【令和5年9月20日】
土砂災害から10年経った伊豆大島。その復興は容易なものではありません。先日の現地取材で撮影した写真と、被災当時の写真を比較しながら、再生した今の伊豆大島をご案内します。是非ご覧ください。
お疲れ様です。自衛隊卒のセラピストの岡田 凰里(おかだ おうり)です。ブログを読んで頂いてありがとうございます。
9月も下旬に入りました。
まだまだ暑い日が続いていますね(^^;
いつまで続くことやら…(^o^;
ただ、朝と夕方は秋の気配を感じるようになってきました。
この暑さの峠は、なんとか越した感じがしますね。
これからは寒暖の差が激しくなってくると思いますので、体調管理には注意していきましょう。
前回のブログでは、町役場へのインタビュー、そしてそれについて私が感じたことをお伝えしました。
日本で起きるすべての種類の災害に備えている、大島町役場
被災後10年の道のり
そして、心構えが大切であること
そんなことをお伝えしました。
前回のブログも是非ご覧ください。
今回のブログでは、土砂崩れを起こした現場の今をお伝えします。
主に被害の大きかった大金沢地区の現状と、再生した自然についてお伝えしていきます。
ブログは以下の内容です。
1 慰霊碑へお参り
2 10年後の被災地の今
3 再生した自然を望んで
4 災害を乗り越えるために
5 まとめと来月以降のテーマ
それでは始めていきますね。
1 慰霊碑へお参り
実は町役場へのインタビューに行く前日に、災害で犠牲になられた方々の慰霊碑のお参りに伺ったんです。
とても景色の良い場所にありました。
慰霊碑は、大島メモリアル公園内にあります。
大島メモリアル公園は、土砂災害の跡地に作られた公園です。
全く同じ場所ではないとは思いますが、下の写真のような被害があった場所を整地して作られました。
(※参考資料1より引用 写真提供:気象庁)
(※参考資料1より引用 写真提供:気象庁)
今では、災害当時の面影は全くありません。
階段を登って、慰霊碑へ向かいます。
景色がとてもいいので、大島に訪れた際は是非足を運んでみて下さい。
2 10年後の被災地の今
大島メモリアル公園から見える山には、10年前の土砂災害の爪痕を見て取ることができます。
公園から少し離れた野増地区からも、その爪痕がうかがえます。
遠目からですが、茶色い山肌は確認できません。
この土砂崩れの跡を、近くで見てみることにしました。
御神火スカイラインをサイクリングしながら、10年後の土砂崩れの跡の今をお届けします。
【御神火スカイライン】
前回のブログでお伝えしましたが、土砂崩れが起きたところには、再生事業で人の手が入っています。
ですので、自然だけの力で回復したわけではありません。
下から見えた部分の、ピンポイントの場所とはいかないと思いますが、それを踏まえた上でご覧ください。
いざ、山へ向け登っていきます。
緑の濃淡はあるものの、自然は回復しているのを感じることができます。
(※参考資料1より引用 写真提供:気象庁)
ちょっと景色は麓に戻りますが、この砂防の先は大金沢流水路に続いています。
さてさて、また御神火スカイラインに戻ります。
ここも10年前の爪痕と思われます。
取材目線で見れば跡は見えてきますが、そうでなければ普通の草むらです。
そして土砂崩れのスタート地点と思われる場所から、海を臨むことができました。
この地点から遥か下の方に、被害の大きかった元町地区を望むことができます。
さらに登っていくと、最近できた土砂崩れの跡がありました。
山で土砂崩れが起きるのは仕方ないことですが、やっぱりその破壊力はすさまじいものがあります。
御神火スカイラインを登り切って、三原山山頂口からの景色はとっても素敵でした。
お食事をいただいた、「歌乃茶屋さん」からの眺めも最高でした♪
3 再生した自然を望んで
今回10年後の被災地を望んでみて、わたし個人の感想は、
「あの災害から復興したんだな」
と感じました。
わたしの様に、被災直後の現場を直接見た経験のある人間は、大島の風景を遠目に見れば、
「あれはあの時崩れた跡だ」
と認識できます。
これは、取材目線で見ているからだと思います。
ただ、そういう経験がなければ、今の大島の風景を見ても
「これがあたりまえの風景」
そう感じると思います。
さらに近くで見てみると、緑で覆われていて、10年前に土砂災害があったとは思えない風景が広がっていました。
そして実はこの取材の後、コロナ前に伊豆大島に観光に行ったという方と話す機会があったんです。
その方は、災害の爪痕は感じなかったとおっしゃっていました。
コロナ前というと、4年ほど前でしょうか。
その時点ですでに観光目線であれば、災害の爪痕を感じない程まで復興していたんだと思います。
そしてこの復興した「あたりまえの風景」は、地元の方はもちろん、自治体の方が根気強く地道に復興を続けた証だと思います。
お陰様で安全安心の、楽しい取材ができました。
心から感謝致します。
ありがとうございます。
4 災害を乗り越えるために
災害は理不尽です。
本当に理不尽です。
今回の取材で、当時土砂が崩れた大元と思われる部分から、街の景色を見てみました。
その標高は、400ⅿを越えています。
つまり、東京タワーやあべのハルカスを優に超える高さから、土砂と流木が流れてきたわけです。
そんなところから土砂が流れてきたら、ひとたまりもないことは想像に難くありません。
その土砂災害が起きた時間は、真夜中の午前2時~午前3時頃。
丑三つ時の真っ暗闇の中、土砂崩れが起きたということです。
そしてこの土砂崩れは、台風という移動しながら風雨をもたらす自然現象により発生しました。
そしてその台風がもたらした雨量は、1時間に125㎜を記録。
その月の1か月の平均降水量は329mm
つまりたった1時間で、月の降水量の1/3を超える雨が降ったわけです。
そんな量の雨が降ると、誰が予想できたでしょうか。
そして標高400mを超えた地点から、海にまで至る土砂崩れ発生すると、誰が予想できたでしょうか。
発生した後であれば、いくらでも分析できます。
「こういうメカニズムで発生した」
そんなことは発生した後であれば、いくらでも論じることができるんです。
わたしが何をお伝えしたいのか。
それは、
「自然災害の発生を事前にすべて予測するのは、不可能である」
ということです。
このマインドセットを持って、災害に備えて欲しいんです。
そのための準備と、心構えをしておいていただきたいんです。
もちろん防災のために、何重もの対策が行われています。
ただその対策だけでは、被害を100%防ぐことはできないんです。
防災を語る上で、「自助・共助・公助」という言葉があります。
この言葉が示す通り、まずは「自助」なんです。
今月は防災月間。
もし災害の準備と心構えが後回しになってしまってるな…と感じる方は、この機会に一度向き合っておきましょう。
災害のことに向き合うのは、億劫に感じるかもしれません。
それは誰もが同じだと思います。
ただ、一度しっかり準備と心構えをしておけば、安心して日常を過ごすことができますよ。
ブログの最後に災害備蓄のブログを張り付けておきますので、是非ご覧になってみて下さい。
5 まとめと来月以降のテーマ
今回のブログでは、被災地の10年後の今をお伝えしました。
10年経った伊豆大島の自然は、再生していること。
防災対策が施され、安心して観光ができること。
災害は理不尽で、すべてを予測するこは不可能であること。
そんなことをお伝えしました。
災害というのは、滅多に起きることではありません。
滅多に起きないことに備えるのは、本当に大変なことです。
ただ備えがないと、その被害は甚大になります。
その備えの一歩として、まずは「自助」
自分自身の備えをしましょう。
そして自分で備えをしてみると、何事もなく過ぎていく日常や、自分の知らない所で施されている防災対策のありがたさを、きっと感じることができると思います。
このブログが、そんなことを感じる一助になれば幸いです。
伊豆大島の取材の旅は、防災について得るものが多かった上に、本当に楽しかったんです。
是非皆さんも伊豆大島に行って、楽しい時間をお過ごしいただければと思います。
取材させていただいてありがとうございました。
心から感謝致します。
ありがとうござます。
以下、来月以降のブログについてご連絡です。
大変恐縮ではございますが、10月と11月はブログの更新をお休みします。
この2カ月は、これまでのブログのまとめ記事をお届けしますので、ご了承ください。
そして12月は一年の締めくくりとして
「火器と爆薬から命を守る」
をテーマにお届けします。
是非ご覧ください。
【参考資料】
1 平成25年伊豆大島土砂災害記録誌(PDF) 平成29年3月 東京都伊豆大島町防災対策室編著
2 気象庁HP
※令和6年2月28日:ブログの冒頭に「概要」を追加し、内容を校正しました。
陸上自衛隊に15年勤務。レンジャー隊員。公認心理師。産業カウンセラー。
在職時は、年200件以上の面談に対応するカウンセラーの任務を行うと共に、隊員に対して「災害派遣の心構え」を教育をしていました。
そんな自衛隊での教育や、自身の災害派遣の経験をアレンジして、現在は一般向けに「災害の心構え」をお伝えするセミナー講師。
『どんな災害も乗り越える』
その心構えを”自衛隊式”でレクチャーしています。
このブログでは、防災のこと、身心の健康、そしてちょっとだけ自衛隊の話を綴っています。
自衛隊での経験やセラピストとして学んだことが、皆様のお役に立てば幸いです。
ブログの更新は毎週水曜日。
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【前回のブログ】
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【経歴・資格など】
リラクゼーションセラピスト(2級)、公認心理師(国家資格)、産業カウンセラー、元陸上自衛官、レンジャー隊員、上級体育指導官、予備自衛官(衛生官)
〔※「Windship」及び「Windship treatment」は登録商標です。〕