【令和4年11月9日】
「備蓄って、何を基準に用意すればいいの?」。その答えは『人間が絶対に我慢できないこと』→排泄・水分・不安です。この3つを解消するアイテムをご紹介します。是非ご覧ください。
お疲れ様です。自衛隊卒セラピストの岡田凰里(おかだおうり)です。ブログを読んで頂いてありがとうございます。
冬も目前ではありますが、東京では、まだ日中が暖かい日があります。
木々は日に日に色づいて、紅葉を楽しめるようになってきました。
わたくしごとで大変恐縮ですが、経営するリラクゼーションスペース「スッキリオアシス」が、11月6日で3周年を迎えました。
開業してからほとんどの期間を、コロナ禍の中で営業してきましたが、無事3周年を迎えられたのも、皆様のお陰と深謝しております。
今後も、皆様の健やかで心地よい生活を、誠心誠意サポートしていく所存です。
よろしくお願いいたします。
さて、今月のブログは『災害備蓄のリアル』についてお伝えしています。
前回のブログでは、災害備蓄をリアルに考え直す必要がある理由について、お伝えしました。
緊急事態宣言下の外出自粛の経験や、東京都の首都直下地震の被害想定が変更されたことで、一斉帰宅抑制が”強く”要請されると予想されるからでした。
一斉帰宅抑制とは、その場で72時間待機することが、要請されるものでした。
もし自宅にいた際は、自宅で約3日間、全く外出をせずに過ごさなければならないことが考えられます。
こうなってくると、災害備蓄を現実的に考えておかなければなりません。
そこで今回のブログでは、災害備蓄について、何を基準にして用意すればよいかをお伝えします。
自衛官として数々の災害派遣を経験した、わたしの実体験を基にしています。
ご参考になれば幸いです。
今回のブログは以下の内容になっています。
1 災害備蓄のおさらい
2 基準は「我慢できないこと」
3 マストな3つのアイテム
(1) 簡易トイレ
(2) 保存水(+塩)
(3) ソーラーチャージャー
4 一生後悔する「備えゼロ」
5 まとめと次回のテーマ
それでは始めていきますね。
1 災害備蓄のおさらい
「災害に備えて備蓄をしよう」
こう思ったときに、何を参考にして準備をしますか?
これだけネットが発達した世の中ですから、色々な情報がありますよね。
防災の専門家のブログや動画サイトで、備蓄について紹介しているものがあります。
そして芸能人の方でも、防災に熱心な方がいらっしゃいます。
もちろん、そういった情報を参考にしていただいてもいいと思うのですが…。
わたしがおススメしているのは、各自治体が出している手引きを参考にすることです。
役所の窓口に行けば、誰でも貰うことができます。
そしてウェブサイトからの閲覧に、対応している自治体もあります。
わたしは東京の練馬区に住んでいますので、練馬区の「防災の手引き」、そして東京都が出している「東京防災」を参考にしています。
被災した時のリスクは、各地域によって異なります。
ですので、まずはお住まいの自治体の資料に目を通すようにしてください。
さて、練馬区の防災の手引きでは、家庭での備えについて、
「水の備え」
「食料の備え」
「燃料の備え」
「停電の備え」
「トイレの備え」
の5つの備えをするように記載されています。
そして、
「可能な限り1週間分の備蓄を!」
と、7日分の備蓄をするように薦めています。
実際に災害備蓄をされている方もいらっしゃると思うのですが、7日分の家庭の備蓄を準備するのは、とても大変なことです。
一番のネックは、恐らく収納でしょう。
普段の生活で使わない上に、いつ使うかわからないものを収納しておくのは、非常にストレスだと思います。
こうなってしまうと、備蓄をすること自体が億劫になってしまいますよね。
そんな方に、ちょっとお伝えしたいことがあります。
自治体の手引きは、「万全の備え」を紹介しています。
もちろん自治体が住民のために薦めるものですから、万全を期すのも当然です。
もちろん、手引き通りに準備するのが理想的です。
それに越したことはありません。
わたし自身、最低の3日分の備蓄はしています。
ただ…
理想と現実が違うこともありますよね(^^;
実はまだ、準備していないなんて方もいらっしゃるかもしれません。
そして、特に考えてないけど、とりあえずものだけ準備してある、なんて方もいらっしゃいますよね。
そこでそんな方のために様々な現実を踏まえて、外出をせずに自宅待機をする上で、
「絶対に準備しておくもの」
について、その基準をお伝えしようと思います。
2 基準は「我慢できないこと」
わたしは自衛官の頃、何度も災害に関する任務を経験しました。
災害の現場を経験するとともに、指揮所等でも勤務し、災害を俯瞰的に見る経験もしました。
また、陸上自衛隊で最も厳しいと言われる、レンジャー訓練を修了しています。
極限状態において、人間が身体的、精神的にどうなるかを経験しています。
このような経験を踏まえて、災害備蓄の基準についてお伝えしますね。
その基準は
「人間が我慢できないこと」
これを基準に、準備してください。
そして、災害に被災した際に人間が我慢できないことは、次の3点だとわたしは考えています。
・排泄
・水分
・不安
この3つです。
排泄は、人間の身体的な生理機能で、絶対に我慢できないものです。
そして水分がないと、人間は生きていくことができませんので、これも我慢するのは難しいものです。
そして不安は、人間の精神的な作用として、最も我慢するのが難しいと、これまでの経験から感じます。
ですので、この3点に対する準備は、必ずしておいていただきたいんです。
それでは、この3つの我慢できないことに対して、どのような準備をすればいいか、お伝えします。
3 マストな3つのアイテム
ここでご紹介する3つのアイテムは、外出のできない自宅待機の生活に、必須のものです。
いくら地震などの災害で無事だったとしても、準備がなしで落ち着いて待機することは、100%できません。
どんなに準備が億劫だったとしても、絶対に準備をしておいてください。
それではご紹介していきますね。
人間の生理的な機能として、絶対に我慢できないのが排泄です。
尿、便、そして女性の場合には生理。
これは人間が生きていく上で、必要不可欠な作用です。
水分や食料を取らなくても、排泄は起こります。
ですので、その対策として簡易トイレを準備してください。
一人1日5回が目安になっています。
家族分の簡易トイレを最低3日分、準備してください。
そして女性の方は生理用品を、普段の生活から多めにストックしておきましょう。
そして、簡易トイレに関しては、余裕を持った準備をしておくことをおススメします。
無理に我慢をしてしまうと、尿道炎などの病気の発生率が上がります。
ですので、我慢しないで済む準備をしておきましょう。
わたし自身は、30セット⇒6日分準備しています。
〔※能登半島地震を受けて、60セット追加しました:令和6年3月18日追記〕
次に水分についてです。
水分は我慢できるものの、限界があります。
一切取らずには生きていけません。
人間は断食しても、水さえあれば50日以上生きていけます。
水分を全く取らなかった場合には、約6日間しか生きることはできません。
自宅待機生活を無事に乗り越えるためにも、水分は不可欠です。
非常時の飲料水は、一人1日3リットルが目安になっています。
場所を取ってしまいますが、保存水は確実に準備しておきましょう。
ただ、水分については我慢することが可能です。
わたし自身の実体験では…
って、あまり具体的に内容をお伝えできないんですよね(^^;
レンジャー訓練での経験ですので(^o^;
申し訳ありません。
ただ、わたし自身の経験を踏まえると、
「1日3リットルの準備」+「我慢」
で、3日間は余裕を持って過ごすことができるでしょう。
わたし自身は、2リットルペットボトルを6本⇒4日分準備しています。
そして、もちろん3日間を水分だけで過ごすことは可能なんですが、それに合わせて塩分を準備してください。
動こうとしたときに、塩分が足りていないと、動けないんです。
恐らくはご自宅にお塩があると思いますので、そこまで気にすることはないとは思うんですが…。
もしお塩が自宅に全くないという方は、少量でも構いませんので、購入しておいてください。
そして塩は、ミネラルが含まれている「天然塩」にしてください。
生成された塩(塩化ナトリウム)は、ミネラルが含まれていませんので、体液のバランスが悪くなります。
気にし過ぎじゃないか…と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、非常事態には、微差が大差になります。
普段の生活から、天然塩を使うことをおススメします。
仮に待機生活で絶食していた際に、身体を動かさなければならなくなった場合には、塩を小指の先に着くぐらいの分量をなめて下さい。
それだけでも、身体の動きが違ってきます。
ちなみにですが、仏教の修行では9日間「断食、断水、不眠、不臥」という修行に成功した、酒井雄哉大阿闍梨の記録があるそうです…(^n^;
ま、修行のために自宅待機するわけではないので、ご参考まで。
最後に、不安に対する対策です。
非常事態に際する人間の行動を、驚くほど左右するのが”不安”です。
非常事態の際に不安に襲われると、普段の生活からは想像できない行動をしてしまうのが人間というものです。
記憶に新しいと思いますが、コロナ禍では「自粛警察」が発生しました。
これは不安に駆られて、過剰な行動をしてしまった結果です。
「家族と連絡が取れない」
「災害の状況がわからない」
「取るべき行動がわからない」
こんな状況では不安が増していくのは、当然のことです。
そして、不安を抱えながら待機をするのは、身心共に極端に疲労が溜まります。
こうなると、待機が解除された後の行動に、悪影響があります。
そんな不安を解消するのが、情報ツールであるスマホ(携帯電話)です。
その充電を切らさないことが、不安に対する対策になります。
普段の生活でさえ、携帯の充電が切れそうになると、不安になりますよね。
非常事態になると、その不安は何倍にもなります。
そこで太陽さえあれば充電できる、ソーラーチャージャーを準備しておいてください。
太陽光発電機ですね。
もしかしたら
「太陽が出ていなかったら、充電できないじゃないか!」
と思うかもしれません。
確かにその通りです。
非常用充電器には、様々な種類のものがあります。
蓄電池タイプのものや、水分だけで発電できるようなものもあります。
もちろんそのような物であれば、確実に充電ができます。
ただ、収納と費用対効果の問題があります。
災害の準備というのは、誰でも億劫になるものです。
そして滅多に使うものではないので、極力お金をかけたくないものです。
それを加味した際、わたしはソーラーチャージャーが一番コスパがいいと感じます。
仮に天候が悪い時に使用したとしても、充電の減りを遅らせることはできます。
必ず準備しておいてください。
ちなみに、ソーラーチャージャーを購入した際は、必ず一度使ってみて下さいね。
いつもそのようにご案内しています。
こんな中で相談を受けて、おススメのソーラーチャージャーを紹介した方から、
「普段使っている充電器のケーブルが使えない」
と、教えていただいたことがあります。
一度使っておくと、
「いざという時に使えない」
なんてことも防ぐことができます。
以上が、自宅待機生活を生き延びるための、必要最低限の3点セットになります。
ご参考までに、わたしが購入した3点セットがどんなものか、ブログの最後にリンクを張っておきますね。
なお、この3つはあくまで最低限のマストアイテムです。
持病などがある方は、それに合わせた準備をしておいてください。
そしてこのマストアイテムの購入をきっかけにして、自治体の推奨している備蓄をするようにしてくださいね。
4 一生後悔する「備えゼロ」
実際に災害に被災したことのある方は、そこまで多いわけではありません。
日本は災害大国ですので、いつ自分が被災するかわかりませんが、それでも未経験者の方が多いのが現状です。
一生に一度起こるかどうかわからない災害に対して、
「自分は大丈夫」
「災害なんて他人事」
「準備がなくてもなんとかなる」
そんな風に感じてしまうのも、仕方ないことだと思います。
ただ、備えゼロで被災してしまった際には、
『なんで準備しておかなかったんだろう…』
と、必ず後悔します。
そして災害を経験した後に、しっかり準備することになるでしょう。
ここでちょっと考えていただきたいんです。
大災害に被災するのは、一生に一度あるかないか。
被災後に準備しても、手遅れなんです。
そして、明確にお伝えしておきたいことがもう一つあります。
『災害に対する準備を
全くしていなかった』
このことに対する後悔、罪悪感は一生ぬぐうことはできないんです。
非常に残酷ではありますが、これが現実です。
災害時に受けるストレスのことを、「惨事ストレス」といいます。
この惨事ストレスは、普段のストレスとは異なる、特殊なストレスです。
このストレスを、なんの準備もなく受けてしまった場合、特に心理的に、取り返しのつかないダメージを受けることになります。
災害に対する準備は、被害を最小限にするためだけではありません。
『災害を乗り越えて、日常を取戻す』
むしろこのために準備する比率の方が高いと、わたしは感じます。
これが実際に、何度も災害派遣の任務を経験して感じることです。
災害を乗り越えて、普段の生活を取り戻すためには、最低限の準備は必要不可欠です。
もし、今回のブログでご紹介したマストアイテムの準備のなかった方は、是非この機会に購入していただければと思います。
5 まとめと次回のテーマ
今回のブログでは、外出ができない自宅待機生活を乗り越えるための、3つのマストアイテムをご紹介しました。
「簡易トイレ」
「保存水」
「ソーラーチャージャー」
でしたね。
そして、なぜこの3つがマストアイテムなのかを説明しました。
人間が「我慢できないこと」を基準にして準備すると、必ず準備しておかなければならないモノが見えてきます。
そして準備がなかった際の、心理的な影響についても言及しました。
災害の準備は、身体にとっても心にとっても、必要不可欠です。
是非この機会に、備蓄を再確認していただければと思います。
次回のブログでは、準備のレベル別に「自宅待機生活のシミュレーション」をお伝えします。
是非ご覧ください。
【3つのマストアイテム】
●簡易トイレ
(※令和6年3月18日に商品を更新しました。令和6年能登半島地震を受け、わたしが実際に買い足したものです。)
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●保存水
(購入したものがなくなっていたので、同等の商品をご紹介します。)
●ソーラーチャージャー
(※安価なものは、充電機能が弱いようです。ご紹介しているものは、わたしが実際に購入し、充電機能は確認済みです。)
【今週の体重】
先週59.3㎏⇒今週59.8㎏
【体重をアップする理由】
【頑張らないダイエット③】 お手軽にも程がある!"超時短"筋トレ法
【参考文献】
人間の許容限界事典 新装版 山崎昌廣/坂本和義/関邦博 編集 朝倉書店 2017年2月 第3刷
【参考資料】
1 「防災の手引き-災害に備えて-」 練馬区危機管理室危機管理課編集・発行 令和4年2月
2 「東京防災」 東京都総務局総合防災部防災管理課編集・発行 平成29年3月
※令和6年3月18日:ブログの冒頭に「概要」を追加し、内容を校正しました。
陸上自衛隊に15年勤務。レンジャー隊員。公認心理師。産業カウンセラー。
在職時は、年200件以上の面談に対応するカウンセラーの任務を行うと共に、隊員に対して「災害派遣の心構え」を教育をしていました。
そんな自衛隊での教育や、自身の災害派遣の経験をアレンジして、現在は一般向けに「災害の心構え」をお伝えするセミナー講師。
『どんな災害も乗り越える』
その心構えを”自衛隊式”でレクチャーしています。
このブログでは、防災のこと、身心の健康、そしてちょっとだけ自衛隊の話を綴っています。
自衛隊での経験やセラピストとして学んだことが、皆様のお役に立てば幸いです。
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【経歴・資格など】
公認心理師(国家資格)、産業カウンセラー、リラクゼーションセラピスト(2級)、元陸上自衛官、レンジャー隊員、上級体育指導官、予備自衛官(衛生官)
〔※「Windship」及び「Windship treatment」は登録商標です。〕
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