自衛隊卒のセラピスト

セラピスト&自衛官の経験と共に、笑顔になる話題をお届けします。

【 距離感と 境界線で 共生を 】凄惨な『熊害(ゆうがい)』から命を守る

令和4年9月28日

冬眠近くになるとよく聞く、熊による被害「熊害(ゆうがい)」。駆除をすると賛否両論が巻き起こります。実際に熊に遭遇した経験と共に、現実的な対策をお伝えします。是非ご覧ください。

お疲れ様です。自衛隊卒セラピストの岡田凰里(おかだおうり)です。ブログを読んで頂いてありがとうございます。


もう9月も終わりですね。

 

秋が、近づいているのが感じられます。

 

 

さて、今月は防災月間です。

 

 

月の前半では4年前に発災した、平成30年北海道胆振東部地震』をテーマに、

9/7 最大震度観測地『厚真町』のその後

9/14 景観が与える心理的な影響

 

をお伝えしました。

 

そして前回のブログでは、KAZUⅠ号の事故を振り返って、

9/21 海の安全と水難事故の残酷な現実

 

をお伝えしました。

 

 

今月のブログが、防災の一助になれば幸いです。

 

 

いつもであれば、月末のブログはわたしが赴いた、「美味しいお店」「心地よい場所」のご紹介をするようにしています。

 

ただ、今月はどうしてもお伝えしたい内容があります。

 

 

それは『熊害(ゆうがい)』についてです。

 

 

知床に取材に行ったときに、ヒグマに対する注意喚起を至る所で目にしました。

 

そしてネットニュースでは、全国各地至る所で熊に関する被害を、毎日のように拝見いたします。

 

 

農作物の被害だけでなく、人的被害まで出ています。

 

 

このような現状を踏まえて、今週のブログでは熊の被害の事例や、わたし自身の実体験を交えて、『熊害』を防災という観点からお伝えします。

 

今回のブログは以下の内容です。になっています。

1 熊ってかわいい!?

2 人間は『捕食対象』になる

3 距離感と境界線で熊害を防ぐ

4 北海道取材を通して

5 まとめと来月のテーマ

 

それでは始めていきますね。

 

 

1 クマってかわいい!?

熊害の話なのに…

 

 

何を言っているんですか!!

 

 

そんな声が聞こえてきそうですね(^^;

 

 

確かにおっしゃる通りなんですが、クマをモチーフにしたものって、たくさんありますよね。

 

 

クマのプーさんが一番有名でしょうか。

 

ディズニーのキャラクターですよね。

 

テディーベアなんかもありますね。

 

こちらも愛好家の方が、たくさんいらっしゃいます。

 

 

そして、くまもん(^^;

 

 

それ以外にも、クマのぬいぐるみは無数にあります。

 

人間にとって、クマはそれだけ「かわいい!」と感じる動物というわけです。

 

そして動物園に行った時も、こんな様子を見てしまうと…

 

なんだか、ほんわかした気持ちになりますよね(^^)

 

こんなの見ちゃったら、クマに親近感を持ってしまいますよね。

 

 

しかも、「くまクマ熊ベアー」なんてアニメもやっています(^n^;

 

 

って、結局全部クマやないけ!

 

 

しかも職業『クマ』ってなんや!!

 

 

あ、ちなみに「くまクマ熊ベアー」は、もとはライトノベルだそうです(^.^;

 

ま、こんなアニメが放映されるのも、それだけクマが愛されている証拠だと思います。

 

 

確かにかわいいんですが…

 

 

あくまでそれは、『見ている分には』です。

 

 

2 人間は『捕食対象』になる

ネットでニュースをチェックしていると、今月は特に熊に関するニュースを毎日拝見します。

 

 

目撃情報

 

 

畑の被害

 

 

人身被害

 

 

農作物の被害がある上に、実際に重傷を負っている方がいらっしゃいます。

 

そして、熊害を防ぐためにも、厳然たる事実を明記しておこうと思います。

 

 

 

熊にとって、人間は捕食対象。

 

 

 

熊は人間を食べるんです

 

 

 

熊の被害を防ぐことは、自分たちの命を守るのと同じことなんです。

 

 

 

この事実が、獣害ではなく「熊害」に焦点を当てた理由です。

 

 

熊は基本的にはおとなしい性格と言われています。

 

さらには臆病で、人間を恐れて逃げるとも言われます。

 

ただそれは、熊のテリトリーの外にいるときだけの話です。

 

テリトリーに踏み込んでしまった場合には、そうはいきません。

 

 

実はわたし、熊のテリトリーに入ってしまい、威嚇の唸り声をあげられた事があります。

 

本当に恐ろしかったです。

 

命のやり取りの緊張感を味わいました。

 

熊鈴を鳴らしながらその場を離れ、難を逃れました。

 

こういう時にはひるまないで、命を守る行動をするのが大切なんだと、つくづく感じました。

 

 

登山道を外れて山に入ると、どうしてもこういったことが起きてしまいます。

 

熊害に関するニュースで

山菜採りの方が…

とか

キノコ狩りの方が…

 

なんてことをよく聞きますが、やっぱり山菜やキノコって、登山道沿いには生えていないんですよね。

 

人間が野生動物のテリトリーに入るときには、熊鈴や熊スプレーを持っておくことが必須です。

 

 

山は慣れているから

 

今まで遭遇したことないから

 

自分の身にそんなこと起こるワケないから

 

 

こう感じている時が、一番危険な状態です。

 

 

必ず準備して、山に入りましょう。

 

 

そして、熊から人間のテリトリーに入ってくる場合もあります。

 

 

山に餌がない場合には、熊も死活問題です。

 

畑に現れたり、場合によっては市街地にも出没します。

 

実際に各地で、目撃情報や被害がニュースになっています。

 

 

熊が人間のテリトリーを侵してしまったときには…。

捕獲

駆除

 

が必要になります。

 

 

そして人間が熊に襲われた場合、非常に凄惨な結果になります。

 

 

日本で最悪の熊害と言われるのは

三毛別羆(さんけべつヒグマ)事件(※1、2、6)

 

北海道での羆(ヒグマ)による事件です。

 

死者7名

 

負傷者3名

 

亡くなられた方の中には、捕食された方もいらっしゃいます。

 

 

これが熊害なんです。

 

 

もしご興味のある方は、この事件を題材にしたノンフィクション小説がありますので、ご一読いただければと思います。

 

図書館で借りられると思います。

 


羆嵐(くまあらし)」

 吉村昭

 

 

ブログの最後に、羆嵐のコピーボタンをつけておきますね。

 

 

この小説でも表現されているように、熊の捕獲や駆除は命懸けの行動です。

 

 

こうならないためにも、お互いのテリトリーを守りたいものです。

 

それでは、そのテリトリーはどのように守っていけばいいのでしょうか。

 

 

3 距離感と境界線で熊害を防ぐ

熊を駆除する

 

こんな話になると、

「動物がかわいそう…」

「駆除しないで!」

「人間の身勝手だ!!」

 

こんな声が上がってきます。

 

確かに、クマにはかわいい側面もあります。

 

ぬいぐるみやアニメの題材になるくらいですからね。

 

かわいそう、という気持ちになるのもわかります。

 

そして、もしかしたら人間の身勝手で、駆除しなければならない場合もあるかもしれません。

 

ただ、こういった声をあげる方に質問します。

 

 

自分自身が野生の熊に対峙した時に、同じことがいえますか?

 

 

命のやり取りの緊張感は、独特です。

 

体験したことのある方は、2度と経験したくないと感じます。

 

 

野生動物は、犬や猫などの愛玩動物とは全く別物。

 

 

仲良く楽しく共生する」なんてことは、不可能なんです。

 

 

共生をするためには、距離感をしっかり保ち、境界線を明確にして、お互いのテリトリーを侵さないことが不可欠です。

 

ただ、人間が気を付けていても、熊の方から境界線を越えてきてしまうことがあります。

 

そして被害が出てしまうと、どうしても駆除が必要になる場合があります。

 

その駆除を担当する方に感謝こそすれ、

「駆除反対!」

「残酷なことをするな!」

 

こんな言葉をかけるのは、理不尽だと感じます。

 

 

 

 

 

駆除を担当されている皆様、安心と安全を守っていただき、ありがとうございます。

 

心より感謝いたします。

 

 

 

 

 

先日知床に取材に行った際には、ヒグマに対する注意喚起を至る所で拝見しました。

 

そして観光者に対して、チラシが配布されていました。

 

 

距離感を保って、観光を楽しむためのチラシがこちらです。

 

 

 

 

 

そして、違法行為に対する注意喚起のチラシもありました。

 

 

 

 

裏面の写真を拡大すると…

 

 

 

 

2022年4月1日から違法行為になったのは、次の2点です。

 

 

日本ではヒグマは北海道にしか生息していませんので、観光に訪れた際には、見てみたいと思うのは当然の感情だと思います。

 

 

ただ観光する際には、チラシにもあるように距離感が大切です。

 

 

そして人間と熊の境界線を、はっきりさせること。

 

 

野生の中で生活しているのか、文明の中で生活しているのか。

 

 

ここには、目に見えない境界線があります。

 

 

まずは人間側が、境界線を侵さないようにしましょう。

 

 

そのためには、文明社会の農作物や食べ物を与えないのが、その第一と言えると思います。

 

 

わたしは元陸上自衛官

 

 

訓練の際には、山中で宿営することがありました。

 

 

その時に野生動物に対して、気を付けていたことがあります。

 

 

 

 

それは、食べ物のごみを絶対に外におかないこと。

 

 

 

 

実はこれ、陸上自衛官であれば当たり前のことです。

 

わたしは新隊員の頃に、先輩から習いました。

 

そして自分に後輩ができた時に、教えました。

 

わたしは自衛官という仕事をさせて頂いたので、野生の境界線について知ることができました。

 

もし自衛官になっていなかったら、こんなことは知らないまま生きていたかもしれません。

 

このブログを、野生との境界線を知るきっかけにして頂ければ幸いです。

 

 

4 北海道取材を通して

今回の北海道取材で、北海道の雄大な自然に初めて触れました。

 

本当に圧倒的な風景で、観光にはもってこいの場所だと思います。

 

それと同時に、本州ではあまり感じない、身の危険も感じました。

 

 

マダニ

 

 

キタキツネ

 

 

そしてヒグマ

 

 

マダニはもちろん本州にもいますが、重篤感染症を媒介します。

 

自然に触れるときには、肌を露出しない格好をしたり、忌避剤などを利用することが推奨されています。

 

そしてキタキツネは寄生虫エキノコックスの宿主で、この寄生虫重篤な肝機能障害を引き起こします。

 

キタキツネには、決して触れてはいけません。

 

実は、本州でも愛知県の知多半島に「エキノコックスが定着した」と、国立感染症研究所が見解を示しているそうです。(※8)

 

知多半島にいる野犬が、宿主になっているようです。(※9)

 

エキノコックスも、北海道だけのものではなくなっています。

 

 

さらに、今回のブログでご紹介した羆(ヒグマ)

 

 

日本では、北海道だけにしか生息していません。

 

人間をも襲う、野生動物です。

 

 

どの野生も、命に係わる自然の驚異です。

 

 

わたしは陸上自衛隊にいましたので、もしかしたらこのような野生の驚異に対して、敏感なのかもしれません。

 

もちろんその土地に住んでいる方は、注意して生活されていると思います。

 

ただ、環境省による「クマ類出没対応マニュアル」には、こんなデータがありました。

 

振興山村の人口と全国の人口の動態を比較したものです。

 

 

2010年までのデータですが、全国の人口は増加しているにも関わらず、山村の人口は減少しています。

 

 

このデータから何を読み解くか。

 

 

それは
「野生の驚異を実際に肌で感じた経験のある方、つまり野生に対する畏れを持っている方が減っている」

 

 

と、読み取れるのではないでしょうか。

 

野生に対する畏れを持つ方が減れば、必然的にその危険を知っている方も減ります。

 

防災と言われると、地震や風水害などに目が行きがちです。

 

もちろんそれらは甚大な被害をもたらしますので、しっかりした対策が必要になります。

 

それと共に、野生に対する畏れを持ち、境界線を明確にし、距離感を保って災いを防ぐ。

 

こういったことも「防災」になることを、改めてお伝えできればと思います。

 

 

5 まとめと来月のテーマ

今月のブログでは防災月間に当たって、北海道取材をもとに防災についてお伝えしました。

 


自然災害の圧倒的な破壊力に対処するには、限界があること。

 

災害後の心理的な影響に対処する方法。

 

そして自然と野生に対する畏れ。

 


普段の生活では、あまり気にしないことだと思います。

 

ただ、気にしていないでいられるのは、自分たちの知らないところで何重もの安全対策が行われているからです。

 

安全対策をしていただいている皆様に、感謝いたします。

 

ありがとうございます。

 

ただ、その安全対策にも限界があります。

 

ですので、一人一人が防災に対する気持ちを、頭の片隅に留めておく必要があります。

 

日常で防災のことを常に意識しておくのは、気疲れしてしまうのでおススメしません。

 

そんなことを常に考えていたら、心地いい生活が送れませんから。

 

ただ、災害の準備をしておいたり、自然や野生に対する畏怖の念を持っておくと、いざという時の行動が違ってきます。

 

 

このブログが、そのきっかけになれば幸いです。

 

 

来月からが秋本番!!自然に触れるには、絶好のシーズンです♪

 

距離感と境界線に気をつけながら、秋の観光を是非是非楽しんでくださいね(^o^)b

 

 

 

 

以下来月のブログのご案内です。

 

来月10月は秋本番、「食欲の秋」ですね!

 

4月に「頑張らないダイエット」のブログを書いてから、ちょうど半年。

 

毎週計測してきた体重を振り返りながら

食欲の秋とダイエット

 

をテーマにお届けします。

 

是非ご覧ください。

 


小説「羆嵐」を検索


熊に遭遇した際の対処要領

クマ類に遭遇した際にとるべき行動

環境省HPにリンクします)

 

熊対策の支援 交付金

農林水産省 農村振興局 鳥獣対策・農村環境課 鳥獣対策室

・被害対策の基本について 03-6744-7642(直通)

交付金での支援内容について 03-3591-4958(直通)

 

参考文献
1 「羆嵐」 吉村昭著 2020年12月54刷 新潮社
2 「慟哭の谷」 木村盛武著 1995年2月 共同文化社

 

参考資料
3 くまクマ熊ベアーHP https://kumakumakumabear.com/
4 ウィキペディアHP 「くまクマ熊ベアー
5 環境省HP 「クマ類出没対応マニュアル」 
6 ウィキペディアHP 「三毛別羆事件
7 農林水産省HP 「農作物被害状況
8 福井新聞ONLINE 寄生虫「エキノコックス」、愛知県で犬の感染相次ぐ 人体に入ると重い肝機能障害 2021年10月12日
9 日本自然保護協会HP 「愛知知多半島のエキノコックス

 

知床のチラシ

10「#ニンゲンもクマも距離感が大切」及び「ディスタンスカード」 
 出典:環境省ホームページ https://hokkaido.env.go.jp/kushiro/pre_2020/post_106.html) 
 発行:釧路自然環境事務所(適正利用・エコツーリズム検討会議カムイワッカ部会) 

11「近すぎませんか?」 
 出典:環境省ホームページhttps://hokkaido.env.go.jp/kushiro/pre_2022/post_174.html) 
 発行:釧路自然環境事務所 

 

今週の体重

先週59.3㎏⇒今週60.4㎏

 

体重をアップする理由

【頑張らないダイエット③】 お手軽にも程がある!"超時短"筋トレ法

 

※令和6年3月25日:ブログの冒頭に「概要」を追加し、内容を校正しました。

 

 

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陸上自衛隊に15年勤務。レンジャー隊員。公認心理師産業カウンセラー

 

在職時は、年200件以上の面談に対応するカウンセラーの任務を行うと共に、隊員に対して災害派遣の心構え」を教育をしていました。

 

そんな自衛隊での教育や、自身の災害派遣の経験をアレンジして、現在は一般向けに「災害の心構え」をお伝えするセミナー講師。

 

 

『どんな災害も乗り越える』

 

その心構えを”自衛隊式”でレクチャーしています。

 

 

このブログでは、防災のこと、身心の健康、そしてちょっとだけ自衛隊の話を綴っています。

 

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引き続き感染対策をして、安心安全の社会を作っていきましょう。

 

 

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経歴・資格など

公認心理師(国家資格)、産業カウンセラー、リラクゼーションセラピスト(2級)、元陸上自衛官、レンジャー隊員、上級体育指導官、予備自衛官(衛生官)

〔※「Windship」及び「Windship treatment」は登録商標です。〕

 

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