸にして腕を振り子のように振っています。
それに対して江戸走りでは、腕を上下に動かしていますよね。
これも江戸走りの特徴だと思います。
それでは、なぜこのような動きになるのか。
今回のブログでお伝えしようと思います。
日本古来の身体操作は、骨を中心とした脱力の身体操作です。
過去にもこのテーマでいくつかブログを書いていますが、そのブログも引用しながら江戸走りの腕の動きについてお伝えします。
ブログは以下の内容です。
1 腕は不安定な構造
2 振らずに綾吊る(あやつる)
3 失敗と教訓(腕の動き編)
4 脱力から抜力へ
5 まとめと次回のテーマ
それでは始めていきますね(^^♪
1 腕は不安定な構造
「腕はどこからですか?」
と質問されたら、皆さんはどう答えますか?
きっと肩から下の部分を”腕”と答えるのではないでしょうか。
わたし自身も通常の会話であれば、そのように答えます。
ただ、日本古来の骨の中心の身体操作的に言うと、少し話が変わってきます。
なぜなら、前腕、上腕はもちろん肩甲骨や鎖骨も含めて腕として身体操作するからです。
肩甲骨や鎖骨って肩じゃないの?と感じると思いますが、骨の構造を見てみると納得できるかもしれません。
骨格は体幹と体肢の2つの骨格に大別されます。
体幹の骨格である「軸骨格」は身体の縦軸をなす、頭蓋骨や背骨や肋骨など。
四肢を形成する体肢の「付属肢骨格」をなす、肩甲骨や鎖骨や上腕骨など。

骨の身体操作で腕を操作する場合は、肩も含めた付属肢骨格の『上肢』を操作します。

実は肩は不安定な構造で、怪我をしやすいと言われています。
なぜなら、強固な靭帯がないからです。
上肢の中で身体の体幹部分に靭帯で繋がっているのは1カ所だけで、それは鎖骨の胸鎖関節です。


肩関節は筋肉のバランスだけで関節を安定させています。
この肩関節への負担を和らげるために、現代走法では肘を曲げて、前後に降ります。

さらに腕を振りで、足を運ぶリズムをコントロールすることができます。
そして姿勢をよくするために、胸をはるので、肩甲骨は身体の内側に動かします。
身体を上方向から見ると、こんな感じです。

これは現代走法ですので、皆さんイメージしやすいと思います。
ところが江戸走りでは、腕は上下に振っているように見えます。
ただ、「振る」という概念で捉えると、江戸走りの腕の動きは理解しずらくなります。
2 振らずに綾吊る(あやつる)
江戸走りでは、腕は上下に振るのではなく、上下に綾吊ります。
はい?
と感じますよね(^-^;
「操る」
ならまだしも、
「綾吊る(あやつる)」
って・・・(^n^;
実はこれ、身体操作と身体感覚を元に言葉を当てはめています。
まず、江戸走りでは腕は上下には振りません。
振ろうとしてしまうと、力を入れることになります。
日本古来の身体操作は、骨を中心とした「脱力」の身体操作です。
力が入ってしまうと、うまく身体操作できなくなります。
もちろん現代走法のように前後に振ったとしても、力を入れることになります。
そして、上下に振ろうとすると、直線的な動きになります。
上下に動かしてしまうと、肩関節に極端に負担がかかってしまいます。
その理由は、前項で説明した通りです。
実はこの上下に見える運動は、腕を内旋しています。
大場先生はこんな動画で、腕の内旋の動きを説明しています。
これについて、もう少し詳しく説明しようと思います。
実は腕の筋肉は、骨に対して直線的についているものもありますが、纏わりつくようについているものもあります。
その纏わりつく筋肉を使うためには、肩甲骨を身体の外側方向に動かす必要があります。

それを大場先生は、「えぐり込むように」と表現しているわけです。
その纏わりついている筋肉を使って、腕をバネのような状態にしています。
この腕のバネが、着地の際に肩関節にかかる衝撃を吸収しているんです。
このバネの作用を働かせないと、着地の衝撃が肩関節に直接かかってしまいます。
腕が下がるときに内旋させて、バネの作用が働くようにし、上がるときにはバネが戻る力で外旋する。
これを繰り返すわけです。
「なんば走り(江戸走り)は、同じ側の手足を同時に出す」
と言われたりしますが、腕は出しているのではなく、着地の衝撃を吸収するために、バウンドさせているというのが適切な表現だと思います。
綾とは、
「織物の表面に糸が盛り上がっている様子」
を表現する漢字だそうです。
その様子って、筋肉の繊維に似ていますよね。

筋肉を「綾」と捉え、骨で吊っている。
これが「綾吊る(あやつる)」という言葉を使った理由です。
3年前に、
【ヒロ渡辺先生の纏絲勁を解剖する】ボルテックスと「うず」の力
をお伝えしました。
このブログで「うずの力」を利用すると、身体に糸が纏わりつくような身体感覚が得られることをご説明しました。
江戸走りの身体操作も同様です。
内旋というのは「うずの力」です。
うずの力を利用すると、身体に糸が纏わりつくような身体感覚を得られます。
その筋肉の糸のことを「綾」と表現しました。
そして、日本古来の身体操作は骨を主体とした、脱力の身体操作です。
骨で綾を吊るわけです。
イメージとしてはこんな感じですね。

ま、もちろん誰かに操られるわけではなく、自分で綾吊るんですが(^-^;
ただ、この骨を主体に筋肉を綾吊る感覚を得るまでには、失敗があったのは言うまでもありません。
日本古来の身体操作は骨を主体とした「脱力」の身体操作です。
そう、脱力・・・
脱力、、、
(^-^;
実は脱力しただけではダメなんです(^n^;
3 失敗と教訓(腕の動き編)
繰り返しで恐縮ですが、日本古来の身体操作は骨を主体とした「脱力」の身体操作です。
前項で、江戸走りでは腕は綾吊る(あやつる)とお伝えしました。
「脱力」と「綾吊る」は、やっぱり違うんですよね(^-^;
わたしは脱力を意識するあまり、綾吊る意識をせずに身体操作してしまいました。
脱力だけして腕を綾吊らなかった場合は、一体どうなるのか。
それは筋肉や腱のバネを極限まで使って、腕を動かすことになります。
その結果、何が起こったか…。
肩関節を痛めました、、、(TnT)
どんな動きでも同じですが、常に極限まで身体を操作すれば、関節を痛めます。
綾吊る意識がないと、肩関節の可動域の極限まで身体を動かすことになってしまいます。
そしてそこまでやってしまうと、関節に負担がかかってしまうことを、身に沁みて体験することができました(^n^;。
肩関節を、まぁまぁ痛めましたね(^^;
何というか、肩を脱臼しそうな兆候も感じました(^o^;
腕の関節に「うずの力」が、限界までかかってしまったようです(-_-;
普通であれば、関節に痛みが出た場合は、いったん休んだ方がいいんですが…。
性懲りもなく、江戸走りをしながら自分の身体操作を内省してみました(^ⅿ^;
すると、脱力だけではダメで、腕を綾吊らなければならないということに気がつきました。
ま、ひとことで言えば、「大場先生のやっている通りにやる」ということです(^-^;
先生の動画を拝見すると、しっかりと綾吊っています。
特にスピードが上がれば上がるほど、しっかりと綾吊らないと、肩関節への負担になってしまうので、気をつけなければなりません。
もし、江戸走りにチャレンジしようとしている方は、肩関節を痛めないようにするためにも、腕を綾吊る意識を忘れないようにしてくださいね。
わたしと同じ失敗は繰り返して欲しくないので、、、(^^;
ただ、この失敗は嬉しい経験でもありました。
4 脱力から抜力(ばつりき)へ
江戸走りに本格的に取り組み始めて2年。
常に脱力を意識して身体操作をしてきました。
なぜなら骨を中心とした脱力の身体操作は、鍛錬が必要だからです。
特に、脱力というのは一朝一夕でできることではありません。
少なくとも、「脱力」に関してはある程度身に付いたから、このような痛みが出たわけです。
その痛みも、内省することで原因がわかりました。
そして、「綾吊る」という意識が大切だということも発見できました。
これはきっと、脱力の身体操作から、抜力(ばつりき)の身体操作に進化したんだと思います。
3年前のブログ、『【ヒロ渡辺先生の纏絲勁を解剖する】ボルテックスと「うず」の力』でご紹介した、ヒロ渡辺先生。
先生が「抜力」という概念を提唱していました。
3分程度で構いませんので、こちらの動画をご覧ください。
当時のわたしには、先生がおっしゃっている意味が理解できませんでした。
日本古来の身体操作は骨中心の脱力の身体操作、という考えでした。
この考え自体は間違っていないんですが、そこには「綾吊る」という意識が抜けていました。
ヒロ先生がおっしゃっている「抜力」とは、
『脱力して、骨を中心に身体を綾吊る』
ということなんだと思います。
そして、脱力の身体操作を繰り返していると、だんたんとわかってくることがあります。
それは腕を綾吊るためには「肩甲骨」、足を綾吊るためには「骨盤」を操作する必要があるということです。
3年前のブログで、肩甲骨と骨盤が、矢状面、前額面、水平面のすべての断面において「うずの力」を発揮出来る骨とお伝えしました。
肩関節を痛めたおかげで、日本古来の身体操作においては、肩甲骨や骨盤を操作して、四肢を綾吊ることがとても大切だと改めて感じました。
日本古来の身体操作は、骨中心の脱力の身体操作改め、
『脱力して、骨を中心にカラダを綾吊る身体操作』
ということですね。
ヒロ先生の言葉を借りれば、「骨を中心とした抜力の身体操作」です(^^)
この感覚を得るために、3年以上かかってしまいました(^-^;
ま、わたしは変わり者なので、動画を参考に自分で試していましたからね。
きっと習えば、もっと早くマスターできると思います。
大場先生はセミナーを開催していますので、江戸走りにご興味がある方は、ぜひ習いに行ってみて下さい。
そしてこのブログが、江戸走りが広まるきっかけになれば幸いです。
5 まとめと次回のテーマ
今回のブログでは、江戸走りの腕の構造と動きについて、現代走法と比較しながらお伝えしました。
腕は上下に振るのではなく、内旋して弾ませていること
筋肉をバネにして、着地の衝撃から肩関節を守ること
脱力だけでなく綾吊る(あやつる)意識が必要なこと
過去のブログも参照しながら、お伝えしました。
腕の動きは、現代走法の動きとは、だいぶ異なりますよね。
それゆえに、失敗があったこともご紹介しました(^-^;
江戸走りにチャレンジしようと思っている皆様に、わたしの失敗がご参考になれば幸いです。
次の更新は、8月19日(水)の予定です。
次回のブログでは、江戸走りの『現代走法への応用と特徴の比較』についてお伝えします。
是非ご覧ください♬
【参考文献】
1 1級リラクゼーションセラピスト公式テキスト 初版第4刷 一社)リラクゼーション業協会 2021年6月
2 人体の構造と機能 第4版 エレイン・N・マリーブ著 ㈱医学書院 2019年2月
【参考資料】
1 YouTube「大場香門」
2 YouTube「狂武蔵たくちゃんねる」
【熱中症予防のための水分補給法】
【一昨年の江戸走りのブログ】
【日本古来の身体操作のブログ】
陸上自衛隊に約15年勤務。レンジャー隊員。公認心理師。産業カウンセラー。
在職時は、年200件以上の面談に対応するカウンセラーの任務を行うと共に、隊員に対して「災害派遣の心構え」を教育をしていました。
そんな自衛隊での教育や、自身の災害派遣の経験をアレンジして、現在は「災害の心の準備」をお伝えする研修講師。
『どんな災害も乗り越える』
そのマインドセットを”自衛隊式”でレクチャーしています。
このブログでは、防災のこと、身心の健康、そしてちょっとだけ自衛隊の話を綴っています。
自衛隊での経験やセラピストとして学んだことが、皆様のお役に立てば幸いです。
ブログの更新は隔週水曜日。
月に一度、ブログテーマのアナウンスをしています。
アナウンスをご希望の方は、ご連絡ください。
【連絡先はこちら】
LINE公式アカウント:https://lin.ee/ky0Ngjp
Mail:sukkirioasis@gmail.com
【読者になりたい方はこちら】
最後までご覧いただきありがとうございました。感謝です。
【公式X(エックス)】
『身体の健康・心の健康・防災』のニュースをポストしています。
⇨フォローして、是非情報を受け取ってくださいね。
【経歴・資格など】
公認心理師(国家資格)、産業カウンセラー、リラクゼーションセラピスト(1級)、元陸上自衛官、レンジャー隊員、上級体育指導官、予備自衛官(衛生官)
〔※「Windship」及び「Windship treatment」は登録商標です。〕
【前回のブログ】






















































