自衛隊卒のセラピスト

セラピスト&自衛官の経験と共に、笑顔になる話題をお届けします。

【武術系ユーチューバーの動画から読み解く】身体操作のしくみ①

令和4年7月6日

常識では考えられないような身体操作をする「武術系ユーチューバー」の皆様。その動きの秘密を、Windship®の原理に基づいて説明していきます。是非ご覧ください。

お疲れ様です。自衛隊卒セラピストの岡田凰里(おかだおうり)です。ブログを読んで頂いてありがとうございます。


観測史上、最短の梅雨…。

 

東京では猛烈な暑さが続いていますね。

 

新型コロナウイルスは微妙な状況が続いていますが、マスクコントロールをして、熱中症に気をつけていきましょう。

 

 

さて、今月のブログは『身体操作のしくみ』がテーマです。

 

 

スッキリオアシスでは10年以上、東洋・西洋の様々なセラピーに触れてきた経験から、

 

Style for Comunication

 (風格のコミュニケーション)

 

というクラスをご提案しています。

 

 

こちらは『風格』というたたずまいを通して、非言語的なコミュニケーション力を育むクラスです。

 

風格が備わると、心地いい生活が送れるんですよね(^^)

 

 

ただ…。

 

 

え?風格?コミュニケーション?

 

 

???

 

 

って、なりますよね(^^;


風格のある人を想像してみると、

「堂々としている」

「凛としている」

「悠然としている」

 

こんな感じですよね。

 

この状態を言葉で説明しようとするのは、なかなか難しいと思います。

 

それをお教えするのが、Style for Comunication(風格のコミュニケーション)というクラスです。

 

実はこの風格というのは、

「身体をどのような形にするか」

 

という身体操作なんです。

 


例えば、姿勢が悪い人を見ても、風格があるとは思わないですよね。

 

不機嫌そうな顔をしている人に対しても、そうは思いません。

 

ジタバタ動いている人に対しても、そうですよね。

 

 

こんな風に、身体の形、つまり身体(頭からつま先まで)を操作して、どのように形作るかで、相手に対する印象は変わってきます。

 

例として、良くない印象を与える身体操作をご紹介しましたが、よい印象を与える身体操作が、「風格」になります。


ただ、いきなり風格の身体操作についてお伝えしてしまうと、伝わりにくいと思うんです。

 

なぜなら、身体操作のしくみについて理解していないと、イメージがしにくいからです。

 

そこで、まずは身体操作について、説明しようと思います。

 

その説明をするために、「武術の力」をお借りしようと思います。

 

身体操作を

 

という形で表現している、武術。

 

今は動画がたくさんありますので、風格を説明するよりも、わかりやすいと思うんです。

 

 

皆さん、YouTubeで武術の動画をご覧になったことはありますか?

坂口拓さんのウェイブ」

「雨宮宏樹先生の影武流合氣体術」

「北川貴英先生のシステマ

「石井東吾先生のジークンドー

 

 

わたしはこんな動画を、よく見ています。

 

そして、この武術の身体操作を

「Windship®の原理」

 

という、1つの原理で捉えています。

 

実はこの原理は、わたしが考案したものです。

 

いろいろ探したんですが、このような原理は、どこにもありませんでした。

 

そこで大変恐縮ですが、自分で名前をつけて、ご提案することにしました。

 

Windshipの原理では、人間の身体を

風船が何層にも重なったもの

 

と捉えます。

 

実は、Windshipの原理に基づいて身体操作を捉えると、面白いほど武術の動きが読み解いていけるんです。

 

ちょっとマニアックな内容になってしまうかもしれませんが、お付き合いいただければと思います。

 

今回のブログは以下の内容です。

1 人体の3つの構成要素

2 なぜあんなに速いのか

3 脱力する3つの理由

(1) 力みは動きを鈍くする

(2) 神経は圧迫を嫌う

(3) 体内の空間の確保する

4 脱力から生まれるもの

5 まとめと次回のテーマ

 

それでは始めていきますね。

 

 

1 人体の3つの構成要素

なぜ最初に、

「わざわざ人体の構成要素の話をするの?」

 

と、疑問に思う方もいらっしゃると思います。

 

それは、一般的な概念で身体を捉えてしまうと、武術系ユーチューバーの動きを、説明することができないからです。

 

これは、動画をご覧になっている方は、わかると思います。

 

 

なぜ、あんな風に速く動けるのか…

 

なぜ、あんな風にパンチが効くのか…

 

なぜ、あんな風に技がかかるのか…

 

 

多くの方が、そう感じているはずです。

 

それを説明するには、人体を「Windship®の原理」という、新しい観点で捉える必要があります。

 

Windshipの原理では、人体を次の3つの構成要素で捉えています。


1 神経

2 骨

3 Windship

 

 

いやいや、ちょっと待って。

 

Windshipって?

 

って、なりますよね。

 

すみません(^^;

 

説明します。

 

先述した通りWindshipの原理では、人間の身体を

『風船が何層にも重なったもの』

 

と捉えています。

 

風 船

 

風⇒Wind

 

船⇒ship

 

で、「Windship=風船」とネーミングしました。

 

 

Windshipの原理では

 

1 神経

  ⇒人間の本体

 

2 骨

  ⇒本体を支ええる構造

 

3 Windship

  ⇒本体を守る風船(膜)


という風に捉えています。

 

この3つの構成要素が、Windshipの原理の要です。

 

 

ところで、Windshipに代わる言葉はないの?と感じる方のために、一応お伝えしようと思うのですが…。

 

恐らくは医学的な名称で呼ぶとしたら、「間質(間質体)」ということになると思います。

 

 

「間質」は最近、医学界おいて発見された『臓器』です。

 

 

文字のごとく「間にある質」、つまり体内にある、間の空間を占めている臓器を、「間質」と呼びます。

 

まだ発見されて、日が浅いので、研究途上にある臓器です。

 

これから間質の働きが、どんどんわかってくると思います。

 

働きがわかれば、「Windship=間質」と言ってもいいのかもしれませんが、今のところイコールかどうかはわかりません。

 

 

さて、ちょっと話がそれてしまいましたが、この3つを人体の構成要素として、話を進めていきます。

 

まずは、

「なぜあんなに速く動けるか」

 

をお伝えしていこうと思います。

 

 

2 なぜあんなに速いのか

武術系ユーチューバーの動画を拝見していると、

「なぜこんなに速く動けるんだろう」

 

と、感じる方がたくさんいらっしゃると思います。

 

特にスピードで言えば、拓さんのウェイブパンチです。

 

可変ウェイブなんて、スロー再生しても動きがわからないくらいの
スピードです。

 

東吾先生の動きを見ていても、攻撃のテンポがとてつもなく速いですよね。

 

それでは、なぜ速く動けるのか。

 

答えは簡単です。

 

それは

 

 

 

『神経伝達速度、そのままのスピードで動いているから』

 

 

 

です。

 

 

…。

 

 

はい…?

 

 

と、感じますか?

 

 

もちろんそのお気持ちは、とてもよくわかります。

 

 

身体を動かすのって「筋肉」でしょ?

 

筋肉で動いているのに、なんで神経伝達のスピードってなんですか?

 

 

って、なると思うんです。

 

おっしゃりたいことは、非常によくわかります。

 

もちろん、身体を動かすのに、筋肉を使うことは可能です。

 

一般的には、そのような動かし方をしています。

 

 

ただ、ちょっと質問してみたいんです。

 

 

 

筋肉が身体を動かすって、どこの誰が決めたんですか?

 

 

 

体育の時間に習いました、なんて方がいると思うんです。

 

でも、「筋肉が身体を動かしている」と決めた人のことは、聞いたことがないと思うんです。

 

わたしも聞いたことがありません。

 

恐らく、一般的な考え方が、そう決めているんだと思います。

 

 

実は、この"筋肉が身体を動かす"という先入観が、スピードを鈍らせるんです。

 


身体を動かすというのは、”構造の変化”と捉えることができます。

 

構造の変化の連続を、「動き」と捉えて下さい。

 

構造とは人体で言えば、骨格になります。

 

 

つまり動きというのは、骨を動かすことなんです。

 

 

武術系ユーチューバーの動きのスピードが速いのは、神経に対して「骨を直接動かせと」命令しているからなんです。

 

 

神経の命令系統で説明してみると…。


これまでの概念で言えば…

 

 

 

命令:神経

 ⇩

命令を受ける:筋肉

 ⇩

動き始める:筋肉

 ⇩

構造が変化する:骨

 ⇩

攻撃の形

 

 

 

 

こんな感じになると思います。

 

そうではなく

 

 

 

命令:神経

 ⇩

構造を変化:骨

 ⇩

攻撃の形

 

 

 

という考え方です。

 

筋肉ではなく、骨を直接動かせば、攻撃の形になるまでのステップが、格段に減ります。

 

拓さんが常々

「肩甲骨を…」

 

とおっしゃったり、

 

東吾先生が

「人体の構造を使って…」

 

とおっしゃることからもわかるように、直接骨に命令しているから、あのようなスピードになるんです。

 

 


ここまで、説明しても

 

 

 

「いやいや、骨を動かしているのは、筋肉だから」

 

 

 

と感じる方も、いらっしゃいますよね。

 

 

すみません。

 

 

同じことを言うようで大変恐縮なんですが…

 

 

その意識』が、構造の変化させるときのブレーキになってしまうんです。

 

 

どういうことなのか、ちょっとよくわからないですよね。

 

実は、構造の変化にブレーキをかけないためには、「脱力」が必要になるんです。

 

そこで、次は脱力についてお伝えしようと思います。

 

 

3 なぜ脱力するのか

動画を拝見していると

脱力

 

 

 

という言葉がたくさん出てきます。

 

拓さんのお師匠さんの稲川先生は

「身体を柔らかく使って…」

 

と、よくおっしゃりますし、

 

ステマの北川先生も

「脱力して…」

 

と、常におっしゃっています。

 

この脱力は、"筋肉に力を入れない"と言い換えることができます。

 

筋肉に力を入れないということは、この達人の皆様は、

「筋肉を意識して動いているわけではない」

 

ということになります。

 

動画を拝見していても、「筋肉」という単語が出てこないことからも、わかります。

 

それでは、なぜ脱力するのか。

 

 

 

理由は、

 

 

神経伝達のスピードで動くため

 

 

です。

 

 

 

どのような理合いになっているか、特に重要な3つをご紹介しようと思います。

 

 

(1) 力みは動きを鈍くする

 

身体を動かすときに

 

「力むな!」

 

なんて言われたことは、誰でもあると思います。

 

これは武術に限らず、スポーツ全般にも言えることです。

 

力んでしまう、つまり筋肉に力を入れてしまうと、動きが硬くなってしまいます。

 

この動きが硬くなっているのは、構造の変化に対して、筋肉がブレーキをかけてしまっているからなんです。

 

 

 

身体の力を抜く(脱力)
 ⇩
筋肉によるブレーキがかからない
 ⇩

スピーディーな動き

 

 


ということです。

 

これは皆さん、経験があるでしょうから、理解しやすいと思います。

 

もちろん力みをなくしていくには、練習が必要になります。

 

動きに慣れて、身体が脱力すると、滑らかにスピーディーに動くことができます。

 

 

(2) 神経は圧迫を嫌う

 

次は力んだ時の、神経の状態について考察していきます。


神経の最も顕著な特徴は、

 

圧迫を嫌う

 

ことです。

 

身体に力が入ってしまっていと、神経は常に圧迫されることになります。

 

この圧迫が、人間の身体には、とてもストレスになり、神経伝達のスピードが落ちます。

 

神経伝達のスピードが落ちれば、必然的に動きのスピードは落ちます。

 

この状態を防ぐためにも、脱力が必要になるわけです。

 

 

(3) 体内の空間の確保する

 

恐らくこの3つ目が、Windshipの原理独自の、新しい観点になると思います。

 

身体の力を抜くことで、

 

「体内の空間の確保」

 

をすることができます。

 

これはどういうことかというと、人体の構成要素として「Windship(膜)」をご紹介しました。

 

人体を"風船を何層にも重ねたもの"と、捉える考え方です。

 

力んだ状態というのは、こういう状態です

筋肉が肥大して圧迫されて、空間が狭くなってしまいます。

 

こうなると、イラストにあるように神経が圧迫されて、ストレスがかかった状態になります。

 

こうなると、神経が本来持っている伝達のスピードは発揮できません。

 

脱力した状態になると、こういう状態になります。

体内の空間が確保されて、神経は圧迫されずに済みます。

 

こうすると、神経本来の伝達スピードで動くことができます。

 

 

 

つまり脱力するの目的は、

 

・身体が力まないようにして、スピードを発揮する。

・神経の圧迫をなくして、ストレスを回避する。

・体内の空間を確保する。

 

と言えるでしょう。

 

 

ただ…。

 

 

 

体内の空間を確保するって、あえて言う必要があるんですか?

 

 

 

そう感じる方も、いらっしゃると思います。

 

おっしゃる通りです。

 

実はスピードとストレスの話をするだけであれば、体内の空間の確保について、わざわざお伝えする必要はありません。

 

ただ、体内の空間を確保することで、武術にとって、とても重要な働きが加えることができるんです。

 

 

4 脱力から生まれるもの

実は、脱力して体内の空間を確保すると、

 

「体液の移動」

 

をさせることが可能になります。

 

 

どういうことか。

 

 

先ほどのイラストで説明すると、脱力していない状態では、

このように体液が移動する空間がありません。


ところが脱力すると

 

 

体液の移動が可能になります。

 

これが、どのように影響するのか。

 

東吾先生や、影武流の雨宮先生の動画では、腕を上から下に振り下ろす動画があります。

 

これは、脱力した時の、打撃の威力を表すものです。

 

脱力していない場合は、体液の移動がありませんので、こぶしでミットをたたいても、こぶしだけ重さがミットに加わるだけです。

 

しかし脱力していると、遠心力で体液がこぶしの方に移動します。

 

 

こんな感じですね。

 

体液がこぶしの方に移動すれば、それだけこぶしが重くなります。

 

こぶしが重くなれば、それだけ打撃の威力は増します。

 

 

これが、体内に空間を確保した時の作用になります。

 

 

雨宮先生は、これにプラスして、重力の力も加えていますね。

 

そして脱力して、スピードが速くなればなるほど、遠心力も増しますので、打撃の威力が増すわけです。

 

 

これがWindshipの原理から読み解いた、武術における身体操作のしくみです。

 

 

5 まとめと次回のテーマ

今回のブログでは、Windshipの原理を基に、武術の身体操作を説明しました。

 

一見謎めいた、武術系ユーチューバーの身体操作ですが、Windshipの原理に基づいて考えると、読み解いていくことができます。

 

人体の構成要素を神経、骨、Windship(膜)の、3つの観点から捉えるんでしたね。

 

その際に、先入観を捨てることがとても大切でした。

・身体を神経伝達のスピードで動かす

・そのためには脱力して、神経の圧迫が解放する必要がある

・それは同時に、体内空間が確保されることになり、体液移動が可能となる

・体液の移動が伴うと、打撃の威力が増す

 

こんな意識を持って身体操作をすると、きっと武術をマスターしやすいと思います。

 

ただ、Windshipの原理は、あくまでわたし個人が提唱しているものです。

 

ごのブログをご覧になっても、

「よくわからない」

「この原理、ホントなの?」

 

という方もいらっしゃると思います。

 

そんな方は、是非武術系ユーチューバーの先生方の門をたたいてみて下さい。

 

言葉ではなく、身体の体験を通して教えていただけると思います。

 

坂口拓さんは、弟子制にしているようですが、それ以外の先生は、生徒を取っているようです。

 

是非、道場のホームページをご覧になってみて下さい。

 

 

次回のブログでは、皆さんがきっと疑問に思っている、

『浸透系パンチ』

 

についてお伝えしようと思います。

 

これもWindshipの原理で、読み解いていくことができます。

 

お楽しみに。

 


【参考資料】(※すべてYouTubeにリンクします)
1 狂武蔵拓チャンネル

2 雨宮宏樹 〇〇 伝承チャンネル

3 システマ東京チャンネル

4 石井東吾 Togo Ishii ワンインチチャンネル

 

どのチャンネルも、とってもエキサイティングなので、是非チャンネル登録してくださいね♪

 

わたしは登録して、いつも楽しんで拝見しています。

 

※令和6年2月25日:ブログの冒頭に「概要」を追加し、内容を校正しました。

 

 

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陸上自衛隊に15年勤務。レンジャー隊員。

 

在職時は、年200件以上を対応するカウンセラーの任務の傍ら、気内臓療法(チネイザン)のインストラクターを務め、様々なボディケアを約10年間学んできました。

 

現在は自衛隊を卒業して、身体も心も癒すセラピスト。

 

『いくら寝ても疲れが取れない』

こんな悩みをお持ちの方に、心地よい眠りと疲労回復をサポートする施術でお応えしています。

 

このブログでは、身体の健康、心の健康、防災、そしてちょっとだけ自衛隊の話を綴っています。

 

セラピストとして学んだことや自衛隊での経験が、皆様のお役に立てば幸いです。

 

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ラクゼーションセラピスト、公認心理師(国家資格)、産業カウンセラー、元陸上自衛官、レンジャー隊員、上級体育指導官、予備自衛官(心理)