自衛隊卒のセラピスト

セラピスト&自衛官の経験と共に、笑顔になる話題をお届けします。

【平成30年北海道胆振東部地震②】景観が及ぼす心理的な影響

令和4年9月14日

大規模な地震が起きると、必ず景観は変化します。市街地はもちろん、自然の景観も形が変わってしまいます。その変化が人間の心理に与える影響を、現地取材をもとにお伝えします。是非ご覧ください。

お疲れ様です。自衛隊卒セラピストの岡田凰里(おかだおうり)です。ブログを読んで頂いてありがとうございます。


気が付けば9月も中旬になりました。

 

秋の気配が、日に日に感じられますね。

 

 

さて、今月は防災月間です。

 

 

そこで今月のブログテーマを4年前に発災した、

平成30年北海道胆振東部地震

 

にしています。

 

 

前回のブログでは、厚真町役場での取材で感じたことをお伝えしました。

 

想像を超える災害に対応するのは、本当に大変なことです。

 

 

そして、災害を本当の意味で乗り越えるのは、

「当たり前のことに、感謝すること」

 

 

これがポイントになること、つまり心理的な要素が重要であることをお伝えしました。

 

 

今回のブログでは、その理由を説明していこうと思います。

 

今週のブログは以下の内容です。

1 なぜ4年後に取材を?

2 今も残る土砂崩れの爪痕

3 心理的な影響とその対策

4 〇〇が日本一の『厚真町

5 まとめと次回のテーマ

それでは始めていきますね。

 

 

1 なぜ4年後に取材を?

今月のテーマで、胆振東部地震を取り上げていますが、

 

 

「なぜ4年後の今、取材をしたんですか?」

 

「今さら取材して、どうするんですか?」

 

 

そんな風に思った方もいるかもしれません。

 

確かに、その通りです。

 

被災地の支援のためには、タイムリーに被害状況を伝え、支援の必要性を訴えなければなりません。

 

 

ただわたしは、報道関係者やジャーナリストではありません。

 

 

心理の国家資格を持つ公認心理師であり、「災害の心構え」をテーマにセミナーを行っている、セミナー講師です。

 

 

災害の心理的な問題に対処するために、取材活動を行っています。

 

 

心理的な問題は、とてもデリケートです。

 

 

時間を置かなければ、振り返ることがでないことが、多々あります。

 

 

リアルタイムで、取り扱うことができるものではありません。

 

 

そんなわけで、4年後という時期を選びました。

 

 

今回取材をする上で、事前準備として

厚真町の復旧・復興とまちづくりに関するアンケート(PDF)」

 

の結果を拝見しました。

 

地震から2年後の令和2年8月に実施されたアンケートです。

 

このアンケートを拝見すると、1つの顕著な傾向が見られます。

 

それは、

山林などの自然景観

についての結果です。


このアンケートでは、被害からの復旧・復興状況を、

・田畑などの農地

山林などの自然景観

・まちなみ・住宅地の景観

・地域の経済

・まち全体の活気

・人と人とのつながり

・自身の暮らし向き

 

以上7項目について、質問しています。

 

回復状況に関する質問には

「回復している」

「概ね回復している」

「あまり回復していない」

「回復していない」

「悪くなっている」

 

の5段階で調査しています。


この質問に対して、6割の方が『山林などの自然景観』について、

「あまり回復していない」

「回復していない」

「悪くなっている」

 

と答えています。

 

地域別に見ると、北部地区では65%の方が、厚真地区では70%の方がそのように回答しています。

 

厚真町は南北に長いので、土砂災害の大きかった北部地区や厚真地区では、この傾向が強いようです。

 

 

同様に、今後の見通しへの不安では、先述の7項目に対して

「良くなると思う/不安はない」

「あまり不安はない」

「やや不安に思う」

「不安に思う」

「わからない」

 

の5段階で調査していますが、

 

5割以上の方が、『山林などの自然景観の再生』について

「やや不安に思う」

「不安に思う」

「わからない」

 

と答えています。

 

そして地域別でもやはり北部地域では70%弱、厚真地区では60%を超える方が、そのように回答しています。

 

皆さんも記憶には残っていると思うのですが、この地震では想像を絶する大規模な土砂崩れが起きました。

 

そこでアンケート結果をを踏まえて、この土砂災害が、その後どのようになっているのか、現地を取材してみました。

 

 

2 今も残る土砂崩れの爪痕

正直な話、現地の取材をして愕然としました。

 

まだこんな状況なんだ…、と。

 

もちろん土砂は取り除かれ、道路も復旧しているので、生活を送る上では問題ありません。

 

ただ、景観としてはどうかというと…。

 

確かに復旧したとは、言い難いと感じました。

 

アンケート結果にも、うなずけます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恐らく人が活動する所を優先して、治山工事がされているんだと思います。

 

写真に撮り切れなかったのですが、丘陵地帯では四方八方に震災の爪痕がありました。

 

あれだけの大規模な土砂崩れを工事していくのは、本当に大変なことなのだと、身をもって感じました。


そして、現地の取材をしていて印象的だったのが、

「治山工事済の場所は緑があること」

 

です。

 

人間と自然の両方の力を合わせて、景観が回復していくことを、目の当たりにすることができました。

 

自然だけの力で、緑を回復するのは、とても難しいようです。

 

 

それではこのようなに、災害後手つかずになっている景観は、心理的にどのような影響があるのでしょうか。

 

 

3 心理的な影響とその対策

景観が及ぼす心理的な影響をひと言で言うと

 

 

地震で被害があったことを、思い出さざるを得ない」

 

 

これに尽きます。

 

丘陵地帯、どこへ行っても未だに茶色い山肌が見える。

 

この状況では、どうやったって地震のことを、思い出さざるを得ません。

 

当時のことを思い出してしまう方も、いらっしゃるでしょう。

 

そんなことを思い出したい人はいないはずです。

 

このような中で、普段の日常を送るのは、とても辛いことだと感じました。

 

 

もしかしたら

「そんなの割り切って、やっていくしかないじゃないか」

 

 

そう思う方もいらっしゃるかもしれません。

 

確かにそれは、一理あります。

 

 

ただ、目に入ってくる風景を、消すことはできません。

 

 

治山が済んだところならまだしも、災害後の手つかずの景観が必ず目に入ってくる。

 

 

さらに言うと、茶色の山肌って、とっても目立つんです。

 

 

気にするなという方が、無理があります。

 


仮にこれを気にしないで生活をするとすれば、

「感情を殺す」

 

 

これしかないと思います。

 

ただ、感情を殺しながら、普段の生活を送るのは、とても苦しいことです。

 

 

 

それでは、どうすればいいか。

 

 

 

現段階でわたしがご提案できるのは、

感謝をすること

 

です。

 

爪痕が残る、手つかずの景観を見た時に、

 

 

・記憶の中にある、当たり前だった風景

 

・災害に耐え、無事でいてくれる景観

 

・治山工事が済み、回復していく緑

 

 

これらの一見すると、「当たり前のようなこと」に対して、感謝をする。

 

不安を抱くのではなく、感謝を抱くようにする。

 

こんな方法がいいと思います。

 

 

 

災害で甚大な被害があった際には、人間はどうしても否定的な感情を抱いてしまいます。

 

その中でも「不安」は、最も強い感情の内の1つになります

 

これは人間であれば、誰もが抱く感情です。

 

それを消すことは不可能です。

 

ただその不安に囚われてしまうと、普段の生活を心地よく送ることはできません。

 

もしかしたら

 

前向きに生きていかなきゃ

 

ポジティブに考えないと

 

頑張らなきゃダメでしょ

 

そう感じる方が、いらっしゃるかもしれません。

 

もちろん、そのような気持ちも大切だと思います。

 

ただ自然災害の圧倒的な破壊力を前にしたとき、

 

「前向き」

 

「ポジティブ」

 

「頑張る」

 

という気持ちを持ち続けるには、限界があるんです。

 

 

復興には長い時間がかかります。

 

 

ゴールがどこにあるのか、誰にもわかりません。

 

 

このような状況のときに、『ずっと前向きで、ポジティブに頑張る』なんてことはできないんです。

 

 

 

 

 

そこでこのような状況のときには、

 

感謝のマインドセット

 

をおススメしています。

 

 

 

 

感謝をすると、自然と笑みがこぼれます。

 

 

「ありがとう」と言うと、肩の力が抜けます。

 

 

そして感謝のコミュニケーションは、お互いが心地よい気持ちになれます。

 

 

これが感謝のマインドセットです。

 

 

 

こんな風に、当たり前のことにも感謝をして、「ありがとう」と言葉に出して、感謝のコミュニケーションをして、心地よい気持ちで生活を送ることが、災害を乗り越えるポイントになります。

 

 

 

 

今回のブログでは、胆振東部地震の取材を通してお伝えしていますが、もちろん他の災害に際しても、同じことが言えます。

 

 

これは幾多もの災害現場を経験し、災害に関する文献を読み、そして今回の取材を通して、わたしがお伝えできることです。

 

 

災害は誰の身にも起こりうることです。

 

 

今回ご紹介した感謝のマインドセットが、災害を乗り越える際の一助になれば幸いです。

 

 

 

 

 

 

なんだか、少ししんみりした感じになってしまったかもしれません。

 

このままブログを終えると、なにか厚真町の方々が、未だに災害に打ちひしがれているような感じになってしまいますね。

 

 

いえいえ、とんでもない。

 

 

取材に際に立ち寄ったところでは、皆さん笑顔でわたしを迎えてくれました。

 

そんな自然豊かで、笑顔の溢れる厚真町で立ち寄ったところを、ご紹介したいと思います。

 

 

4 〇〇が日本一の『厚真町

前回のブログでご紹介した町役場での取材は、午前中に終わりました。

 

そこで昼食は、厚真町の中心街でいただくことにしました。

 

今回ごちそうになったのは、食空間ゆるりさんです

 

北海道はラム肉が有名ですが、豚も美味しいの、うっかり忘れていました(^^;

 

 

 

そして昼食後に丘陵地帯の写真撮影に向かったんですが、至る所で「ハスカップ摘み」のノボリが。

 

 

そう。

 

 

実は厚真町は、ハスカップの作付け面積が日本一なんです!

 

 

って、ハスカップって何?って感じですかね(^n^;

 

そうですよね。

 

北海道だけでしか栽培していないので、知らないという方もいらっしゃるかもしれません。

 

ブルーベリーみたいな感じですが、別物です。

 

なんと、このハスカップ、2週間ほどしか収穫時期がないらしく、わたしが行ったときには、ちょうど収穫時期だったようです。

 

このブログを書くために調べたら、あとで知りました(ToT)

 

知ってれば絶対やってました!

 

ハスカップ、大好きなんです(^v^)

 

ああ…。次にハスカップの時期に北海道へ行けるのはいつだろう…(TnT)

 

ノボリの写真だけでも、取っておけばよかった~。

 

 

そして、レンタカー返却の帰り道に寄ったのが、浜厚真です。

 

海岸に着いた時は、雨が降っていましたが、浜に車を乗り入れている方がいました。

 

え?いいの?と感じたんですが、お話を伺ったところ、車乗入れOKで、しかもバーベキューもOKだそうです。

 

まあ、確かにこれだけ広ければ、車を乗り入れようが、バーベキューをしようが、大丈夫ですよね(^.^;

 

さすが雄大な大地を有する北海道ですね♪

 

ちなみに浜厚真海浜公園は、サーファーの聖地と言われているようです。

 

初心者から上級者まで楽しめるとのこと。

 

北海道ではメジャーなサーフィンスポットだそうです。

 

 

北海道の波を楽しめて

 

北海道の雄大な自然も楽しめて

 

北海道ならではのグルメも楽しめる

 


それが厚真町です。

 

ご興味が沸いた方は、是非観光協会のホームページをご覧ください。

 

ブログの最後にリンクを張り付けておきますね。

 

食空間ゆるり
食べログで見る
※お店の許可を得て掲載しています。

 

厚真町で食事をする

食べログで調べる

ホットペッパーで調べる

 

 

5 まとめと次回のテーマ

今回のブログでは、景観が与える心理的な影響と、その対策についてお伝えしました。

 

災害後の手つかずの場所が日常生活の中にあると、当時のことを思い出さざるを得ません。

 

「感情を殺して気にしない」

 

という方法もあるんですが、それは決して心地いいものではありません。

 

そんな時には、当たり前のように感じることにも、「ありがとう」と、感謝の気持ちを抱く、

感謝のマインドセット

 

がおススメです。

 

普段の生活の中でも、取り入れていただければ幸いです。

 

思わず笑みがこぼれますよ。

 

 


災害を乗り越えるというのは、生半可なことではありません。

 

当時のことを思い出して、

「つらい」

「くるしい」

「かなしい」

 

こんな気持ちになることが、あると思います。

 

人間ですから、これは仕方ないことです。

 

ただそんな時には、特別な支援に対する感謝と共に、

「当たり前のことに、感謝する」

 

こんな風にしていくと、本当の意味で災害を乗り越えていけると、わたしは考えます。

 

 

 

厚真町の治山工事の進捗状況は、令和3年1月末現在で51.4%。

 

完了予定は令和6年3月です。(※1)

 

まだしばらくは、災害の生々しい爪痕と共に、過ごしていかなければならない厚真町です。

 

自然の景観に関しても、そして気持ちの面でも、災害から復興できることを、心より願っております。

 

 

取材させていただいて、本当にありがとうございました。

 

 

感謝いたします。

 

 

 

次回のブログでは、知床の現地取材を通して、海の安全と水難救助の現実についてお伝えします。

 

是非ご覧ください。

 

 

厚真町観光協会HP

 

復興の歩みをご覧になりたい方はコチラ

ユーチューブで動画が見れます。

 

今週の体重

先週57.7㎏⇒今週58.8㎏

 

体重をアップする理由

【頑張らないダイエット③】 お手軽にも程がある!"超時短"筋トレ法

 

参考資料

1 厚真町・安平町・むかわ町平成30年北海道胆振東部地震記録誌(PDF) 

2 北海道厚真町HP「厚真町の復旧・復興とまちづくりに関するアンケート(PDF)

3 厚真町観光協会HP 「厚真町震災学習プログラム

 

※令和6年3月25日:ブログの冒頭に「概要」を追加し、内容を校正しました。

 

 

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陸上自衛隊に15年勤務。レンジャー隊員。公認心理師産業カウンセラー

 

在職時は、年200件以上の面談に対応するカウンセラーの任務を行うと共に、隊員に対して災害派遣の心構え」を教育をしていました。

 

そんな自衛隊での教育や、自身の災害派遣の経験をアレンジして、現在は一般向けに「災害の心構え」をお伝えするセミナー講師。

 

 

『どんな災害も乗り越える』

 

その心構えを”自衛隊式”でレクチャーしています。

 

 

このブログでは、防災のこと、身心の健康、そしてちょっとだけ自衛隊の話を綴っています。

 

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経歴・資格など

公認心理師(国家資格)、産業カウンセラー、リラクゼーションセラピスト(2級)、元陸上自衛官、レンジャー隊員、上級体育指導官、予備自衛官(衛生官)

〔※「Windship」及び「Windship treatment」は登録商標です。〕

 

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