自衛隊卒のセラピスト

セラピスト&自衛官の経験と共に、笑顔になる話題をお届けします。

【毒ガスのCBRNE災害】オウム真理教による地下鉄サリン事件

令和5年3月15日

28年前に起きた地下鉄サリン事件。猛毒のサリンによる毒ガステロでした。そんな毒ガスに立ち向かった方々の懸命な活動と、現在の事件現場についてお伝えします。是非ご覧ください。

お疲れ様です。自衛隊卒セラピストの岡田凰里(おかだおうり)です。ブログを読んで頂いてありがとうございます。

 

 

3月も中旬になりました。

 

だいぶ暖かくなってきましたね。

 

ところで今年の花粉は本当につらいですね(*n*;)

 

ここ10年間で一番の飛散量らしいんですが、目に来るのがこんなにつらいとは…(ToT)

 

毎年鼻だけだったので、なんとか耐えていましたが、今後は目の対策もちょっと考えたいと思います。

 

 

新型コロナ感染症対策については、3月13日からマスク着用は個人の判断になりましたね。

 

わたしは花粉症なのでマスクは手放せませんが、自分も周りも不安にならない感じで着用していけるといいですね。

 

 

前回のブログでは、神戸の街の今の様子をお伝えしました。

 

28年経った今の神戸の街で、震災の爪痕を感じることはありませんでした。

 

そんな中でも、石碑やモニュメント、研修施設で、災害の歴史を語り継いでいました。

 

そして歴史を学ぶと

「人間には、災害を乗り越える力が必ずある」

 

そんな力強いメッセージを、受け取ることができます。

 

どんな災害が起きても、その力を信じて乗り越えていければと思います。

 

 

さて、今回のブログはオウム真理教による地下鉄サリン事件についてお伝えします。

 

阪神淡路大震災は、1995年の1月に発災しました。

 

そして地下鉄サリン事件が発生したのは、1995年の3月です。

 

同じ年の同じ時期に、凄惨な災害が起きました。

 

災害というと「自然災害」のイメージが強いかもしれませんが、毒ガスなどでの被害を、CBRNE災害といいます。

 

CBRNE災害については、去年の12月のブログで解説しています。

 

ブログの最後にリンクをつけておきますので、詳しく知りたい方はそちらをご覧ください。

 

今週のブログでは世界的に見ても前例のない、都市部での化学兵器テロである、地下鉄サリン事件についてお伝えします。

 

 

今回ブログは以下の内容になっています。

1 地下鉄サリン事件とは

2 毒ガス「サリン」の脅威

3 霞が関駅の今

4 サリンに立ち向かった方々

5 まとめと次回のテーマ

それでは始めていきますね♪

 

 

地下鉄サリン事件は、1995年(平成7年)3月20日(月)の午前8時頃に起きた事件です。

 

東京都心の地下鉄の3路線5本の電車に、猛毒のガスサリンが撒かれ、通勤客や駅員の方など13名が死亡、5,800名以上の重軽傷者を出しました。


この事件を主導したのが「オウム真理教」で、教祖は麻原彰晃こと松本智津夫です。

 

ヨガ・サークル「オウム神仙の会」を母体としており、当初はヨガサークルとして勧誘活動をしていたそうです。

 

当時のわたしは学生でしたが、学校の卒業式から自宅に帰った後、テレビが大騒ぎになっていたことを覚えています。

 

そしてちょうど春休みだったので、テレビでオウム真理教の特集や、教団の広報担当者がテレビに出演してしていたのを見ていました。

 

教団内での修行の様子や、教祖の麻原が選挙に出馬した時の選挙活動がワイドショーで繰り返し報道されていました。

 

 

恥ずかしながらこの事件について調べるまで、地下鉄日比谷線、千代田線、丸ノ内線の3路線、そして5本の電車にサリンが撒かれていたことを知りませんでした。

 

東京の官公庁の中枢である霞ヶ関駅で、被害があった影響でしょうか。

 

霞ヶ関駅で事件があったというイメージが強く、他の電車のことはうかがい知ることができませんでした。

 

営団地下鉄東京メトロの前身)の職員が犠牲になったのが、霞が関駅だったのも影響していたのかもしれません。

 

 

当時30代前後の青年男女を中心に、約1万人前後の狂信的な信者がいると言われていた、オウム真理教

 

平成元年に東京都から、宗教法人として認可されていました。

 

しかし宗教法人として認可されていながら、様々な犯罪行為の疑いが欠けられていました。

 

入信した子供たちを救済するために弁護活動をしていた、坂本弁護士一家3人の拉致殺害事件

 

品川区の公証役場事務局長の拉致事件

 

さらに細菌・毒ガス・武器の研究や調達をして武装集団化し、山梨県上九一色村の教団施設で、サリンの製造を開始したとの疑いがあったそうです。

 

そしてこれらの一連の事件解決を図るために、捜査当局が上九一色村の教団施設の立ち入り調査を予定していました。

 

ただその捜査情報を察知した教団は、その捜査をかく乱する意図で、地下鉄に猛毒サリンを撒くという凶悪な事件を引き起こしました。

 

 

2 毒ガス「サリン」の脅威

わたしは元陸上自衛官

 

実は陸上自衛官であれば、地下鉄サリン事件のことを知らなくても、「サリン」という毒ガスのことは必ず知っています。

 

『対特殊武器戦』で毒ガス攻撃のことを習うからです。

 

対特殊武器というのは、

・核 (Nuclear)
・生物 (Biological)
・化学 (Chemical)

 

による武器を指します。

 

「NBC攻撃」に対処する、なんて感じで習いました。

 

ただ、現在はNBCとは言わず、「CBRNE(シーバーン)」と呼んでいます。

 

今回のブログの題にもある「CBRNE(シーバーン)」は

・化学 (Chemical)
・生物 (Biological)
放射性物質 (Radiological)
・核 (Nuclear)
・爆発物 (Explosive)

 

5つです。

 

自衛隊でもCBRNE攻撃と言っていますが、わたしが習った時代はNBC攻撃と言っていました。

 

その中の化学兵器として、毒ガスがあります。

 

毒ガスはたくさんの種類があるそうですが、サリンは神経剤と呼ばれる毒ガスです。

 

タブン、ソマン、サリンは神経剤の毒ガスとしてワンセットで覚えています。

 

もちろんその対処法も習います。

 

 

サリンの恐ろしいところは、その致死性の高さです。

 

たった目薬一滴分のサリンが、皮膚に付着した場合でも死に至る可能性があるほどの毒性があります。

 

そして死に至らなかった場合でも、その後遺症は続きます。

 

神経に作用する毒や病気の特徴なのでしょうか。

 

ガスを吸って汚染されてしまうと、見た目に変化があります。

 

以前のブログでお伝えしたハンセン病も、神経に作用する病気でしたが、進行すると罹患者の見た目が変わるという特徴がありました。

 

もしご興味のある方は、「地下鉄サリン事件 後遺症 写真」で検索してみて下さい。

 

サリンの後遺症に苦しんでいる、被害者の写真が出てきます。

 

ブログの最後に、コピーボタンをつけておきますね。

 

 

このように恐ろしい毒性から、1992年に国連第47総会において「化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約」(化学兵器禁止条約)が採択されています。

 

日本も1993年1月に同条約に署名、1995年4月に国会承認され、1995年9月に批准、1997年に公布・発行されています。

 

 

今回のこのブログを綴るにあたって、被害のあった駅の1つの東京メトロ千代田線の霞ヶ関駅に行ってみました。

 

 

3 霞が関駅の今

地下鉄サリン事件は28年前。

 

当たり前のことかもしれませんが、事件の爪痕は全くありませんでした。

 

何事もなかったように時間が流れていました。

 

霞ヶ関駅は、被害のあった千代田線、日比谷線丸ノ内線が交差する駅です。

 

実は霞ヶ関駅を取材したのには、理由があります。

 

それはこの事件で犠牲になられた営団地下鉄の職員の方の、顕彰板があるからです。

 

 

2人の職員の方の懸命な処理のお陰で、霞ヶ関駅ではこの2人以外には死者は出ませんでした。

 

2名の殉職者を出した東京メトロでは、毎年霞ヶ関駅にて追悼式を行っているそうです。

 

本当に理不尽な事件だと思います。

 

犠牲になられた方、後遺症に苦しんでいる方、そしてご遺族の方のお気持ちは、察しても察しきることはできません。

 

 

心からお悔やみ申し上げます。

 

 

そして忘れてはいけないのは、この地下鉄サリン事件に立ち向かった方々の存在です。

 

 

4 サリンに立ち向かった方々

人為的に合成しない限り発生しない、猛毒サリン

 

 

この理不尽で、決して許されない犯罪行為に対して、立ち向かった方々がいます。

 

 

霞が関駅の職員の方のように、サリンの入った袋を直接処理した方

 

 

異変の原因に気づいて、サリンの袋を電車の外にけりだした乗客の方

 

 

病院への搬送に協力した、民間企業の方

 

 

そして事件発生の通報を受けた、東京消防庁の消防隊員

 

 

消防隊員は1364名の方々が命懸けの救助を行い、135名の方が、サリンによって受傷しています。

 

 

さらに、災害派遣命令を受けて、除染活動を行った陸上自衛隊自衛官

 

 

第32普通科連隊と化学科部隊の除染活動は、事件発生の翌日の21日には終了しています。

 

 

そして実は陸上自衛隊では、警察からの依頼で、事件前日の3月19日に警察の機動隊員に対して、サリンを中心とした神経剤の教育をしていたそうです。

 

 

捜査が進む中で、オウム真理教に対する疑念を深めた警察は、強制捜査を念頭に、陸上自衛隊から教育を受けていたんです。

 

 

残念ながら事件の発生を未然に防ぐことはできませんでしたが、その後警察官が上九一色村の教団施設に強制捜査に入っています。

 

 

 

このように理不尽で悲惨な事件に立ち向かった方々のお陰で、オウム真理教に関する様々な事件は、収束していくことになります。

 

 

 

ただ事件が収束しても、被害者やご遺族の悲しみや苦しみは消えることはありません。

 

 

 

CBRNE災害の厄介なところは、物理的な復興と心理的な回復が乖離することです。

 

 

 

それはもちろん、この事件に立ち向かった公安関係の職務の方も同じです。

 

 

 

公安関係の方々も、同じ人間です。

 

 

 

このような理不尽で悲惨な事件に立ち向かった際には、さすがに心理的な悪影響があるんです。

 

 

 

危険を承知で立ち向かった方々に対し、感謝を捧げたいと思います。

 

 

 

ありがとうございます。

 

 

5 まとめと次回のテーマ

今回のブログでは、オウム真理教が引き起こしたCBRNE災害、地下鉄サリン事件についてお伝えしました。

 

このような理不尽で悲惨な事件が、二度と起こらないよう祈るとともに、このブログが安心安全な社会を築く一助になれれば幸いです。

 

なお、公安調査庁のHPでは、令和5年3月10日にオウム真理教に関するページを更新しています。

 

ご興味のある方はご覧ください。

 

事件当時の様子の写真、そして被害者の手記がご覧になれます。

 

ブログの最後にリンクを貼っておきます。

 

 

まもなく事件発生から数えて、28回目の3月20日を迎えます。

 

当日には事件の犠牲者、被害者、ご遺族に哀悼の意を捧げていただければと思います。

 

そしてこの事件に立ち向かった方々の存在を、心の片隅で構いませんので、留めておいてください。

 

社会の安全を守ってくれている、公安関係のお仕事をされている皆様に、心から感謝いたします。

 

ありがとうございます。

 

 

 

次回のブログでは、1年間続けている体重計測のまとめについてお伝えします。

 

是非ご覧ください。

 

 

地下鉄サリン事件 後遺症 写真」をコピー

 

CBRNE災害についてのブログ

 

参考文献
1 地下鉄サリン事件戦記 福山隆著 光人社 2009年5月
2 暗くなった朝3.20地下鉄サリン事件 中澤昭著 近代消防社 2005年3月
3 ここにいること 地下鉄サリン事件の遺族として 高橋シズヱ著 岩波書店 2008年3月
4 それでも生きていく 地下鉄サリン事件被害者手記集 地下鉄サリン事件被害者の会著 サンマーク出版 1998年3月

 

参考資料
1 公安調査庁HP「オウム真理教
2 警察庁HP「未曽有のテロ~オウム真理教事件の爪痕
3 JーSTAGE HP「化学兵器の毒作用と治療
4 ウィキペディアHP「地下鉄サリン事件
5 OpenAI HP「ChatGPT
6 経済産業省HP「化学兵器禁止条約の概要

 

今週の体重

先週59.0㎏⇒今週60.6㎏

 

体重をアップする理由
【頑張らないダイエット③】 お手軽にも程がある!"超時短"筋トレ法

 

※令和6年3月8日:ブログの冒頭に「概要」を追加し、内容を校正しました。

 

 

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陸上自衛隊に15年勤務。レンジャー隊員。公認心理師産業カウンセラー

 

在職時は、年200件以上の面談に対応するカウンセラーの任務を行うと共に、隊員に対して災害派遣の心構え」を教育をしていました。

 

そんな自衛隊での教育や、自身の災害派遣の経験をアレンジして、現在は一般向けに「災害の心構え」をお伝えするセミナー講師。

 

 

『どんな災害も乗り越える』

 

その心構えを”自衛隊式”でレクチャーしています。

 

 

このブログでは、防災のこと、身心の健康、そしてちょっとだけ自衛隊の話を綴っています。

 

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引き続き感染対策をして、安心安全の社会を作っていきましょう。

 

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経歴・資格など
ラクゼーションセラピスト、公認心理師(国家資格)、産業カウンセラー、元陸上自衛官、レンジャー隊員、上級体育指導官、予備自衛官(衛生官)