自衛隊卒のセラピスト

セラピスト&自衛官の経験と共に、笑顔になる話題をお届けします。

【ヒロ渡辺先生の纏絲勁を解剖する】ボルテックスと「うず」の力

令和5年7月12日

YouTubeに疾風のごとく登場した「ヒロ渡辺先生」。源氏皇流の師範で、ジークンドーマスターだそうです!そんな先生の驚愕の身体操作を、Windshipの原理と解剖学で読み解きます。是非ご覧ください。

お疲れ様です。自衛隊卒セラピストの岡田凰里(おかだおうり)です。ブログを読んで頂いてありがとうございます。

 

 

7月も中旬に差し掛かりました。

 

いよいよ夏本番という感じですね!

 

コロナ禍が終わって、祭やイベントが3年ぶりに通常開催されるようになりました。

 

ただ3年もご無沙汰だと、張り切り過ぎちゃうと思うんです(^^;

 

ちょっと加減して楽しむくらいが、怪我をしないで済む感じだと思います。

 

急がず焦らず、元の生活に戻していきましょう。

 

 

さて、前回のブログでは、YouTubeの「たくちゃんねる」から日本古来の身体操作を読み解きました。

 

「骨を中心に動く」

 

というのが、日本古来の身体操作でしたね。

 

明治より前の日本人の身体の捉え方をご紹介し、それをもとにして日本古来の身体操作をお伝えしました。

 

 

今回のブログでは、この「骨を中心に動く」ということをもとにして、ヒロ渡辺先生の纏絲勁(テンシケイ)を説明しようと思います。

 

 

たくちゃんねるで、風のように登場したヒロ渡辺先生。

 

石井東吾先生のお師匠さんだそうです。

 

そして、なんだか降ってわいたように出てきた「纏絲勁」

 

中国武術を習っている方にとっては、当たり前の技術の様です。

 

そんな纏絲勁を、骨の身体操作と解剖学で読み解いていきます。

 

 

ブログは以下の内容になります。

1 ヒロ渡辺先生とは

2 そもそも纏絲勁とは

3 解剖学から見たボルテックス

4 力は「うず」で伝わる

5 まとめと次回のテーマ

それでは始めていきますね☆

 

 

1 ヒロ渡辺先生とは

わたしがヒロ渡辺先生を動画で初めて拝見したのは、もちろん「たくちゃんねる」です。

 

先生はその他にも、石井東吾先生の「ワンインチチャンネル」や、色々な武術を紹介する「Kuro-obi world」なんかにも出演していますね。

 

今からお伝えするヒロ渡辺先生のご紹介は、基本的には「たくちゃんねる」からの情報になります。

 

ヒロ渡辺先生は、源氏皇流という武術の分家師範、そしてジークンドーの全伝承者。

 

齢は60代だそうです。

 

って60代で、あんなに速く動けるんだ…(^^;

 

あんな風に年を重ねたいですね!

 

何から何まで衝撃なヒロ渡辺先生ですが、わたしが本当にびっくりしたのが、先生の口から

 

「アジスキタカヒコネ」

 

という日本神話の神様の名前が出てきたこと、

 

「源氏骨法」

 

という武術の名前が出てきたこと、

 

さらに先生の源氏皇流の道着に、

 

「・・・え!?」

 

というワッペンがついていたこと。

 

 

 

この3つを組み合わせると…

 

 

 

…(^^;

 

 

 

イヤイヤイヤ…

 

 

 

都市伝説じゃなかったんだ…

 

 

 

これが率直な感想です(^n^;

 

 

 

去年書いた「身体操作のしくみ」のブログの中で、

『日本の古武術も、骨を主体にした身体操作があったと言われています』

 

とお伝えしたんですが、実はそれは「骨法」のことなんです。

 

ただ「骨法」と言ってしまうと、変な誤解を受けてしまうかもしれないと思い、その言葉を使わなかったんです。

 

 

これは武術や武道、格闘技に詳しい方であれば、ご理解いただけると思います。

 

 

そんな中で、ヒロ渡辺先生が「源氏骨法」という言葉を使われたので、衝撃を受けました。

 

源氏骨法について語る動画

 

源氏皇流が源氏骨法の流れを汲んでいることをを鑑みれば、ヒロ渡辺先生が骨主体の武術「ジークンドー」の全伝承者なのも納得です。

 

 

 

先生がおっしゃっている「骨主肉従」という言葉、そしてその体裁き、剣裁き、抜刀術を拝見すれば…

 

 

 

日本古来の身体操作が、「骨を中心に動く」というのがご理解いただけると思います。

(※ヒロ渡辺先生はジークンドーは「肉主骨従」の武道とおっしゃっていますが、わたしはジークンドーは「骨主肉従」の武術と捉えています。もしかすると源氏骨法に比べれば、ジークンドーは「肉主骨従」ということなのかもしれません。)

 

 

それでは、そんな骨中心の身体操作をマスターしている先生の、纏絲勁(テンシケイ)を解剖していこうと思います。

 

 

2 そもそも纏絲勁とは?

実はわたし、纏絲勁(テンシケイ)を知りませんでした…。

 

すみません(^^;

 

ネットで検索すると、太極拳の体裁きの中に纏絲勁というものがあるそうです。

 

発勁の内の1つに、纏絲勁があるそうです。

 

発勁(はっけい)とは、中国武術における力の発し方の技術のこと。

 

糸が纏わりつくように勁を発するから、纏絲勁というそうです。

 

そして、纏絲勁を説明するときに先生の口から出てくる言葉

「ボルテックス」

 

直訳すると「うず」ですね。

 

 

 

いったいこれは、どういうことなのか。

 

 

 

結論をお伝えしますね。

 

纏絲勁とは、

「骨をうずの力で操作することで、骨に肉(糸)が纏わりつくように感じる勁の発し方」

 

骨法(骨中心の身体操作)とボルテックス(うず)から読み解くと、このようになります。

 

それでは具体的にどういうことなのか、説明していきますね。

 

 

3 解剖学から見たボルテックス

さて、ボルテックスについてお伝えするんですが、骨を中心にお伝えするので、ちょっと解剖学の力を借りたいと思います。

 

人体の内部構造を観察する上で、解剖学では「断面図」を作ります。

 

その断面図には、

 

・矢状面(しじょうめん)

 

・前額面(ぜんがくめん)

 

・水平面(すいへいめん)

 

の3種類があります。

 

言葉だけだとわかりにくいと思いますので、それぞれがどんな断面図か、イラストでご紹介しますね。

 

まずは矢状面から。


断面で見ると、こんな感じですね。

 

 

次に前額面。

 

 

断面はこういう感じです。

 

 

最後に水平面

 

 

断面は、こういう感じです。

 

 

椎骨の断面図ですね。

 

 

次に、それぞれの断面におけるボルテックス(うず)を説明しますね。

 

うずには右回りと左回りがありますが、イラストは右回りだけ表現しています。

 

矢状面のボルテックスは、こういう回転になります。

 

 


肩や肘、膝や股で、この回転を作ることができます。

 

「汽車汽車しゅっぽしゅっぽ」の子供の遊びをイメージしてもらえれば、わかると思います。

 

腕で、ボルテックスを表現して遊びますよね。

 

 

次に前額面のボルテックスは、このような回転です。

 

拳を前に出して、ねじれば作ることができます。

 

 

そして、水平面のボルテックスはこうです。

 

 

腰や背骨をねじると、作ることができます。

 

 


この3つのボルテックスを使って勁を発するのが、「纏絲勁」になります。

 

 

 

骨を中心に動きますので、脱力(抜力)が必ず必要になります。

 

力が入っていると、骨のスムーズな動きが阻害されてしまいますからね。

 

脱力してボルテックスを使うと、Windshipは骨に纏わりつくようになります。

(※Windship:身体を覆う膜 筋肉等を膜として捉えたもの)

 

その身体感覚が、まるで身体に糸が巻き付いたように感じることから「纏絲勁」と名付けられたんだと思います。

 

相手に糸を纏わりつけるような勁の出し方、という考えもあるかもしれません。

 

ただ、骨中心の身体操作から考えると、使い手の身体感覚を勁の名前したと読み解けます。

 

ヒロ渡辺先生と稲川先生の纏絲勁解説

 

 

さらにお伝えすると、矢状面・前額面・水平面、すべての断面に対して、ボルテックスを発揮できる骨があるんです。

 

 

 

それは、肩甲骨と、腸骨(+仙骨)です。

 

 

 

拓さんはウェイブを、肩甲骨と仙骨でかけるというような動画を出しています。

 

もともとの拓さんの身体能力が高いのもあると思いますが、肩甲骨と仙骨のウェイブを使えるということで、纏絲勁もすぐに使えるようになっちゃうんですよね(^^;

 

 

 

普通は、あんなにすぐできないと思うんです(^.^;

 

 

 

拓さんは、矢状面のボルテックスを先生に習って、それをウェイブパンチに乗せていますね。

 

矢状面のボルテックス

 

さて、解剖学の力を借りて、纏絲勁とボルテックスの仕組みを説明しましたが、いかがでしたでしょうか。

 

骨を中心に考えれば、その仕組みを読み解くことができます。

 

それではこの纏絲勁やボルテックスが、武術においてどのような作用をもたらすのでしょうか。

 

 

4 力は「うず」で伝わる

動画を拝見していれば、その作用はすぐにわかると思うんですが、それは打撃や技の威力が伝わりやすくなるということです。

 

 

もう少し簡単に言うと、攻撃の威力が増すということです。

 

 

実は、力が働くためには、「うずの力」が必要なんです。

 

 

具体例を挙げて説明しますね。

 

例えば機関車です。

 

車輪の「うず」を用いて、前へ進む推進力を得ていますよね。

 

子供の頃に、

「汽車汽車しゅっぽしゅっぽ」

 

なんて遊んだ方もいらっしゃると思います。

 

腕で矢状面のボルテックス(うず)を表現しながら、前に進む遊びをしましたよね。

 

 

その他にも、自然現象の竜巻なんてどうでしょうか。

 

 

うずが空へ上がるの力を作っています。

 

 

さらに、水泳に「スカーリング」という技術があります。

 

こちらは実際の泳法や、水難救助でも使われているもので、浮力を得るための技術です。

 

実はスカーリングを行うと、水面に「うず」ができるんです。

 

スカーリングでうずを作る

 

こんな風に何かしらの力を得よう、発揮しようと思ったときには、そこには必ず「うずの力」が存在します。

 

 

逆に言うと、うずの力を無視すると、本来の力を発揮できなくなってしまうんです。

 

 

具体例を挙げるとすれば、昔の銃でしょうか。

 

昔の銃は銃弾を回転させるためのライフリングがされてなくて、弾道が安定せず、命中率は酷かったそうです。

 

ライフリングとは、銃身の内側に彫ってある、らせん状の溝のことです。

 

これは、うずの力を無視してしまった結果ですね。

 

現在の銃や火砲には、球を回転させるためのライフリングがされています。

 

そして一見直線的に動いていても、うずの力が見えないところで働いている場合もあります。

 

例えば、エレベーターなんてどうでしょうか。

 

直線的に上下に動いていますが、その動力は滑車が回転して、ケーブルを引いたり伸ばしたりしていますよね。

 

 

 

「うず」には、このような力があります。

 

 

 

この「うずの力」は自然の摂理なので、なぜそんな力があるかと聞かれても、さすがに応えられません(^^;

 

人間は自然法則に逆らって、生きていくことはできません(^o^;

 

素直に従って、生きていきましょう(^ⅿ^♪

 

 

5 まとめと次回のテーマ

今回のブログでは、纏絲勁を解剖学を使って説明しました。

 

骨中心の身体操作から読み解くと、

「骨をうずの力で操作することで、骨に肉(糸)が纏わりつくように感じる勁の発し方」

 

これが纏絲勁でした。

 

そして人体の断面図を用いて、3種類のボルテックスがあること、うずの力を無視してしまうと、本来の力を発揮できないことをお伝えしました。

 

 

 

だからこそ骨がスムーズにうずの力を使えるように、”脱力(抜力)"が重要になるんでしたね。

 

 

 

こんな風に骨を中心に考えれば、様々な武術の身体操作を読み解いていくことができます。

 

武術系ユーチューバーの皆様の動画を拝見する際には、是非骨を中心にして、その身体操作を見てみて下さいね(^^)

 

 

 

あ、さんざん説明しておいて何なんですが…

 

 

 

わたしは武術はからっきしダメで、説明はできても実際の身体操作はできません(^n^;

 

どうかご了承ください<(_ _)>

 

そして、もしボルテックスを身につけたい場合は、初めはスワイショウという気功をおススメします。

 

このスワイショウで、水平面と前額面のボルテックスは、感覚がつかめてくると思います。

 

矢状面のボルテックスは、上級者向けな気がしました(^^;

 

拓さんは、上の上級者ですからね(^.^;

 

スワイショウのやり方

 

 

 

そして最後にちょっと蛇足を。

 

たくちゃんねるを拝見していると、ヒロ渡辺先生は、

 

「術技」

 

「呪術」

 

「量子的な力」

 

そんな言葉をよく使われています。

 

 

 

「術」という力をお使いになるようです。

 

 

 

実は、そんな術の力を使うためには、「骨法」でなければならないんです。

 

 

 

もちろんその術理は、わたしの提唱しているWindshipの原理で説明できるんですが…。

 

 

 

これは、わたしではなく達人の方々に、ご説明をお任せしたいと思います(^^;

 

 

 

次回のブログでは、服装に着目して、「日本人本来の身体操作」についてお伝えします。

 

是非ご覧ください。

 

 

参考資料

1 weblio辞書「発勁

 YouTube狂武蔵たくちゃんねる」「ワンインチチャンネル」「Kuro-obi world

 

※令和6年3月4日:ブログの冒頭に「概要」を追加し、内容を校正しました。

 

 

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陸上自衛隊に15年勤務。レンジャー隊員。リラクゼーションセラピスト。公認心理師

 

在職時は、年200件以上を対応するカウンセラーの任務の傍ら、気内臓療法(チネイザン)のインストラクターを務め、様々なボディケアを約10年間学んできました。

 

現在は自衛隊を卒業して、身体も心も癒すセラピスト。

 

『いくら寝ても疲れが取れない』

こんな悩みをお持ちの方に、心地よい眠りと疲労回復をサポートする施術でお応えしています。

 

このブログでは、身体の健康、心の健康、防災、そしてちょっとだけ自衛隊の話を綴っています。

 

セラピストとして学んだことや自衛隊での経験が、皆様のお役に立てば幸いです。

 

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経歴・資格など
ラクゼーションセラピスト、公認心理師(国家資格)、産業カウンセラー、元陸上自衛官、レンジャー隊員、上級体育指導官、予備自衛官(衛生官)

〔※「Windship」及び「Windship treatment」は登録商標です。〕