【令和5年12月13日】
普段の生活で扱うことのない「銃」。その特性と対処法を知っておけば、危険を回避する確率を上げることができます。わたしは元自衛官。銃を扱った経験をもとにお伝えします。是非ご覧ください。
お疲れ様です。自衛隊卒のセラピストの岡田 凰里(おかだ おうり)です。ブログを読んで頂いてありがとうございます。
12月も中旬に入りました。
そろそろ今年のカウントダウン…なんて時期になりましたね。
暖かい日が続いていますが、海外では何やら肺炎の様な病気が流行りつつあるというニュースも拝見します。
体調には十分注意して過ごしましょう。
さて、前回のブログでは銃や爆発物に関する事件に、遭遇した際のマインドセットをお伝えしました。
「必ず生き延びる」
という強い意志を持って、”迅速にその場を離れる”んでしたね。
逃げ惑ってしまうと2次被害を起こす可能性が高くなります。
逃げるという消極的なマインドではなく、生き延びるという積極的なマインドで行動するようにしてくださいね。
今回のブログでは、銃に関する事件に遭遇してしまった場合の、具体的な対処法についてお伝えしていこうと思います。
まだ記憶に残っている方もいらっしゃると思いますが、先日10月31日に、埼玉県戸田市で銃を持った人物による、発砲及び立てこもりの事件が発生しました。
実はわたし、前日に仕事でちょうど事件現場のすぐそばにいたんです。。。(*o*)!
事件の一報を聞いてびっくりしました。
ニアミスだったなと。
今回のブログでは、この事件も引き合いに出しながら、銃への対処法をお伝えします。
ブログは以下の内容です。
1 対処の前提
2 銃の特性
3 まずは射線から外れる
4 離脱が困難な場合
(1) まずは姿勢を低く
(2) 動ける範囲で動く
(3) もし人質になってしまったら
5 まとめと次回のテーマ
それでは始めていきますね。
1 対処の前提
まず、今回の説明で前提とする銃は、基本的には単発の銃とします。
日本で銃の犯罪に遭遇した際に蓋然性のある凶器は、拳銃や散弾銃だと思われます。
機関銃等の連射をするための銃器に遭遇することは、日本ではまずないといっていいでしょう。
仮に機関銃を前にしても、銃に詳しくない方は見分けがつかないと思いますので、基本的には単発の銃と同じような対処をとってください。
機関銃に対処するためのお話は・・・
蓋然性の低いことに対しては、わたしのブログでお伝えするのは控えたいと思います。
詳しく知りたい方は、専門の方の情報に頼ってください。
そしてもう一つ。
銃に関する事件に遭遇してしまった際、100%安全な方法というのはありません。
専門的な訓練を受けていても、被害を受けてしまう場合もあります。
逆に、なんの準備もしていなくても、全く被害がなかったという場合もあります。
つまり、その場の運に左右される要素があるということです。
ただ、運だけで対処してしまうと、それはもう単なる博打になってしまいます。
ですので、このブログでは「危険を回避する確率を上げる方法」をお伝えしていきます。
運と生き延びる手段。
この二つを併せて、危険を回避する確率を上げていきましょう。
それではまず初めに、銃の特性について説明したいと思います。
2 銃の特性
さて、銃の特性をお伝えする前に、わたしが射撃したことのある銃をご紹介したいと思います。
まずは64式小銃。
次に89式小銃
そして最後に9ミリ拳銃
まぁ、元自衛官ですから(^^;
当然射撃したことがあります(^。^;
これ以外にも様々な銃はありますが、実弾射撃についてはこの3つです。
そんな経験のもとお伝えするんですが、、、
「狙わないと当たらない」
これが銃の特性です。
当たり前のことのように聞こえるかもしれませんが、これはとても重要なことです。
例えばナイフのような凶器の場合、持ち方がどうだろうが構えが何だろうが、振り回して相手に突進すれば、危害を加えることができます。
しかし、銃の場合はそうはいきません。
「構える」
「狙う」
「撃つ」
というこの3つのステップを踏まないと、基本的には当たりません。
偶然流れ弾に…、なんてことはあるかもしれません。
ただ、これは運の要素ですね。
特定の対象に危害を加えようとしている場合、構える・狙う・撃つの3ステップを踏まないと、相手に当てることはまずできません。
つまり逆に言うと、適当に構えたり、適当に狙ったり、適当に撃ったりしても、基本的には当たらないということです。
ですので、このような事件に遭遇した際、自分が狙われているかどうかを確認することが非常に大切です。
こんな時に前回のブログでお伝えしたように、”怯えて逃げ惑って”しまうとどうでしょう。
この状態では、まず間違いなく自分が狙われているか確認しないでしょう。
ですので、”迅速にその場を離れる”というマインドセットを持って、自分が狙われているかを確認しながら、可能な限り迅速にその場を離脱してください。
こういう感じでしたね。
それでは、このマインドを持った上で、離脱する際の具体的な注意点についてお伝えしまね。
3 まずは射線から外れる
「射線」
きっと聞きなれない単語ですよね。
射線というのは、射撃を行う際の、銃砲身の軸の延長線のことです。
こういうことですね。
つまり、射線上にいなければ弾は当たらないということです。
ですので離脱する際は、銃から離れるのももちろんですが、射線に入らないようにするのがポイントです。
ここで離脱をイメージしてみると、人間の動きの特性上、どうしても直線的に動いてしまうと思います。
ただ、射線上を直線的に離れようとすると、的は小さくなるんですが、狙いやすくなってしまうんです。
上から見た図で説明すると、このような感じです。
ですので、射線から外れる方向に離脱してください。
そして可能な範囲で構いませんので、極力低い姿勢で離脱するようにしてください。
低い姿勢になることで、射撃の的を小さくすることができます。
そして、犯人から自分の姿が見えない場所に離脱することができれば、まずは一安心です。
そこから慌てずに、なるべく距離のあるところまで離脱しましょう。
ただ、どうしても犯人から迅速に距離をとることができない場合もあります。
そんな時に、極力危険を避けるための方法をお伝えしますね。
4 迅速な離脱が困難な場合
安倍首相の銃撃事件の動画を拝見すると、演説をたくさんの方が聴いている最中に事件が起きています。
犯人はすぐに取り押さえられましたが、あのような状況で警察の方がいなかった場合、すぐに取り押さえられるわけではありません。
そうなると、前の方で演説を聞いていた方は、すぐには逃げることはできません。
こんな時にどうすればいいか、お伝えしていきますね。
まずは、姿勢を低くすることです。
これは前項でもお伝えしましたが、これだけで的が小さくなりますので、狙いにくくなります。
そして、目線の高さのものの方が狙いやすいので、低い姿勢になれば必然的に狙う対象から外れる可能性が高まります。
ただ、この際に座り込んでしまったり、伏せてしまったりすると動けなくなってしまうので、しゃがむまでにとどめましょう。
しゃがんだら、怯えずに相手の銃を見ましょう。
そして動ける範囲で構いませんので、射線から外れるように動きます。
こんな感じの方向に動くんでしたね。
この際、極力姿勢を低くして、射線に気を配りながら動くようにしてください。
動いているだけで、狙いにくくなるんです。
そして犯人が、特定の人物に危害を加えることを目的としていた場合、自分自身がその特定の人物でなければ、そのまま離脱できるでしょう。
ただ、犯人の企図が人質を取って、何かを要求することの場合には話が変わってきます。
自分に射線が向いていて、
「動くな!」
「逃げるな!」
「止まれ!」
そんな風に命令されてしまった場合は、その命令に逆らわないようにしてください。
専門の訓練をしていない方が人質になってしまった場合には、残念ですが犯人に抵抗しないということに尽きます。
抵抗しないで、警察の専門部隊が助けに来るまで、じっと待ちましょう。
そして、専門部隊が突入してきた際には、動かないことです。
ビックリするかもしれませんが、動いてしまうと救助の妨げになってしまうと同時に、犯人と勘違いされるかもしれません。
動かずに警察の方の指示に従いましょう。
先日起きた、埼玉県戸田市の立てこもり事件でも、銃を持った犯人が人質を取っています。
そして、途中で人質が解放されるシーンも、放映されていました。
抵抗しなければ、こういったこともあります。
諦めずに、辛抱強く待ちましょう。
そして人質になった際には、あまり落ち着いた雰囲気は出さないことです。
犯人からすると、落ち着いた雰囲気は、
「抵抗の意志がある」
と勘違いされてしまう場合があります。
おとなしく、そして不安そうに待つようにしてください。
必ず助けは来てくれます。
5 まとめと次回のテーマ
今回のブログでは、銃に関する事件に遭遇した際、生き延びる確率を上げる方法をお伝えしました。
射線から外れて、姿勢を低くして迅速に離脱するんでしたね。
そして、離脱が困難な際の対処法についてもお伝えしました。
特別な訓練をしていなくても、一度イメトレをしておけばできる方法ですので、是非一度やってみて下さい。
やるかやらないかで、いざという時の行動が違ってきます。
そして前回のブログでもお伝えしましたが、このような事件に巻き込まれることは、まずありません。
一度イメトレをしておけば十分です。
万が一のことに気にし過ぎても、仕方ないと思います。
事件のことはあまり気にせず、治安を守ってくれている方に感謝しながら、楽しい日常をお過ごし頂ければと思います。
次回は爆発物の対処法と、その対処の限界についてお伝えします。
是非ご覧ください。
【参考文献】
1 戦争における「***」の心理学 デーヴ・グロスマン著 安原和見訳 ちくま学芸文庫 2004年
2 「戦争」の心理学 人間における戦闘のメカニズム デーヴ・グロスマン/ローレン・クリステンセン共著 安原和見訳 二見書房 2008年
※令和6年2月26日:ブログの冒頭に「概要」を追加し、内容を校正しました。
陸上自衛隊に15年勤務。レンジャー隊員。公認心理師。産業カウンセラー。
在職時は、年200件以上の面談に対応するカウンセラーの任務を行うと共に、隊員に対して「災害派遣の心構え」を教育をしていました。
そんな自衛隊での教育や、自身の災害派遣の経験をアレンジして、現在は一般向けに「災害の心構え」をお伝えするセミナー講師。
『どんな災害も乗り越える』
このブログでは、防災のこと、身心の健康、そしてちょっとだけ自衛隊の話を綴っています。
自衛隊での経験やセラピストとして学んだことが、皆様のお役に立てば幸いです。
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【経歴・資格など】
リラクゼーションセラピスト(2級)、公認心理師(国家資格)、産業カウンセラー、元陸上自衛官、レンジャー隊員、上級体育指導官、予備自衛官(衛生官)
〔※「Windship」及び「Windship treatment」は登録商標です。〕