自衛隊卒のセラピスト

セラピスト&自衛官の経験と共に、笑顔になる話題をお届けします。

【平成30年北海道胆振東部地震】最大震度観測地『厚真町』のその後

お疲れ様です。自衛隊卒セラピストの岡田凰里(おかだおうり)です。ブログを読んで頂いてありがとうございます。

 

9月に入りました。

 

8月に比べると、だいぶ暑さが和らいできましたね。

 

東京では感染者数が減少傾向にあります。

 

ただ、マスクを使う生活はもう少し続きそうです。

 

マスクコントロール、うがい、手洗いを継続して、感染症を乗り越えていきましょう。

 

 

さて、9月は防災月間です。


そこで今月は、防災についてお伝えしていこうと思います。


先月のブログで、北海道取材の際に立ち寄ったところを、ご紹介しました。

 

 

実はこの取材は、平成30年度に発生した「北海道胆振(いぶり)東部地震」の取材だったんです。

 

実は、昨日でちょうど4年が経過しました。

 

まずはこのブログをお届けするにあたって、犠牲になられた方々のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。

 

 

 

 

そして、この取材を計画していた時に、偶然にも知床の観光船KAZU1号の沈没事故が発生しました。

 

そこで、胆振東部と知床に赴き、防災の観点から現地取材を行うことにしました。

 

やっぱり現地に行って、現場を見て、実際に現地の方と話さないとわからないことが、たくさんありました。

 

今月のブログは、防災月間に当たって前半2週で、胆振東部地震のその後について、

最大震度観測地『厚真町(あつまちょう)』のその後

景観が与える心理的な影響

 

を取材をもとにお伝えします。

 

 

そして、後半2週は

知床観光船を含む、フェリーの安全について

熊害について

 

このような内容をお伝えしていこうと思います。

 

今週のブログは以下の内容です。

1 胆振東部地震とは

2 厚真町役場に赴いてみて

3 防災担当は『元自衛官

4 インタビューを終えて

5 まとめと次回のテーマ

それでは始めていきますね。

 

 

1 胆振東部地震とは

皆さんは平成30年に北海道で発生した、胆振(いぶり)東部地震を覚えていますか?

 

わたしはその頃はまだ自衛官でしたので、はっきりと覚えています。

 

わたしが所属していた部隊からも、災害派遣に向ったからです。

 

わたし自身は本部勤務でしたので、現地に行くことはありませんでしたが、

「移動だけでも大変だね」

 

というような話をしたのを覚えています。

 

 

山での大規模な土砂崩れや、北海道全体がブラックアウトしたりと、センセーショナルなニュースが流れたので、印象に残っている方もいるかもしれません。

 

 

まずは…

 

 

胆振ってどこ?』

 

 

と感じますよね(^^;

 

 

北海道の方でもなければ、具体的な場所がわからないと思うんです。

 

実際私も、今回調べるまで、具体的な地域は知りませんでした。

 

胆振はここになります。

 

胆振」というのは北海道の旧国名

 

関東の旧国名だと、東京近辺は武蔵の国とか、神奈川辺りは相模の国とか言ったりしますよね。

 

北海道には胆振の国という旧国名があったそうです。

 

胆振は東西に長くて、最大震度を観測した厚真町はここになります。

 

 

ですので、「胆振東部地震命名されているわけです。

 

最大震度は厚真町鹿沼で観測された、震度7

 

北海道で震度7は、初めて観測されたそうです。

 

震源の深さ37Km

 

マグニチュード6.7

 

北海道全域で、揺れが観測されました。

 

発生日時は9月6日午前3時7分

 

真夜中に発生した地震でした。

 

大規模な土砂災害などにより、44名が死亡

 

785名が負傷

 

住家全壊491棟、半壊1,816棟

 

以上のような甚大な被害が出ました。

 

そして死者の大多数は、今回取材させていただいた厚真町の方です。(37/44名)

 

住家の全壊も半数近くは厚真町になります。(235/491棟)

 

 

最大震度を観測したというのが、数値からも読み取れます。

 

 

こんな甚大な被害が出てから、4年の年月が経ちました。

 

そんな厚真町のその後を、取材させていただきました。

 

 

2 厚真町役場に赴いてみて

当日はJR千歳線沼ノ端駅でレンタカーを借りて、厚真町役場まで伺いました。

移動経路はこのような感じです。

 

 

移動中はまさに「雄大」という言葉がふさわしい、北海道の自然を見ながらのドライブになりました。

 

途中、エゾリスですかね?…、道からどいてくれなくて…(^^;

 

ラクション鳴らしても、ダメ(^n^;

 

待っていたら、何とか移動してくれたんですが、そんな感じの、自然豊かなところでした。

 

 

道中は震災の爪痕を感じることは、ありませんでした。

 

 

もしかしたら、細かく見ればあったのかもしれません。

 

 

ただ、運転をしながら見る限りは、わかりませんでした。

 

厚真町の中心街に着いてみても、特にそういう感じはありませんでした。

 

道路や建物は、もう復旧しているな、という感じでした。

 

厚真町役場の担当者の方へのインタビュー前に、まずは慰霊碑にお参りしました。

 

 

令和3年9月建立とありますので、震災からちょうど3年の節目に作られたんだと思います。

 

慰霊碑に一礼して、町役場へ。

 

いざ防災担当の方へのインタビューに。

 

 

3 防災担当は『元自衛官

インタビューをしたのは7月上旬でした。

 

この日の気温は、なんと午前中で30度を超えていました(^.^;

 

受付の庁舎は冷房がなく、話しかけた係の方は、ものすごく暑そうに仕事をされていました。

 

 

そうですよね。

 

 

前日行った、国立アイヌ民族博物館「ウポポイ」の係員の方も、フーフー言いながらお仕事されてましたもん(^n^;

 

北海道の方には、7月上旬に、しかも午前中で30度越えは堪えますよね。

 

 

受付後に防災担当の方が来て、ご挨拶。

 

別室に行って、インタビューをさせて頂きました。

 

 

インタビューの最初に伺ったのが、

「私も元自衛官です」

 

とのこと。

 

 

ビックリはしたんですが、定年退職された方が、自治体に「防災監」として再就職することがあるのは知っていました。

 

改めて陸上幕僚監部のHPで調べてみると、「地域防災マネージャー制度」というものがありました。

 

内閣府が防災の専門性を有する人材の能力を、証明する制度だそうです。

 

そういった証明をお持ちの方が、地域の防災担当になっている自治体があります。

 

適材適所の、最たるものですね(^o^)

 

そんな方が防災担当をしていると、心強いと感じます。

 

自衛官は、災害に慣れていますから。

 

わたし自身、振り返ってみても災害派遣に携わった回数は、両手では足りません。

 

色々とインタビューさせていただいたんですが、その中でも一番印象的だったのが、

あんな風に山が崩れるなんて、誰も想像できなかった

 

とおっしゃっていたことです。

 

 

これは、本当におっしゃる通りだと、強く感じました。

 

わたし自身、災害の現地を何度も見てきましたが、その想像以上の被害に、圧倒されることが何度もありました。

 

あの状態を予想しろというのは、無理があるんです。

 

 

そう。

 

 

つまり災害の予想には、確実に限界があります。

 

 

想像を超える災害は、必ず起きるんです

 

 

最近では雨による水害や噴火ついては、リアルタイムの情報が入るようになっていますが…

 

それでもやっぱり限界はあります。

 

そんな予想外のことに対応するのは、筆舌に尽くしがたい労力が必要になります。

 

4年が過ぎた災害のこととはいえ、そんな大変さが伝わってきたインタビューでした。

 

インタビューに応じて頂いて、本当にありがとうございました。

 

感謝いたします。

 

 

4 インタビューを終えて

インタビューを終えて、自治体の災害対応について、わたしが感じたことをお伝えしようと思います。

 

災害復旧業務は多岐にわたりますが、もちろん被災した現地の担当者だけでできる訳ではありません。

 

様々な支援を得て、実施されます。

 

この胆振東部地震の対応のために、厚真町役場は、9月の発災からその年の12月末までの約4カ月間で、延べ人数約3万人の支援を受け入れています。

 

国からの支援、道内からの支援、他県からの支援、そして警察・消防・自衛隊

 

それに対して、町役場の職員の総数は100名ほど。

 

単純計算になりますが、町役場の職員の皆様は、約4カ月のうちに、一人当たり300名の方に対応したことになります。

 

災害に対応し、住民の方にも対応しながら、これだけの支援を受け入れるということを、同時にやってらっしゃったということです。

 

これは、生半可なことではないのが、容易に想像できます。

 

そして被災した現実を目の当たりにしながら、それをやらなければならない。

 

さらに人によっては、自分自身が被害を受けながらも、業務をしなければならない。

 

実際に被災したことがある方や、災害直後の現場に臨んだことがある方は経験があると思うんです。

 

 

あの、得も言われぬ不安感と緊張感を…。

 

 

わたし自身、何度も体験しました。

 

 

 

本当に大変だったと思います。

 

 

 

そして災害対応の業務に、「慣れているか」という問題もあります。

 

自治体の方々は、普段の業務があります。

 

災害の対応というのは、メインの業務ではなく、基本的には訓練でしか経験がないことがほとんどでしょう。

 

もしかしたら、民間企業にお勤めの方よりは訓練しているかもしれません。

 

それでも、年に何回もできるものではありません。

 

もちろん災害の備えは必要なんですが、滅多に起きないことに時間と労力を割くのは、とても難しいことです。

 

慣れていない業務をこなすというのは、プラスアルファの疲労感を感じざるを得ません。

 

 

さらに言うと、訓練と現実は違います。

 

 

わたしは自衛官でしたので、普段の訓練の延長線上に、災害派遣の任務がありました。

 

そして何度も災害派遣されているので、災害に慣れています。

 

 

つまり経験に基づいた、「心の準備」が常にありました。

 

 

ただ、この心の準備は、事前に心理的な教育を受けない限り、訓練だけで養うことはできないんです。

 


そして、災害に慣れている人なんて、ほとんどいません。

 

きっと災害派遣されたことのある警察官、消防官自衛官くらいでしょう。

 

訓練でしかやったことのない慣れない業務を、想像を超える被害を受けながら対応する。

 

恐らく町役場の皆様は、疲労と不安の極限で、お仕事をされていたんだろうな…

 

そんな風に感じました。

 

 

5 まとめと次回のテーマ

今回のブログでは、胆振東部地震の最大震度観測地「厚真町」での取材をもとに、わたしが感じたことをお伝えしました。

 

実はインタビューの中で、もう一つ印象に残ったことがあります。

 

担当者の方に、

「役場の皆さんは、感謝されましたか?」

 

と伺ってみたんです。

 

すると、

「いやいや、やるのが当たり前なので。」

 

とのこと。

 


確かに、役場の皆様は公務員。

 

 

被災してその対応をするのは、当たり前です。

 

 

税金でお給料を頂いているから、ということですよね。

 

 

わたしも元自衛官(公務員)でしたので、税金からお給料を頂いていました。

 

 

ただ災害派遣に行くと、感謝されることが多かったんです。

 

 

滅多に見ない自衛官が、「災害派遣されてきた」というのは特別なことに映るからだと思います。

 

 

確かに特別なことには、感謝の気持ちが沸きやすいものです。

 

 

これはこれで、いいと思います。

 

 

 

ただ、災害を本当の意味で乗り越えるためには、

 

当たり前のことに、感謝できるか

 

がポイントになります。

 

 

つまり、心理的な要素に左右されるんです。

 


災害を乗り越える上で、家や町が復旧して、普段の生活が送れるようになることが、まずは第一です。

 

ただ、それだけだと

乗り越えた

 

という感覚は、得られないんです。

 

そこには、心理的な要素が、どうしても必要になってきます。

 

次回のブログでは、現地取材の写真を通して、心理的な面から災害の復興についてお伝えします。

 

是非ご覧ください。



 

 

今週の体重

先週60.1㎏⇒今週57.7㎏

 

体重をアップする理由
【頑張らないダイエット③】 お手軽にも程がある!"超時短"筋トレ法

 

参考資料
1 厚真町・安平町・むかわ町平成30年北海道胆振東部地震記録誌(PDF) 
2 陸上幕僚監部 人事教育部 募集・援護課HP 「陸上自衛隊 退職自衛官雇用ガイド」https://www.mod.go.jp/gsdf/retire/bousaikan.html
3 厚真町観光協会HP 「厚真町震災学習プログラム」https://atsuma-kankoukyoukai.jp/guide/

 

 

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陸上自衛隊に15年勤務。レンジャー隊員。

 

在職時は、年200件以上を対応するカウンセラーの任務の傍ら、気内臓療法(チネイザン)のインストラクターを務め、様々なボディケアを約10年間学んできました。

 

現在は自衛隊を卒業して、身体も心も癒すセラピスト。

 

『いくら寝ても疲れが取れない』

こんな悩みをお持ちの方に、眠りと疲労回復をサポートする施術でお応えしています。

 

このブログでは、身体の健康、心の健康、防災、そしてちょっとだけ自衛隊の話を綴っています。

 

セラピストとして学んだことや自衛隊での経験が、皆様のお役に立てば幸いです。

 

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引き続き感染対策をして、安心安全の社会を作っていきましょう。

 

 

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経歴・資格など
ラクゼーションセラピスト、公認心理師(国家資格)、産業カウンセラー、元陸上自衛官、レンジャー隊員、上級体育指導官、予備自衛官(衛生官)