【令和5年7月19日】
現代では、当たり前になった「洋服」。ただ百年前は、まだまだ和装の方もたくさんいました。実は服装が変わると、身体操作も変化するんです。その関係性を、Windshipの原理で読み解きます。是非ご覧ください。
お疲れ様です。自衛隊卒セラピストの岡田凰里(おかだおうり)です。ブログを読んで頂いてありがとうございます。
いやぁ…(^^;
本当に暑い日が続いていますね。
東京では連日35度を超える、猛暑日が続いています。
熱中症に気をつけなければいけませんね。
暑さのしのぎ方は人それぞれだと思いますが、わたしは極力エアコンを使わないようにしています。
暑さに慣れるというやつですね。
たださすがに、扇風機は回しっぱなしですが…(^^;
それぞれのやり方で夏を乗り越えていきましょう。
ちなみに、過去に暑い夏の水の飲み方というブログを書いていますので、最後にリンクを貼っておきます。
夏を乗り越える一助になれば幸いです。
さて、今月は「日本古来の身体操作」をテーマにしています。
そんな中で今回のブログは、
『日本人本来の身体操作』
という題にしました。
「なんでわざわざ…」
そんな風に感じる方がいらっしゃるかもしれません。
ただ、日本人は本来、今とは異なる体の動かし方をしていたようなんです。
そしてそれは、
「着ている服装が影響している」
そんな部分が、少なからずあると考えています。
結論を言ってしまうと、日本人本来の身体操作は、
「骨を中心に身体を動かすこと」
今回のブログでは、なぜそう言えるかを服装に着目してお伝えしようと思います。
ブログは以下の内容です。
1 和装は動きやすいですか?
2 日本人の服装の2回の大転換点
3 和装と洋装の根本的な違い
4 日本人本来の感覚を取戻す
5 まとめと次回のテーマ
それでは始めていきますね。
1 和装は動きやすいですか?
夏の縁日などでは、和装の方を見かけたりします。
浴衣を着ていたり…
作務衣の方なんかも、いらっしゃいますね。
TシャツGパンに羽織だけをはおっている、という方もいらっしゃいます。
日本の夏らしくていいな…、なんて感じます。
ただ、浴衣を着た時に感じることがあると思うんです。
「動きにくい…(^^;」
浴衣って、洋装のように大股で歩くくとはできません。
そして着崩れしてくるので、途中で帯を締めなおしたり、なんてこともあります。
作務衣であればそういうことはありませんが、江戸時代の絵画や写真を見ると、大体皆さん浴衣と同じような形の「着物(和装)」を着ていますよね。
それでは、当時の方々が着物は動きにくいと思っていたかというと、そういう訳ではないと思います。
もし動きにくかったら、何百年も当たり前のように着ていないはずです。
作業をするときには、襷をして動きやすくし、
旅に出るときは、脚絆をつけて動きやすいようにし、
戦の時には、具足をつけて戦っていたわけです。
洋服の考え方とは、だいぶ違うように衣服をデザインしていますよね。
洋服が日本で主に着られるようになったのは、この百年ほどのことです。
そうなったのは、皆さんも歴史で習った二つの出来事が、日本の服装の大転換点になっていると考えられます。
2 日本人の服装の2回の大転換点
皆さん、大体予想がついているとは思うんですが、その2回の大転換点は
「明治維新」
と
「太平洋戦争」
です。
まずは明治維新。
江戸時代まで鎖国していた日本は、欧米列強の軍事的技術を取り入れるために、様々なものを欧米化しました。
その一つが、服装の欧米化です。
軍服も欧米式のものが採用され、武士の具足は使われなくなりました。
そして、戦い方も欧米式の戦い方が採用されます。
ところで、欧米式の軍隊行動を教える教官が、奇妙な言葉を残しているんです。
「日本人はピョコピョコ歩いていたので、歩き方から教えなおした」
つまり、現代の日本人と明治維新前の日本人は、歩き方が違っていたようなんです。
戦いのための服装はもちろん、「歩く」という基本的な身体操作すら欧米方式に変えられた時代が、明治時代だったんです。
ただ、そうやってでも欧米列強に追いつかなければならないほどの世界情勢だったことは、歴史を学べばすぐにわかることです。
それでも、軍隊に関係のない方はやっぱり和装をしていました。
昭和初期の映像や写真を見れば、待ちゆく人の服装は和洋混合であることが見て取れます。
そしてその服装は、太平洋戦争敗戦後に洋装主流が決定的になります。
敗戦によって、日本人は日本人らしさを否定しなければなりませんでした。
それによって和服はほとんど着られなくなり、服装の欧米化は一気に進みます。
現代では、和装は特別な時にしか着られなくなりました。
わたし自身、普段の生活で和装をすることはまずありません。
ですので着物を着た時は、やっぱりちょっと動きにくいなと感じます。
ただ、明治以前の日本人にとっては、着物は当たり前だった。
ここで違和感を感じたんです。
『そんな動きにくいものを、何百年もの間ずっと着続けられるわけない』
と。
そこで
「根本的に現代の日本人と明治以前の日本人では、身体の捉え方や身体操作が違っていたのではないか」
そんな仮説を立ててみたところ、どうやら明治以前の日本人は、
「身体を『何層もの膜が重なったもの』と捉えている」
ということに気が付いたんです。
そこから「Windship®の原理」を考案しました。
これまでのブログでご紹介している通り、Windshipの原理は、人間の本体を”神経”、本体を支える構造を”骨”、身体を覆う膜を"Windship"と考える原理でした。
それでは、このような身体の捉え方をした際に、いったいどのような服を作るんでしょうか。
3 和装と洋装の根本的な違い
和装と洋装の根本的な違いを結論から言うと、
「和装は身体という膜(Windship)を覆うように作られていて、洋装は身体という構造(骨)に被せるように作られている」
ということです。
なんだか大々的に言っているようで恐縮ですが、服飾関係の方にとっては、もしかしたら当たり前のことなのかもしれませんね(^^;
先に、洋装から見ていきましょう。
こちらは、オフィスカジュアルのイラストです。
ま、普通ですよね(^^;
もちろん普通なんですが、その服の形は"骨の形(人体の構造)"に合わせて作られているのがわかります。
スラックスやジャケット、そしてワイシャツ。
人体の構造に合わせてあるので、和装に比べると、ぴたっとした印象です。
ネクタイなんて、ビックリしますよね(^^;
結び目は胸骨柄、タイの大剣は胸骨体そのものです。
西洋では、人体をパーツの集合体と考えているので、パーツに合わせた服の形になるというわけです。
それでは、和装に目を向けてみましょう。
東洋では身体を、膜が何層にも重なったものと捉えています。
赤ちゃんはお母さんのお腹の中で、風船のように膨らんでいきます。
へその緒から空気を入れられるような感じで、膨らんでいきます。
そしてお腹から出てきた後は、おへそでその風船をキュッと縛る。
こんな感じです。
和装はそうなっていますよね。
膜のような服を何層にも重ねて、帯で腰の部分をキュッと締める。
そして袖の下の空間、袴の空間はなぜあるのか。
それは明治以前の日本人が、人体の身体を膜が重なったものと捉えていたからに他なりません。
人体をパーツの集合体と考えていたら、あのような空間は全く必要のないものです。
膜の集合体と考えているので、あれだけゆったりとした空間を作っているわけです。
当時は当たり前すぎて、そんな説明をする必要がなかったんです。
そしてその当たり前は、激動の時代の変化と共に、急速に失われてしまいました。
そしてそれと共に、日本人本来の身体操作も、我々が気が付かないうちに失われてしまったんです。
4 日本人本来の感覚を取り戻す
まもなく戦後80年が経ちます。
人の一生分の期間と考えていいでしょう。
戦前の記憶を持っている方は、本当に少なくなりました。
わたしを含め現代の日本人は、戦前の日本人の感覚とは違った感覚で生活していると言っていいでしょう。
食の欧米化という言葉はよく聞きますが、服装の欧米化も本当に進みました。
これは時代の流れですので、良い悪いで語ることはできません。
現代では、日本人本来の感覚というのは、文献をたどって推察する以外に方法はありません。
ところで食の世界では、「和食」は健康にいいと言われ、その健康効果は海外まで轟いています。
そして実は、「和装」も健康にいいんです。
和装というのは、帯を緩めるだけで簡単にリラックスできます。
なぜなら和装は膜状に作ってあるので、服に空間の余裕があるからです。
そして実は、和装に合わせた身体操作は、怪我もしにくいんです。
その一端を、武術系ユーチューバーの動画で拝見することができます。
たくちゃんねるを拝見すると、「脱力(抜力)」という言葉が頻繁に出てきます。
和装で上手に身体操作するコツが、”脱力”なんです。
力を入れてしまうと服が体に纏わりついて、動きにくくなってしまうんですよね。
それが和装の特徴だと思います。
脱力して、骨を中心に身体操作すると、それに合わせて服装がついてくる。
こんな感じです。
身体に無駄な力を入れずに済むので、必然的に怪我をしにくくなるんですよね。
この80年間、欧米に追い付け追い越せで、その文化を取り入れてきました。
それと同時に、日本人本来の感覚は失われつつあるような気がします。
日本人は海外のいいものを、日本流にして取り入れるのが得意と言われたりします。
ただそれはあくまで、「日本人としての感覚」が根本にあるからできることです。
現代ではグローバル化がどんどん進み、多様な価値観が溢れ、なにが正しいのか常に判断を強いられるようになりました。
そんな世の中で、”日本人としての感覚”をしっかり持っていないと、その多様な価値観に飲み込まれてしまう様な気がしてしまいます。
今月のブログでは、たくちゃんねるの動画をたくさん引用しました。
「最高のサムライ映画を作りたい」
そんな風に、常々おっしゃっています。
ではなぜ、そんな風におっしゃるのか。
わたしなりの解釈で恐縮ですが、
「日本人本来の感覚を取り戻しましょう」
こんなメッセージだと、わたしは受け取っています。
武術や身体操作を通して、そんなメッセージを発信されているのかなと感じています。
食生活や服装、そして身体操作。
日本人本来の感覚を取り戻して、日本人らしさを失わずに、海外の皆様と仲良く楽しい社会を築いていけるといいですね。
5 まとめと次回のテーマ
今回のブログでは、日本人本来の身体操作と服装の関係性についてお伝えしました。
日本人本来の身体の捉え方は、膜が何層にも重なっておへそで結んであるもの。
だからこそ和装は重ね着をして、帯で結んで着るように作ってあるんでしたね。
そしてその和装に合わせた身体操作は、実は怪我をしにくいこと。
そんなことをお伝えしました。
現代において、日本人本来の身体操作を完全に復活させるのは、非常に難しいと思います。
ただ、古来の武術においては、その身体操作は受け継がれています。
その一端を、動画で拝見することができる。
本当に便利な時代になりました。
わたし自身、日本人本来の身体操作で、身体を動かせるわけではありません。
ただ、怪我をしやすい場面では、骨を中心に身体操作しています。
元自衛官ですので(^^;
身体を酷使する仕事は、どうしても怪我をしやすくなりますからね。
そんなかいあってか、大きな怪我をすることはありませんでした。
もし、腰痛や膝通があるという方は、ご相談ください。
身体の負担を和らげる、骨中心の身体操作をお教えいたします。
わたしの本業は、ボディーワークのセラピストですから(^^)/
次回のブログは、先日行われた「予備自衛官招集訓練」の感想を、お伝えしようと思います。
是非ご覧ください。
【参考資料】
※令和6年3月4日:ブログの冒頭に「概要」を追加し、文章の校正をしました。
陸上自衛隊に15年勤務。レンジャー隊員。リラクゼーションセラピスト。公認心理師。
在職時は、年200件以上を対応するカウンセラーの任務の傍ら、気内臓療法(チネイザン)のインストラクターを務め、様々なボディケアを約10年間学んできました。
現在は自衛隊を卒業して、身体も心も癒すセラピスト。
『いくら寝ても疲れが取れない』
こんな悩みをお持ちの方に、心地よい眠りと疲労回復をサポートする施術でお応えしています。
このブログでは、身体の健康、心の健康、防災、そしてちょっとだけ自衛隊の話を綴っています。
セラピストとして学んだことや自衛隊での経験が、皆様のお役に立てば幸いです。
ブログの更新は毎週水曜日。
月に一度、ブログテーマのアナウンスをしています。
アナウンスをご希望の方は、ご連絡ください。
【連絡先はこちら】
LINE公式アカウント:https://lin.ee/ky0Ngjp
Mail:sukkirioasis@gmail.com
【読者になりたい方はこちら】
最後までご覧いただきありがとうございました。感謝です。
【暑い夏の水の飲み方】
【前回のブログ】
【ホームページ】
https://www.sukkirioasis.com/
【公式Twitter】
『身体の健康・心の健康・防災』のニュースをツイートしています。
https://twitter.com/sukkirioasis
⇨フォローして、是非情報を受け取ってくださいね。
【経歴・資格など】
リラクゼーションセラピスト、公認心理師(国家資格)、産業カウンセラー、元陸上自衛官、レンジャー隊員、上級体育指導官、予備自衛官(衛生官)
〔※「Windship」及び「Windship treatment」は登録商標です。〕