自衛隊卒のセラピスト

セラピスト&自衛官の経験と共に、笑顔になる話題をお届けします。

京王線刺傷事件を防ぐ方法-元陸自レンジャーの公認心理師が語る-

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お疲れ様です。自衛隊卒セラピストの岡田凰里(おかだおうり)です。ブログを読んで頂いてありがとうございます。


12月に入りました。

 

もう今年も残すところ1か月ですね。

 

新型コロナウイルス感染症は、日本では本当に落ち着きましたね。

 

 

このまま感染対策を継続していきましょう。

 


今年一年、いろいろなことがあったと思います。

 

新型コロナウイルス感染症に振り回された印象もありますが、11月は暴漢による傷害事件が頻発しました。

 

10月31日に発生した、京王線刺傷事件の模倣犯と思われます。

 

こういった事件が発生すると、必ず模倣犯が出ます。

 

これに対して鉄道員の方が訓練を受けたり、警察の方が警備を強化しているのをメディアで拝見します。

 

本当にご苦労様です。心より感謝いたします。ありがとうございます。

 

ただ、いくら訓練をしたり警備を強化しても、このような人たちだけの力で、被害者が出ないように対処するのは難しいことです。

 

わたくしは、陸上自衛隊で「レンジャー」という、武力を扱う訓練を受けました。

 

そして心理の国家資格「公認心理師」という、心の問題を扱う資格を取得しています。

 

そんな経験をもとに、お伝えできることがあると感じました。

 

そこで今月は、このような事件の発生を防ぐ方法、そして発生してしまったときの、具体的な対処要領についてお伝えしていこうと思います。

 

と、その前に。

 

今月のブログは、お伝えするにあたって、対象者を限定したいと思います。

 

 

このような事件が起きた時に「自分に何ができるか」を、考えた方に限定します。

 

 

それ以外の方は、閲覧をご遠慮ください。

 

 

そして初めにお断りしておきますが、このブログは犯罪者に対峙することを、推奨するものではありません。

 

あらかじめご了承ください。

 

まず今回は、心理社会的な観点を踏まえて、この事件を読み解いていこうと思います。

 

今回のブログは以下の内容になっています。

1 京王線刺傷事件とは

2 犯人の人間像

3 対策の限界

4 事件を未然に防ぐメッセージ

5 まとめと次回のテーマ

それでは始めていきます。

 

 

1 京王線刺傷事件とは

まず、事件についておさらいしようと思います。

 

京王線刺傷事件は2021年10月31日20時頃、東京都調布市を走行中の京王線上り特急列車内で発生した事件です。(※1)

 

乗客の24歳の男が刃物で他の乗客を切りつけた上、液体を撒いて放火し18人が重軽傷を負いました。

 

男は殺人未遂容疑で警視庁に現行犯逮捕されました。

 

切り付けられた70代の乗客の方は一時重体だったようですが、今は意識は回復されているようです。

 

事件に遭遇してしまった方の心中をお察し申し上げるとともに、決して許されない事件であると強く感じます。

 

さらにこの事件に呼応するかのように、全国各地で電車内にとどまらず、暴漢による事件が発生しました。

 

このような事件が起こった時には、必ずと言っていいほど模倣犯が発生します。

 

 

実はわたくしは、このような事件に遭遇したことが、1度だけあります。

 

 

もう10年以上前のことです。

 

未遂に終わっていますので、たぶん報道等はされていないと思います。

 

都内の某大型書店で、本を選んでいた時のことです。

 

1階に新刊が並んでいるので、そこで本を眺めていました。

 

すると急にざわついて、人が慌てふためきながら店内に逃げてきたんです。

 

わたしは「まさか・・・」と思い、人の流れに逆らって、出入り口に向かいました。

 

まさかと思ったのは、その当時、無差別殺傷事件があったばかりの時だったからです。

 

記憶は定かではないので、どの事件だったかはわかりません。

 

とにかく、10年以上前の無差別殺傷事件です。

 

そんな時でしたので、ここでもそんなことが起きたのか!?と思い、とっさに身体が動いていました。

 

わたしが現場に着いた時には、ナイフを持った青年は立ったまま、5~6人くらいの方に羽交い絞めにされていました。

 

両足、両腕、そして胴体にも大人の方が抱き着くようにして、動けなくしていました。

 

よく見ると、まだ手にはナイフを持っていましたので、取り上げようと青年に近づきました。

 

「離せよ」と彼に言ったところ、

 

「もう大丈夫です」と彼は言いました。

 

もう大丈夫ですって何が?と思わず感じましたが、恐らくは「もう興奮は冷めたので何もしません、大丈夫です」という意味だったのでしょう。

 

そしてナイフは、別の方が「危ないですよ」と受け取ってくれました。

 

その後、警察の方が来られたので、その場を去りました。

 

意外だったのが、去り際に女性の方から「あの青年のお友達ですか?」と言われたことです。

 

わたしはビックリして、「いや、まさか」と答えたのを覚えています。

 

きっと友達でもなければ、こんなことはできないと感じたのかもしれません。

 


この件は、その場で身体が動いた方々の力によって、誰も怪我をすることなく未遂に終わりました。

 


本当に良かったと感じます。

 

 

もちろん、こんなことに遭遇しないに越したことはありません。

 

ただ、その時は突然来ます。

 

こんな時には対処しようと思っても、対処方法を知らないと身体が動きにくいものです。

 

そして身体が動いたとしても、やみくもに対処するのでは、不要にリスクを上げてしまうことになります。


それでは対処方法をお伝えする上で、まずはこのような事件を起こす、犯人の人間像について考察したいと思います。

 

 

2 犯人の人間像

京王線刺傷事件の犯人の男は

 

「今年6月ごろに仕事で失敗し、友人関係もうまくいかず、死にたかった。自分では死ねないので、2人以上殺して死刑になりたかった」

 

と語っているそうです。

 

そしてこの男自身も、8月に起こった小田急線の事件の模倣犯であることを、自ら供述しているそうです。

 

さらにこれ以降の模倣犯についても「京王線の事件をニュースを見てマネしようと思った」と供述しているそうです。

 

信じられないくらい身勝手な理由で、事件を起こしていることがうかがえます。

 


思わず「子供か?いや、子供でもこんなにひどくないぞ」と感じずにはいられません。

 


そう。犯人は子供なんです。

 


いや、子供と表現したら、子供たちに失礼ですね。

 


心理学的に表現すると「自己愛(ナルシシズム/ナルシズム)が強い」と表現できるでしょう。

 

自分が一番かわいくて、自分のことしか考えていない、ということです。

 

自己愛が強いと、他人に対する共感が欠如し、相互的な関係を築けなくなります。

 

このような人間性の場合、自分のプライドが傷つくようなことがあると、突拍子もない事件を起こしてしまうことがあります。

 

そしてどうやら凶悪犯罪者は、自己愛が異常に強い傾向にあるようです。(※2)

 

また犯罪心理学事典によると、無差別殺傷の犯罪者の動機はは「自己の置かれた境遇、現状に対する不満、いらだち等を晴らすため」が42%と最も多いそうです。

 

また「自殺願望がありながら、それを実行完遂できず、自殺の代わりに死刑になろうと考える」というのも動機の一つとして挙げられています。

 

この度の京王線事件の犯人も、この例に漏れていません。

 

精神的に未熟なまま、身体だけ大人になってしまったようです。

 

それではこような人間像を踏まえて、どのように対策をしていけばよいのでしょうか。

 

 

3 対策の限界

メディアでは警察の警備が強化されたり、警察と鉄道員の共同の訓練の様子を拝見します。

 

鉄道員の皆様が、ナイフを持った暴漢を取り押さえようと訓練している様子も拝見しました。

 

このような訓練の映像を放映することで、模倣犯を予防する効果が期待できます。

 

犯罪を起こしても、すぐにつかまるぞ、ということでしょう。

 

 

このような対策には、間違いなく効果はあります。

 


ただ一方、限界もあります。

 


警察の警備は、いつまでも強化したままにはできませんので、一定期間が過ぎれば解除されます。

 

また、鉄道員の皆さんは、本来の仕事は鉄道を安全に運行することです。

 

このような、突拍子もない犯罪者を取り押さえるために訓練を積むのは、相当難しいことでしょう。

 

そう考えると、事件が発生した際に警察が駆けつけるまでに、どうしてもタイムラグが発生してしまいます。

 


犯人はこのタイムラグを狙っているんです。

 


捕まるのは想定の範疇というより、事件を起こして捕まるのが目的です。

 


こうなると、どうしても被害者が出る可能性が高まります。

 


そしてこのような事件に遭遇した際に、最優先ですべきことは「逃げること」と専門家の方がおっしゃっているのを拝見します。

 

さらには次の様な注意点も拝見しました。

 

・電車の中でノイズキャンセリングのイヤホンをしていると、周囲の状況が確認できないので危険

・挙動不審な人間がいないか、市中では常に警戒すべき

・海外ではもっと人々は警戒して生活している

 

これはこれで、ひとつの対策だと思います。

 


ただ、ちょっと待っていただきたいんです。

 

 

犯人はどういう人間像でしたか?

 


例えば大人と子供が、鬼ごっこをしたとしましょう。

 

大人が逃げれば、子供は喜んで追いかけてきます。

 

犯人は、精神的に未熟なまま、大人の身体になってしまった子供です。

 

つまり、逃げると喜んで追いかけてきます。

 

これでは犯人の思う壺です。

 


これを踏まえて、「逃げることが正解」にしてしまうと、どうでしょう。

 


犯行に及んでも、どうせ逃げるから自分が有利である、つまり犯行の成功率が上がるというメッセージになってしまいます。

 


また、市中では危険なことがいつでも起こりうるかのような意見もありますが、こんなことは滅多に起きません。

 


ここは日本です。

 


市中には、このような事件が起こる危険は、ほとんどないんです。

 

海外の治安の悪い国と比較しても、状況が違い過ぎて、比較対象としては不適当だと思います。

 

これまで日本の大人が、思いやりを持って、一生懸命築いてきたのが、今の安心安全な日本社会です。

 

不安をあおる情報は、大人が築いてきた安心安全の日本社会を崩し、日本があたかも危険な社会であるように錯覚させます。

 


するとどうでしょう。

 


犯人にとっては「日本は危険な国だから、このような犯罪を起こしても仕方ない」というメッセージになってしまいます。

 

そんな短絡的な奴はいないだろう、と思われる方もいらっしゃると思います。

 

 

犯人の人間像はどうでしたか?

 

 

犯人は、精神的に未熟なまま、大人の身体になってしまった子供です。

 

 

すべてのことを、自分の都合のいいように解釈します。

 

 

短絡的な人間なんです。

 


それではこのような人間に勘違いさせないために、どのようなメッセージを発すればよいのでしょうか。

 

 

4 事件を未然に防ぐメッセージ

それではこのような事件を、未然に防ぐ方法をお伝えします。

 


それは「犯行は失敗に終わる」というメッセージを発することです。

 

 

このような犯罪の本質は「子供が駄々をこねて、周りを振り回そうとしている」というものです。

 

大人であれば、子供の駄々に振り回されるわけにはいきません。

 

 

メッセージは2つ

 

 

まず1つ目は、警察の方や鉄道員の方の訓練が、メディアで放送されることです。

 

これを犯人が見ることで、「犯行が失敗に終わるぞ」というメッセージになります。

 

そして2つ目は、「大人は対処の仕方を知っている」と発信することです。

 

対処方法を知っている大人が増えることで、このような犯罪を未然に防ぐメッセージになる、と私は考えます。

 

無差別に犯行を起こしても、対処される可能性が高いと、犯行を起こすこと自体が抑制されます。

 

ただ、身体が大人なうえに、武器を持っている相手を対処するというのは、とても厄介です。

 

それでは、このような犯人を対処する際に、行うことをお伝えします。

 

 

警察の方が来るまで、時間を稼ぐことです。

 

 

民間人の我々が、犯人を取り押さえる必要はありません。

 

専門的な訓練を受けていない人間が、相手を取り押さえるのは簡単なことではありません。

 

ですから、なるべく被害を最小限にとどめながら、警察の方が来るまで、時間を稼ぐことが対処のポイントになります。

 

ただ、実際にこのような時に身体が動くかどうかは、なってみないとわからない、というのが現実です。

 

 

なぜならば、人間の本能的な反応として「闘争/逃避(逃走)反応」があるからです。

 

 

これは危険に直面した際に、生理的・心理的な一連のプロセスを経て、闘争、または逃避に備えて態勢を整えるというものです。

 

このような時、スイッチが闘争に入るか、逃避に入るかは、その場の状況と当人の心理状態によって変化します。

 

つまり、いくら武道を修めたり、警備の訓練を積んでいたとしても、逃避スイッチが入って、足がすくんでしまう場合もあります。

 

逆にそのような経験が全くなくても、闘争スイッチが入って、犯人と対峙できる場合もあります。

 

わたしは類似の事件と遭遇した経験がありますが、自分にどちらのスイッチが入るか、わかっていたわけではありません。

 

ただ「対処方法を知っている」という、マインドセットがありました。

 

これだけでも、闘争スイッチは入りやすいものです。

 

このような事件に遭遇した際には、闘争スイッチの入った大人で、警察の方が来るまでの時間を稼ぐことになるでしょう。

 

 

5 まとめと次回のテーマ

今回のブログでは、京王線刺傷事件、そしてその模倣犯を未然に防ぐ方法をお伝えしました。

 

それは

「大人は、安心安全な日本社会を脅かすことは許さない」

そして

「犯行は失敗に終わる」

というメッセージを発することです。

 

まずは警察、鉄道、そしてメディアの皆様に社会的なメッセージを発していただいています。

 

ありがとうございます。

 

さらに「大人たちは対処方法を知っている、犯行は失敗におわる」という、メッセージを発することが必要であると考えます。

 


そして、民間人の我々ができることは、警察の方が来るまでの時間稼ぎをすることです。

 

 

次回のブログでは、犯人と対峙したときに、被害をなるべく避けながら時間を稼ぐ、具体的な方法をお伝えします。

 

 

最後にもう一度付け加えますが、今回のブログは犯罪者に対峙することを、推奨するものではありません。

 

このような事件に遭遇した際に、闘争スイッチの入った方のために、その対峙の方法をお伝えするものです。

 

 

このような事件が今後起こることがないよう、心から願っております。

 

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自衛隊在籍15年。在職時は自衛官のカウンセラー(年200件以上対応)をしながら、チネイザン(気内臓セラピー)のインストラクターを務め、様々な手技療法(約10年間)を学んできました。

 

現在は卒業して、身体も心も癒すセラピスト。

 

深いリラックスと疲労回復にフォーカスした施術を提供しています。

 

このブログでは、身体の健康、心の健康、防災、そしてちょっとだけ自衛隊の話を綴っています。

 

セラピストとして学んだことや自衛隊での経験が、皆様のお役に立てば幸いです。

 

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最後までご覧いただきありがとうございました。感謝です。

 

引き続き感染対策をして、安心安全の社会を作っていきましょう。

 

●参考資料
1 ウィキペディアHP 「京王線刺傷事件
2 ダイアモンドオンライン 「京王線事件の『ジョーカーなりきり男』、ナルシスト型犯罪を防ぐ効果的な方法

●参考文献
3 心理臨床大辞典〔改訂版〕氏原寛ら共著 培風館 2013年
4 犯罪心理学事典 日本犯罪心理学会編 丸善出版 2016年
5 戦争における「***」の心理学 デーヴ・グロスマン著 安原和見訳 ちくま学芸文庫 2004年

 

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ラクゼーションセラピスト、公認心理師(国家資格)、産業カウンセラー、元陸上自衛官、レンジャー隊員、上級体育指導官、予備自衛官(心理)